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スポーツカーにとって“実用性”とは? 話題のオートバックス“5000万円”カー試乗で見えた価値「『この車に何を求めるか』が基準に」

スポーツカーにとって“実用性”とは? 話題のオートバックス“5000万円”カー試乗で見えた価値「『この車に何を求めるか』が基準に」

『LEGAVELO』 撮影/田中達晃(パッシュ)

 オートバックスセブンのレーシングスポーツブランド「ARTA」が、昨年1月、ホンダ『NSX』をベースにした高級カスタムスポーツカー『LEGAVELO』を発表。限定5台、総額5000万円というスペシャリティーな仕様が大きな注目を集めた。この車、実際にはどのような質感、乗り心地で、果たして価格に見合う価値を見いだすことはできるのだろうか? 今回、自動車評論家ではないメンバー3人が、同車が展示されているという「ARTA」初のコンセプトストア「ARTA MECHANICS&INSPIRATIONS」に集結。実際に試乗し、忖度なしで意見を出し合った。

【外装】カーボン使用もいやらしくない上品な質感「浮世離れした存在感を感じる」

【試乗者の属性】

・運転歴20年弱。過去に旧車のスポーツセダン所有歴あり。車好きだが、スピードには興味がない編集A氏(男性)

・過去にスポーツカーを数台所有。現在も仕事にアウトドアに多様な車を乗りこなすカメラマンB氏(男性)

・スポーツカーの運転歴はなく、月に数度、実家の車を運転する山好きライターC氏(女性)

 普通の駐車場なのに、この車があるだけで、どこか非日常的な空間になっているから不思議だ。快晴のこの日、陽の光を浴びてより存在感を増した黒いボディが、我々を出迎えてくれた。

 外装には、F1やGTマシンといったレーシングカー、航空機や宇宙ロケットなどに使われているドライカーボン(CFRP)が贅沢に使われているという。スポーツカーにある程度慣れている車好きの2人からは、「ギラギラ、ピカピカじゃなくてマットな質感だから、上質な印象ですね」(B氏)、「このボディのラインも、流線型がいいですね。ドライカーボンをこれだけ使っていたら、そりゃこの価格になりますね」(A氏)といった声が。今回、試乗に同席したオートバックスセブン 広報・IR部・宇留間裕実氏によると、このボディは、「“タフさ”を表現したいと考え、塗装にはアスリートの鍛えられた筋肉を覆う皮膚の艶感、全体的には戦闘機を思わすデザインになっています」とのこと。外装から、一目瞭然で値段が高いことは伝わるが、“いかにも”な成金感、いやらしさがない、というところは一致した。

 また、車にあまり詳しくなく、スポーツカーというものになじみがないC氏からは、「なんだろう、この浮世離れ感。ハリウッド映画、『バットマン』とかに出てきそうですね」という反応が。確かにこの車の存在感からか、駐車場で外装をチェック、撮影する我々の様子を、通りかかる人はもれなく見ていく。これは実際に路上で試乗した時に、より実感することになる。

【内装】ゴルフバック入らず、実用性は劣るも「この車に乗る人は、収納力や燃費の実用性なんて求めてない」

外装を見終え、ドアを開けて座ろうとすると、A氏は驚いたような声を上げた。

「座ったときの目線、低っ! 今までこの地を這うようなポジションは、すごく新鮮だけど、今までの車と違うから運転が大変そう…」(A氏)

「確かに。(自分が普段乗っている)ステップワゴンに比べると、そこはね。慣れが必要な感じはします」(B氏)

 スポーツカーらしい車高の低い“コックピット”から車内を見渡すと、外装と同じドライカーボンや、なめらかなスウェードなどがバランスよく配置されており、細部までこだわり抜かれた内装であることがわかる。

「ハンドルや、シフトだけでなく、ダッシュボードまで手触り良く、気持ちいいですね」(C氏)

「(身体を包み込む)シートのホールド感が心地いい。スポーツカーならではですね」(A氏)

「ハンドルも、握った感じのフィット感がいい。太くて握りやすくて運転しやすい感じ。完全な丸じゃなくて、楕円形みたいな感じで、レース仕様っぽいですね」(B氏)

「そのあたりや、外装デザインの“空気の抜け方”も含め、ARTAの知見が詰まっているんじゃないかな」(A氏)

 一方で、日常使いには向かない点も目についた。

「荷物は全然積み込めないですね」(B氏)

「ホントだ。シートのすぐ後ろにエンジンがあるから荷物置くスペースがない」(A氏)

「トランクも、そんなに大きくないし。ゴルフバッグは入らないだろうな…」(B氏)

「この車で近所のスーパーには行けないです(笑)」(C氏)

「確かに(笑)。車高も低めだから、スーパーの駐車場など少しの段差でも、擦ってしまいそうでちょっと怖いかも。あと、スポーツカーだから燃費もそこまで良くないだろうし」(A氏)

「でもこの車に乗る人は、そんな(日常生活における)実用性を求めてないでしょう。収納力や燃費よりも、断然、見た目やスピード、デザイン重視。ドレスアップした女性の持つハイブランドのミニバックみたいなものかな。持っている(乗っている)ことがステータスになる、みたいな」(C氏)

