Photo by Atsushi Harada
新型テスラを街で見かける機会が増えてきた。モデルYは、ずんぐりスタイルのSUV。ワールドワイドで支持を集めるBEVだ。デュアルモーターのパフォーマンスを体感した。
パフォーマンスの瞬発力はかなりのレベル
走りはすべてがダイレクトで俊敏
モデルYの日本仕様は、標準バッテリーを搭載しリアモーターで後輪を駆動するエントリーモデルの“RWD”と、ロングレンジのバッテリーを積み、デュアルモーターのAWDとした最上級の“パフォーマンス”の2タイプとなる。
一充電当たりのWLTCモード最大航続距離はそれぞれ507kmと595km、最高速度は217km/hと250km/h。0→100km/h加速は、RWDでも他メーカーBEVの高性能版とほぼ同等の6.9秒、パフォーマンスは3.7秒を誇る。このあたりは、いかにもテスラらしい。
テスラ・モデルYデュアルモーターAWDパフォーマンス/価格 758万1600円。モデルYはRWD(587万1600円)とAWDパフォーマンスの2グレード構成。室内は超シンプル。センターモニターで各種表示と操作を行う。独立したシステム起動スイッチはなく、ブレー キを踏み、コラムセレクターをDにセレクトすると走り出す
クロスオーバーSUVとしての利便性はハイレベル
“乗用車で世界最大級”のパノラマルーフも
走行モードを“最速”に設定したときの刺激度はインパクトたっぷり。AWDなので発進時の蹴り出しは強く、めっぽう速い。しかも音もなくスムーズ、2重ガラスの採用部位がかなり広範囲におよぶ効果で静粛性にも優れている。
足回りは、かなり引き締められている。重心高が高いSUVであっても運動性能を重視したためだ。操舵に対して応答遅れを感じない切れ味鋭い回頭性と正確なライントレース性は、その賜物に違いない。アクセルワークとステアリングワークの両面に対して、極めて高いダイレクト感があり、意のままの走りを実現している。ただし乗り心地はややコツコツとした硬さを感じた。
室内空間は広く快適。シートは座り心地に優れた薄型形状。後席は足が組めるほど余裕がある。ルーフは“世界最大級”のパノラマルーフ仕様。ガラスは遮音性の高い2重構造部分が多 く静粛性に貢献している
テスラ・モデルYリアシート
とにかくすべてがユニークで
興味をかき立てられるクルマ
後席は3分割可倒式。ラゲッジ容量は最大2158L。幅も奥行きも十分
フロントにも117Lの荷物スペースを用意する
テスラは、独自の充電網“スーパーチャージャー”を全国に展開中である。スーパーチャージャーは充電用コードが細くて軽く、重たい充電ガンもない。プラグをサッと差し込むだけで大きな電力で即座に充電できる画期的なシステム。日本のチャデモに対応するアダプターも用意されているが、スーパーチャージャーは比べ物にならないほど使い勝手がいい。全国各地のホテルをはじめ、着々と設置しているテスラの努力はユーザーフレンドリーで素晴らしい。
世の流れとは逆に、昨年末に大幅な値下げを行ったことにも面食らったものだが、とにかくすべてがユニークで、興味をかき立てられるクルマである。日本でも販売好調なのは、うなずける。
(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/原田 淳)
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