多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏は「クラブ選びは重心選び」と表現する。最新のギアを計測・分析するなかで、注目データをピックアップし、読み解く。今回はロイヤルコレクションの「TM-X」ドライバー。クラブ選びの参考にどうぞ!
ほどよいスピン量のフェード系弾道でスコアメイクしたいゴルファー向け!? ロイコレ「TM-X」はどんな計測データ?【ヘッドデータは嘘つかない!】
“ロイコレ”の最新ドライバー
クラブ長さは45.13インチと標準的だが、クラブ重量は306.0gとやや重く、スウィングウェイトもD2.7とやや大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが292万g・㎠と大きい。この数値であれば本来はドライバーのヘッドスピードが46m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計だろう。
ヘッド全体は縦長形状の米国モデル風で、時計の文字盤でいうところの1~2時方向の張り出しが大きく、球をつかまえ過ぎない弾道をイメージできる。また、ヘッドの後方が高いハイバック形状で、レベルにスウィングして厚いインパクトになるイメージもある。
適度なスピン量で弾道は安定する
実際に試打したところ、アドレスでは米国モデルのような、フェースアングルが1.5度オープンという強いオープンフェースと、57.0度とフラットなライ角で球をつかまえ過ぎないイメージがある。とはいえ、FP値(フェースプログレッション)が小さい、いわゆるグースネック系と左右の丸み(バルジ)が少ない平らなフェース面で、少し球をつかまえるイメージも出している。
ヘッドのソール面のウェイトビスがフェースの中央よりもトウ寄りの配置で、計測する前からトウ寄りの重心位置が想像できた。実際に、重心距離が48.9ミリと非常に長く、結果、ネック軸回りの慣性モーメントも8883g・㎠と非常に大きくなっている。ダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかなことに加え、フェース中央よりもややトウ側にスイートスポット(SS)位置があるので、フェードバイアスヘッドといえる。
フェース面のSS高さが36.7ミリと高めなので、スピンが適度に入り弾道が安定し、球をつかまえ過ぎずに高弾道フェード系イメージで攻めたいゴルファーに向いているだろう。シャフトが軟らかかったので、シニアゴルファーにも打ってもらったが、総じてキャリーで180Yくらいのゴルファーが綺麗な弾道で球を飛ばしていたので、このクラブのターゲットになるのではないか。
これが「TM-X」ドライバーの計測データだ!
フェースアングルは1.5度オープン。国産モデルとしては強いオープンフェース設計。57.0度のフラットなライ角と相まってつかまえ過ぎないイメージが出ている。しかし、グースネック風なので、アドレス時にヘッドのどこを見るかでイメージは変わる可能性がある。
またフェース高さは55.2ミリと標準的なフェース高さだが、ヘッド後方が高いハイバック形状で、投影面積はそれほど広くなく、強弾道をイメージできる。
重心距離は48.9ミリと非常に長い。ここまで重心距離の長いヘッドはあまり見かけない。フェース中央よりもトウ側にSSがあるので、フェードバイアスヘッドといえる。
ヘッド重量が199.2gとやや重い。また低重心率が66.5%と高重心でスピンが適度に入る
※週刊ゴルフダイジェスト2023年6月6日号「松尾好員のヘッドデータは嘘つかない!」より
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