【走り】さすがの加速に加え、自在にエンジン音を変えられる仕様「女性を家に送っていくときにいいモードも」

エンジンを掛けると、スポーツカーらしい“いい音”が鳴り響く。エンジンに関してはベース車のNSXの特性を生かしたままだというが、アクセルを軽く踏み込むだけでレスポンスよく加速し、グンッとG(重力)がかかる感じは、普通車では味わえない感覚だ。

「軽く踏んでいても、すごい加速ですね」(B氏)

「基本、エンジンはいじってないらしいので、さすがは国内最高峰のスポーツカーだと思いました」(A氏)

「この見た目でこの加速は、アトラクションっぽいドキドキ感がある。個人的には、女性受けはいいと思います」(C氏)

「走りも、“スポーツ”と、“スポーツプラス”、“クワイエット”、“トラック”と4つのモードがあり、一番加速がいいのがトラックですがサーキット仕様なので、街乗りではスポーツプラスまでですかね。それぞれ異なる個性があります」と、宇留間氏が話す通り、それぞれのモードの個性を楽しめる。

「マフラーからもそれなりの音が出るけど、クワイエットにするとすごく静かに走れました。女性を家に送っていくときは、このモードがいいですね(笑)」(B氏)

「それは大事な情報ですね(笑)。確かに、意識しないで夜の住宅地を走ったらうるさそうですし。でも、スポーツプラスモードで、信号待ちから一気にドカンと行ける爽快感がまた最高に気持ちよかった。同乗者がいるのか、ひとりで爽快に運転するのかで、モードが使い分けられるのはいいですね」(A氏)

 ちなみに、ロードノイズに関しては、全員が「全然感じなかった」と一致。ハンドルの操作性、ブレーキの効き具合もレスポンスよく、文句なしという見解だった。

「ロードノイズよりも、エンジン音が心地よすぎて。ワクワクしっぱなしでした」(A氏)

「エンジンが後ろにあって、音もしているはずなのに、全然嫌な感じがしない。うるさい感じがしないんですよね」(B氏)

「あと、座った時の印象通り、視線が低いから運転は慣れるまで大変そう。でも、アクセルやブレーキがレスポンス良く反応して、普段とは違う運転の楽しみを感じられました」(A氏)

 と、ここでも走りを絶賛する車好きのふたりだが、一方でC氏からはこんな意見も。

「幅があるので、場所によっては駐車が難しそうな気がします。テクニックがある人なら問題ないかもしれませんが、私は怖いですね」(C氏)

「確かに幅は感じますね。運転に慣れていない人は、取り回しがしにくく、駐車も怖いかもしれません」(A氏)

【総括】街ゆく人が必ず振り返る…純国産では唯一無二のスペシャリティーを感じることが最大の“実用性”

実際に試乗してみて、『LEGAVELO』のさまざまなメリット、デメリットが目に見えてきた。メリットは、上品な高級感に包まれながら、この車の持つスペックを生かして、国内最高峰のスポーツカーの“走り”を楽しめること。そして、特別な車に乗っているというステータス。その証として、3人とも試乗中、多くの歩行者、対向車などさまざまな人たちから、こちらを二度見する様子を目撃。宇留間氏も「銀座をこの車で走った時に、街ゆく人、みんな振り返って見られましたね」と話す。

 逆にデメリットは、燃費や収納力、取り回しや車高の低さなど、日常生活における“実用性”のなさが挙げられるだろう。

「実際乗ってみるすごいなって思うんだけど、所有するとなるといろいろ考えますよね。燃費などの実用面でいろいろ考えると、自分はこの車を維持できるようなライフスタイルではないですね」(A氏)

「その辺はやっぱり、スポーツカーなんですよね。積載量や燃費よりも、走る楽しさのほうを重視で考えられるのであれば、全然ありだと思うけど」(B氏)

「なんか『芸術品』を所有するような感覚もありそうですね」(C氏)

「『芸術品』は言い得て妙ですね。積載量や燃費など(日常生活における)実用性の部分で、この車より優れている車はたくさんある。でもそれらは街にあふれていて、走りを楽しめたり、周囲を『アッ』と思わせる存在感はない。結局『この車に何を求めるか?』が、価値を判断する基準になりそうですね」(A氏)

 総額5000万円という価格からも、“乗る人を選ぶ”車。一方で、純国産のスポーツカーでは、唯一無二といえるスペシャリティーを感じることがこの車最大の“実用性”とも言えるだろう。作り手のこだわりと、夢、ロマンにあふれたフラッグシップモデル『LEGAVELO』に込めた想いを、宇留間氏はこう話す。

「この車は、カスタムカー事業のARTA MECHANICSによる第1号車種。この車の出来によって、ARTA MECHANICSのクオリティが判断される。そのためにも技術と思いを存分に詰め込みました。もちろん、そう簡単に売れるものではないという覚悟のもとで作っています。オープンしたばかりの東京・新木場の『ARTA MECHANICS&INSPIRATIONS』で展示していますし、試乗会も定期的にやっていますので、ぜひ1度、間近で体感していただきたいですね」(宇留間氏)

取材・文/根岸聖子

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