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まさにギャンブル! 抽選販売の新型「プリウス PHEV」当選に至るまでの顛末を実体験レポ!

新型プリウスを「現物を見ずに買う」ということ

 突然だが筆者は5年ぶりに新車購入計画を立ち上げ、いろいろ迷ったあげく、結果として次期マイカーは新型「プリウス PHEV」に決定した。これまで、せいぜい300万円台で収まっていた出費が、今回はいきなりの500万円超え! それだけに家庭内での交渉も困難を極めたが、それも妻から突きつけられた諸条件を飲むことで何とかクリア。めでたく6月納車の見通しが立った。しかし、そこに至るまでは紆余曲折があったので、今回はその顛末をレポートしたい。これからプリウス購入を考えている人の参考になれば幸いだ。

まさにギャンブル! 抽選販売の新型「プリウス phev」当選に至るまでの顛末を実体験レポ!

正式発売前に抽選販売となった新型プリウス PHEV<写真提供 トヨタ自動車>

 きっかけは2020年の夏、トヨタ「RAV4 PHV(当時)」を試乗したことから始まった。現在、「CH-R」を所有しているが、その1.8Lエンジンを組み合わせたTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム) は30系プリウスからの付き合いで、車速が後から付いてくるドライブフィールはもう卒業したいとかねてより思っていた。そんな矢先、RAV4 PHVに試乗し、電動車としての圧倒的パフォーマンスを体感。この時、「次に狙うのは本格的な電動車以外にない!」そう決めたのだった。

まさにギャンブル! 抽選販売の新型「プリウス phev」当選に至るまでの顛末を実体験レポ!

PHEVのバッテリーはリアシート下となったものの、燃料タンク配置の関係上、HEVよりもラゲージスペースは狭くなった<写真提供 トヨタ自動車>

 ただ、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle、コンセントから充電できるハイブリッドカー)となればRAV4でも当時で500万円に到達することになり、そう簡単に買えるものではないとの思いもあった。そうこうしているうちにRAV4 PHVは受注を一旦終了。広報車を借りた際に、時折その魅力に触れるのが精一杯だった。

ほかのトヨタ車や日産エクストレイルにも心惹かれるが……

 そんな状況下を過ごしていた2022年春、懇意にしているディーラーから「RAV4がPHEVとして受注を復活する」との連絡を受けた。ただ、この時点でハリアーにもPHEV(PHVと同じ意味)が追加されることを聞き、気持ちは一瞬ハリアーに傾きかけた。しかし、ディーラーからは「RAV4なら値引きできるが、ハリアーは値引きがゼロ」との厳しい話。加えて見積もりを取るとハリアーは概算で700万円超えにもなるという。500万円でも家庭内了承が出そうにない状況で、これは絶対無理と判断で早々に諦めることとなった。

 となればRAV4での契約を進めたいところだが、家庭内了承が得られていない上にマイチェンしたとは言え、発表されてから3年が経っったことでADAS系(先進運転支援システム)の装備でも古さが目立つ。また、この時点で新型プリウスの噂も聞こえ始めており、プリウスならPHEVでも500万円以内で収まるかもしれないとも考えた。その思いを担当営業に話すと「RAV4の納車は23年夏以降。一旦RAV4を注文しておいて、新型プリウスの概要がわかった時点で、それが良いとなればその時点で注文を切り替えてもいい」となった。

 まんまと受注を獲得したい営業マンの口車に乗らされとも言えるが、電動車への思いは強く、まずは一歩踏み出そうと考え、家庭内了承を得ないままRAV4 PHEVの契約に踏み切った。だが、間もなくその思いを大きく揺るがすクルマが登場した。フルモデルチェンジを機に全車をe-POWERとした日産の新型「エクストレイル」だ。

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日産エクストレイル(写真:栗原祥光)

