サイドカーの名門・サクマエンジニアリングが手がけた限定モデル。コストを抑えたリーズナブルな価格も魅力だが、このマシンは前後ホイールを15インチにして、クイックな走りを楽しめるのもポイントだ。
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
サクマエンジニアリング「R1100RS+アルファサイドカー」インプレ(宮崎敬一郎)
SAKUMA ENGINEERING R1100RS+ALPHA SIDE CAR 総排気量:1080cc エンジン形式:空冷4ストOHC4バルブ水平対向2気筒 シート高:649mm 車両重量:340kg税込価格:140万円(取材車)
サイドカーの醍醐味を手頃な価格で楽しめる
このアルファサイドカーの価格は、BMW R1100RSの車体込みで140万円。高級モデルでは500万円以上の値がつくサイドカーからすると、破格の大安売りだ。
RSは中古車を再整備、舟側はかつて製造していたモデルのリバイバル。サクマエンジニアリングは、この組み合わせで台数限定だが、手ごろな価格を実現したのだ。
サイドカーに乗ってみたいが高価だ、なかなか踏ん切りが付かない……というライダーに向けて最高の提案だと言えるだろう。
そんなバックグラウンドを置いておいても、今回試乗したこのアルファ、サイドカーとしてかなり面白いモデルになっている。
その結果がスゴい! 反応が早い……そして敏感。まるでスポーツカートのように瞬間車線移動を平気でやってのける。スロットルワークと、ハンドルのコジリを使った側車側やRS側への加重、抜重に対し敏感にフットワークが応える。サイドカーにある、あたり前の反応だが、知る限り一般的なサイドカーに比べると別物。とにかく俊敏なのだ。
画像: サクマエンジニアリング「R1100RS+アルファサイドカー」インプレ(宮崎敬一郎)
加減速によるカーの慣性を使った操作も敏感。40~50km/hくらいまではスロットルの強弱でも走行ラインが変化する。これも並みのサイドカーより大きく素早い。開けるとき……つまりカー側に車体が取られるのはハンドルで簡単に抑えられるが、戻す時は同時にクラッチを切った方がスムーズに走れた。
この特性を有効に使ってスポーティに楽しむのがサイドカーの醍醐味。左カーなので、左コーナーリング中にブレーキをちょっと使って右にラインを変え、ハンドルとスロットルワークでまたコーナリングラインに戻る……といったことも素早くできる。
フレームは頑丈で、アライメントも吟味されている。大きなギャップなどで車体が弾かれても、ハンドルが共振してパタつくこともなかった。15インチ仕様なのでクリアランスが若干少ないが、気になればサスのプリロードを多めに掛けて車体をリフトすればいい。そういえば、17インチ仕様もあるとのことだ。
サクマエンジニアリング「R1100RS+アルファサイドカー」ライディングポジション
ライダーのポジションは上半身が直立した疲れにくい設定。スポーツサイドカーらしく、舟は軽くてコンパクト。体格の大きなパッセンジャーが乗る際はフートレストがあるとベター。
画像: サクマエンジニアリング「R1100RS+アルファサイドカー」ライディングポジション
サクマエンジニアリング「R1100RS+アルファサイドカー」各部装備・ディテール解説

ベースとなるバイクはしっかり整備された1998年式のBMW R1100RSを用意、これにアルファサイドカーを組み合わせる。全幅は1650mm。
アルファサイドカーは10年ほど前に生産終了したモデルだが、今回これを復刻、コストを抑えてリーズナブルな価格を実現した。
舟側の内部は非常にゆったりとしたスペースを確保。トランクこそないが、荷物の収納にもかなり余裕があった。
アルファサイドカーはかつてサクマエンジニアリングが製造していたモデル。今回復刻することで製造コストを大きく抑えた。
しっかりした角パイプフレームを採用、サイドブレーキや、バイクのローギアを用いたバックギア機構も搭載されている。

サイドカー側のタイヤには四輪用のZEETEXを装着。165/45R15という扁平率の低いものを採用、ホイールもスポーティなデザインだ。
フロントホイールは15インチ化。タイヤはTMAXなどに採用されている、ブリヂストン製のラジアルを装着している。
フロントブレーキはシングルディスク化し、制動力強化のためキャリパーをダブルで装着する。キャリパーはR1100RSの純正品。
バイク側のリアタイヤも合わせて15インチ化。こちらのタイヤは135/70サイズの四輪用・ナンカン製を装着している。
シャフトドライブ機構、リアディスク、ブレーキキャリパーを、見事なまでにピッタリのクリアランスで装着。豊富なノウハウのなせる業だ。
テールランプはLED。リーズナブルな価格であっても、欲しい装備はしっかりと確保されているのも嬉しい限りだ。
ハンドルをオフセット装着する、サクマエンジニアリング独自の「EZステアシステム」を採用。取り回しに大きく貢献する。
サクマエンジニアリング「R1100RS+アルファサイドカー」主なスペック・価格
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