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ニュルブルクリンク24時間レース、フェラーリ初制覇でドイツ勢21連覇の夢砕く。スバルWRXはトラブル続くもクラス2位

 第51回ニュルブルクリンク24時間レースは、フェラーリ『296 GT3』を駆る30号車フリカデッリ・レーシングのアール・バンバー、ニッキー・キャッツバーグ、デビッド・ピタード、フェリペ・フェルナンデス・ラサー組が総合優勝。ドイツ勢を圧倒し、これまでの最多周回数記録を3周上回る162周の新記録を打ち立てた。

 ドイツ車以外のマシンがニュル24時間を制すのは2002年にザクスピードのクライスラー『バイパーGTS-R』が優勝して以来、21年ぶりとなる。しかも、イタリアメーカーのフェラーリとしてはこれが初のニュル24時間制覇となった。

 今年のニュル24時間には、計136台が参戦。総合優勝を争うFIA GT3車両によるSP9クラスは、メルセデス『AMG GT3』とポルシェ『911 GT3 R』が各7台、アウディ『R8 LMS GT3 evo 2』とBMW『M4 GT3』が各6台、フェラーリ296が3台、ランボルギーニ『ウラカン GT3 EVO2』とアストンマーチン『ヴァンテージAMR GT3』が各2台という33台のエントリーだった。

 レース序盤、フリカデッリの296は、ゲットスピードの2台とポールシッターであるHRTの3台のメルセデス勢とバトルを繰り広げた。

 しかし日が暮れるとメルセデス勢は後退……M4を駆るローベ・レーシングの98号車マキシム・マルタン、マルコ・ヴィットマン、シェルドン・ファン・デル・リンデ、ドリエス・バントゥール組がライバルに浮上。2台は2分前後の感覚でスリリングなバトルを繰り広げた。

 最終盤のピットストップを短い時間で送りだしたローベは、2周前にピットインしていた首位フリカデッリとの差を削り、1分差で送り出した。しかしフリカデッリの最終スティントを担当したピタードが、ローベのバントゥールを26秒911差で破り、トップチェッカーを受けた。

ニュルブルクリンク24時間レース、フェラーリ初制覇でドイツ勢21連覇の夢砕く。スバルwrxはトラブル続くもクラス2位  

 フリカデッリのフェラーリも無風で24時間を過ごした訳ではなかった。5時間経過後にパンクに見舞われたが、こちらは幸いにもコース終盤でのアクシデント。また朝方にはバンバーがステファン・ベロフSでコースオフを喫していた。

 BMWのM4もフェラーリの296に匹敵する速さを見せていたものの、ローベは31番グリッドからの出走。レース序盤にトップ勢が逃げる中、追い上げを強いられたことが大きく響いた。

 3位表彰台を獲得したのは、HRTの4号車メルセデスAMGを駆るラファエレ・マルチェロ・ルカ・シュトルツ、フィリップ・エリス、エドアルド・モルタラ組。HRTはポールポールポジションからのスタートとなったものの、夕暮れ時に黄旗無視のペナルティによりタイムを失い、日没後には296やM4について行けなくなった。

 同じメルセデス勢のゲット・スピードも日没前まではトップ集団を走ったものの、夜になって後退。3位のHRTから46秒遅れで表彰台を逃した。

 5位にはポルシェ勢トップの96号車ルトロニックのデニス・オルセン、マッテオ・カイローリ、ジュリアン・アンドラウアー組。アウディR8勢で唯一大きなトラブルもなくレースを走りきったチーム・ランドの39号車(クリストファー・ハーゼ、クリストファー・ミース、パトリック・ニーダーハウザー組)がそれに続いた。

 SP9クラスのプロアマでもフェラーリは優勝。WTMの20号車296が総合順位でも7位に入った。チームのダニエル・カイルヴィッツは、25.378kmのノルドシュライフェ(北コース)で93周目に8分8秒006という驚異的なタイムをマーク。これは予選で4号車HRTが記録した8分9秒058というポールタイムさえも上回るモノだった。

 総合順位トップ10には、プロアマ2位の6号車HRTのメルセデス、複数のパンクに悩まされたアプトのランボルギーニ、44号車ファルケン・ポルシェが名を連ねた。

ニュルブルクリンク24時間レース、フェラーリ初制覇でドイツ勢21連覇の夢砕く。スバルwrxはトラブル続くもクラス2位  

 また、計3台のSP4Tクラスにエントリーしたスバルの114号車『WRX NBRチャレンジ』の(カルロ・ヴァンダム、ティム・シュリック、山内英輝、井口卓人組)は総合順位80位、クラス2位でチェッカーを受けた。

 新型WRXを投入して臨んだ4年ぶりのニュル24時間レースは、スバルにとっては受難のレースとなった。夜間セッションを前にオルタネーターが焼き付き、朝方にはステアリングが安定せず、ヴァンダムがリヤをスライドさせてウォールにマシンをヒット……それとは別件でエンジンパワー低下の症状が現れていたため、エンジンをはじめとする駆動系、サスペンション周り、ステアリングラックなどを交換した。

 スバルは4時間半をガレージで過ごしたものの、正午を前に再びコースへ復帰。当初15周あった首位718号車ポルシェ『718ケイマン』との差を3周にまで縮めてフィニッシュした。24時間での総周回数は114周(約2,893km)だった。

Report by Sonke Brederlow

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