 試乗前はこの新型に大きな期待は抱いていなかった。それが試乗でその想いは良い意味で見事に打ち砕かれた。バッテリー容量を増やした上でモーター出力を高めたe-POWERは、100km/h程度までなら十分にトルクフルかつ快適で、何より驚いたのは新搭載の「e-4ORCE」による優れたトレース性だった。峠道を少し攻め込んでも、まるで自分が峠道ファイターにでもなったかのように気持ちよく、思い通りに走っていける。2t近い車重にも関わらず、ここまで走れるとは想像もしていなかった。

 ただ、ここでも500万円の壁が立ちはだかった。エクストレイの見積価格はオプション込みで総額510万円。これでは家庭内の了承が得られそうにないのだ。そして、またもやそうこうしているうちに「エクストレイル販売休止」の知らせが舞い込む。

 これでRAV4でいくしかないのか。納得がいかないクルマに600万円を支払う価値はあるのか。家族も説得しなければならない中で悶々としていると今年2月、トヨタのディーラーから「RAV4が納車が予定より約半年早く3月にも収まりそうだ」との連絡が届く。これには困った。プリウス PHEVの概要すら正式に明かされていない状態で、家族の了承も得てない段階でRAV4に決めるわけにはいかないからだ。

詳細が明らかになっていないが

契約しないと土俵に上がれない!

 一方で、プリウス PHEVは2月の時点で概要も不明なままで契約をした上で、しかも抽選になったという(ディーラーによって扱いは異なる)。つまり、契約をしなければ抽選にすら参加できないのだ。もちろん抽選に外れれば契約はなしになる。とはいえ、こんな不明な点が多いこの状況下で契約できるのか。これに営業担当は「HEV(Hybrid Electric Vehicle、いわゆるハイブリッド車)の契約で混乱があったため、抽選となった。これは(ディーラーの)本部からの方針。プリウス HEVのZグレードを参考に契約して欲しい」というのだ。仕様も不明なままで契約だなんて、こんなことは前代未聞だ。

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PHEVのテールランプはスモークレンズで展開される<写真提供 トヨタ自動車>

 そこで考えた。プリウスは少なくとも個人的に関心度が高いADAS系の装備がてんこ盛りだ。もし抽選に当たれば、それをPHEVで楽しむのもアリかもしれない。まずはRAV4はキャンセルすることにして、仮に抽選が外れた場合はエクストレイルの販売再開を待てばいい。そう判断することにした。

 とはいえ、プリウス PHEVもオプション込みで500万円を超える金額。これは想定外で、このままでは家庭内了承は難しいかもしれないと当初は思った。しかし、ここで追い風となったのが所有しているC-HRの下取り価格だった。ディーラーによれば「新型プリウスは値引きが一切できないので、下取り車を契約時の最高額で算定する」とし、4年目を迎えていたC-HRを192万円で下取るというのだ。

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トヨタ「C-HR GR SPORT」(写真:松永和浩)※イメージです

 これには正直驚いた。実はこの前に日産系ディーラーで見積もりすると145万円と言われていたからだ。慌てて買い取り業者にも相談してみたが、そこでも170万円が精一杯と言われる。つまり、この時点でトヨタ系ディーラーは破格の下取り額を提示していたのだ。特にエクストレイルを購入した場合を、補助金55万円が出るプリウス PHEVと比較するとトータル約100万円の差が出てくることになる。この差は大きい。これで実質500万円の壁も何とかクリアできることとなった。

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プリウス PHEVの見積書。下取り車の価格が想定を上回ったことで支払総額は320万円台に収まった。補助金が適用されれば実質270万円弱となる ※一部加工済み

無事抽選には当たったが

現物を見ていないがゆえの事態も

 こうしてエクストレイルに後ろ髪を引かれつつも、プリウス PHEVの抽選に参加することにした。この時、ディーラーに割り当てられた台数は78台。県内に56店舗あるこのディーラーでは各店舗で割り振ると平均で2台も当たらないことになる。聞けば2月下旬の契約の時点で約200台ほどの契約があり、筆者と関係がある店舗では計4台が契約されたという。競争率は2倍から3倍。思ったより競争率は高くない。それでもクジ運が弱い自分としては「外れたらエクストレイル」との気持ちで結果を待った。

