ドゥカティが誇る独創的なパフォーマンスクルーザー、ディアベルがV4エンジンを得て大きく進化した。スーパーバイクの血統を受け継ぐ強烈なパワーと、唯一無二のスタイリングとの組み合わせで、その魅力とパフォーマンスを大きく引き上げた。
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ドゥカティ「ディアベルV4」インプレ(宮崎敬一郎)
DUCATI Diavel V4 総排気量:1158cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型4気筒 シート高:790mm 車両重量:236kg税込価格:299万9000円~
強烈パフォーマンスだが洗練された上質さも光る
ドゥカティのディアベルV4はとにかく人の目を集めるバイクだ。全体のフォルムは、まるでバッファローが戦闘態勢で身構えているみたいだし、各部パーツの意匠や仕上がりも非常に凝ったもの。マフラーエンドの4本バイプの排気孔とか、フェンダーから浮き上がるようなデザインのテールランプなど、近くで見ても走っている姿を見ても、見る者の視覚にタダモノではないこと焼き付ける。
目立つのはその造形だけではない。ちょっと加速すれば、V4独特の排気音を野太く響かせる。ブン回せばかなり遠くまで響く個性的な音質だ。…こうした、バイクそのものから発散される様々なアピールが、ディアベルV4最大の魅力。
そんなディアベルは、旧世代から強烈な瞬発力を武器にした暴力的な走りもウリ。この新型V4はディアベル史上最強の動力性能を持っている。トラコンなどの電子制御がなければ、絶対に使いこなすことのできない猛烈な勢いで加速する。
画像: ドゥカティ「ディアベルV4」インプレ(宮崎敬一郎)
今回の試乗はエリアが限られていたため、ご自慢の猛烈な加速をフルに堪能することは叶わなかったが、明らかな進化として、パワーリフトをギリギリ抑えて加速するような制御などから察するに、電子制御ライディングアシストが大きく進化しているようだ。
加えて、足回りの見直しが効いているのだろう。サスがよく動いて、乗り心地が低速域から良い。また、フロントの舵角の付き方などが以前より一層自然なものになっていて、ハンドルを抑える力が全くいらない。
新型ディアベルV4は、まるで普通のネイキッドのように、街中から峠道、ツーリングなどにも適応できるナチュラルな操縦性を手に入れている。もちろん、エンジンのパワーモード設定などは最も敏感な設定を避けた方が気楽に扱えるが…。スペックは強力だし、ルックスの押し出しの強さはバイク界最強レベル。だが、乗った印象は、意外にも紳士的に操ることもできるようになっていた。ただ、スロットルを大きく開ければ、相変わらず「怪物」が目を覚ます。面白いバイクだ。
ドゥカティ「ディアベルV4」カラーバリエーション
ボディカラーは、「ドゥカティ・レッド」、「スリリング・ブラック」の2タイプ。
ドゥカティ・レッド
画像1: ドゥカティ「ディアベルV4」カラーバリエーション
スリリング・ブラック
画像2: ドゥカティ「ディアベルV4」カラーバリエーション
ドゥカティ「ディアベルV4」ライディングポジション・足つき性
シート高:790mm
ライダーの身長・体重:176cm・68kg
画像: ドゥカティ「ディアベルV4」ライディングポジション・足つき性
幅はあるがシート高は低いので足つきは良好。シッティングポイントがエグれているので、そこで下半身をホールドするのだが、急加速すると腰に負担が来る。Uターン時などは、小柄なライダーにはハンドルが遠く感じるかもしれないが、Uターンはしやすい。
画像5: ドゥカティ「ディアベルV4」インプレ(2023年)V型4気筒エンジンを搭載した史上最強のディアベル降臨!
ドゥカティ「ディアベルV4」各部装備・ディテール解説
ネイキッド、クルーザー、スポーツを融合させた独自のデザインコンセプトは健在。
アルミモノコックフレームで車重は前モデルより13kg以上軽量に。ハンドルバーは前モデルより20mm手前となり、扱いやすさにも配慮。
スーパーバイクの血統を受け継ぐV4グランツーリスモエンジンは168PS。アイドリング時などにリアバンクを休止する機構も備える。
50mm径という極太の倒立フォークを装備。ブレーキキャリパーはブレンボのStylemaで、ローターはΦ330mmをダブルで装備する。
スイングアームは片持ち式、リアショックはザックス製。切削加工が美しいホイールは月をイメージしたデザインだ。
厚みを抑えた大型のLEDヘッドライトは、左右にCシェイプのDRL(デイタイム・ランニング・ライト)をビルトインしたもの。
4種類のライディングモードを搭載。カラーTFTメーターはすっきりしたレイアウトで表示情報をライダーが把握しやすいデザイン。
車名ロゴを贅沢に2色であしらったシートは、ホールド性の高いバケットタイプ。シングルシートカバーは車載工具で着脱可能。
シート下スペースにはあまり余裕はない。シート下のノブを使えば、写真のように引き出し式のグラブバーが顔を出す。
テールカウルの下側のテールランプは、まるで昆虫の複眼のようなデザインのLED。見る者の視線をクギ付けにするアイテムだ。