 そして、抽選の結果は“当選”。しかも、納車順位は8番目。予定では5月下旬に生産が始まり、6月には納車できる見通しだという。最長では2024年に入ってからの納車となった人もいたそうで、それに比べたら予想以上の好結果だ。

 ……が、ここで思わぬ事態も発生した。契約を終えた後の3月3日にカタログが届き、その内容をチェックしているとHEVのZグレードとは異なる部分があちこちで発見されたのだ。

 まずヘッドランプ。これはPHEVだけハイビームコントロールが“アダプティブ”となっていた。今どきの新型車なら標準装備であってほしいだけに、これはうれしい誤算となった。しかし、ラゲッジスペースがHEVの410Lよりも小さい342Lとなっていたのにはがっかり(いずれもリアシート使用時)。車高を低くするためにバッテリーをフロアに収められなかったことが影響しているに違いない。一方で、この効果でリアシートをたたんだときはフロアがフラットになることもわかった。

まさにギャンブル! 抽選販売の新型「プリウス phev」当選に至るまでの顛末を実体験レポ!

ヘッドランプの仕様。PHEVだけがアダプティブ式となっていることがわかる <資料提供 トヨタ自動車>

 サンルーフの仕様も営業マンからのアドバイスとは違っていた点だ。営業マンからは「ソーラー式サンルーフを選ぶとルーフが黒になるが、この生産の見通しが立っておらず、ウチでは受注を受けないことにした。普通のパノラマサンルーフなら受注できるが、ルーフはガラスの部分だけがブラックになる」と聞いた。そこでガラスの部分だけが黒くなるのも美しくないと思い、オプションから外していたのだ。しかし、カタログをよく見るとパノラマサンルーフでもルーフが黒くなるツートーン仕様となっていたのだ。

まさにギャンブル! 抽選販売の新型「プリウス phev」当選に至るまでの顛末を実体験レポ!

ソーラー式サンルーフと同様、パノラマルーフもルーフがブラックでツートーン仕様になる。写真はHEV <写真提供 トヨタ自動車>

 これらを営業マンに質すと「我々もそこまでは知らなかった」との回答。やはり実車も確認できないまま契約する行為は、わかってはいたけれどかなり危険であるのは間違いない。今回の事例がそれを物語っている。とはいえ、受注がはっきりしなければ生産計画が立てられないメーカーの事情も理解できる。今回は生産の不確実性を改めて実感したわけだが、せめて受注は実車が確認できる状態ができてから行なうべきではないだろうか。さらに言えば、発売日の意味がほぼなくなっているのもおかしな話だ。

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ラゲージスペースのスペック表 <資料提供 トヨタ自動車>

 そんな中で抽選で買う権利が当たった5代目プリウス PHEV。下取り車があるのと、交渉の結果、用品での値引きが少し得られたのと、環境性能割も免税となったことで、支払額は320万円ほどに落ち着いた。これは手持ちのC-HRの購入価格に相当する支払額だ。国産車もここへ来て価格が一気に跳ね上がったことを実感する。

 とはいえ、ここに補助金が適用になれば55万円が戻ってくる。もちろん、東京都のように自治体からも補助金があればさらにうれしいのだが、残念ながら私が住んでいる千葉県内の自治体ではそれはない。それでも下取り含んで実質270万円弱の負担で済む。下取り車を含んでの計算とは言え、最新のPHEVを手に入れたうえでこの価格はかなりお得だ。

 以上のように、契約までいろいろあっただが、納車まで残すところあと1ヵ月足らず。念願の電動車に乗れる6月を今から心待ちにしたいと思う。

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