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SUBARU BRZ GT300 仕留めきれず6位フィニッシュ

SUBARU BRZ GT300は山内英輝がポールポジションを獲得。史上最多タイとなる13回目のポールシッターとなった。しかし決勝レースでは、6位にとどまり表彰台に手が届かなかった。

subaru brz gt300 仕留めきれず6位フィニッシュ

公式練習〜決勝まで好天に恵まれた鈴鹿

2023年スーパーGTシリーズ第3戦SUZUKA GT 450km RACEが、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催された。週末は台風2号の影響があり豪雨に見舞われ、新幹線の運休や高速道路の通行止めなど混乱が生じていた。SUBARUチームもレースクイーンのBreezeが土曜日に到着できない影響もあった。

しかし、レースチームには影響なく、全員が揃い金曜のチームミーティングも予定通り行なっていた。今回の狙いはビッグポイント獲得だ。開幕戦、第2戦とノーポイントレースが続き、またトラブルもいくつか発生しており、波に乗れない状況からの脱皮だった。

土曜日午前に行なわれた公式練習では、走り始めからバランスがいい。それは第2戦の決勝レースで試したセットアップが決まり、その同じベクトル上で鈴鹿向けのセットアップが決まった様子なのだ。

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小澤総監督に聞くと、富士でのレースは後方から追い上げになるため、普通のことをやっていたら上位には入れない状況。だから少しギャンブル性はあったものの、トライした結果だという。

一体何を変更したのだろうか。ポイントはコーナリング時の車両姿勢だという。数ミリの変更というが、よりダウンフォースを制御しやすい姿勢に変更したという。

今季はレギュレーションの変更もあり、空力ボディの変更をしている。前後のデザインも変更されているため、空力特性は22年仕様とは異なっている。特徴としてはダウンフォースが得られやすくなったというが、単に増やすだけではバランスが崩れるだけなので、そのさじ加減が難しい。そうした領域でのバランス調整が見えてきたということなのだ。

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山内は公式練習を走り出して4周目には全体2位のタイムを出している。1分57秒726だ。2021年8月の鈴鹿で山内は1分57秒322を出し、ポールポジションを獲得している。そのタイムにわずか0.4秒差だ。また、10周目には1分57秒344を出し全体トップのタイムをマークした。

BRZ GT300のタイムで、22年には井口が1分57秒140を出しており、タイムを見れば今季のBRZ GT300はチャンピオンマシンの状態に近づいていると考えていいだろう。

公式練習ではタイヤのマッチングや空力バランス、ジオメトリーの調整などを行ない、トラブルもなく予選に臨むことになった。

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予選

井口がQ1を走る。不思議なことに今年は2レース続けてQ1突破ができていない。それだけライバルマシンとのレベルが拮抗し、またBoPによる負担も大きいことが影響しているわけだ。

タイヤの温まりが早い傾向にあるダンロップタイヤなので、井口は全車がコースインしたあと、ゆっくりとコースインした。コースクリアな状況でウオームアップを行ない、タイム計測する。3周目に1分57秒254を計測し全体2位。その後2台に抜かれるも4番手でQ1を突破した。

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この井口のタイムは午前中の山内のタイムをセクター1、3、4で抜いており、BRZ GT300の仕上がりが良いことがわかる。このあと山内が走るQ2予選では、路面にラバーがのり、さらにタイムアップが期待されるのだ。

山内も井口同様、全車がピットアウトしてからゆっくりとコースインをする。3周目、フルアタック。

すべてのセクターでベストタイムを記録し、1分55秒775という驚異的なタイムを出した。チーム無線からは、澤田稔監督から「ちょっと速すぎるね〜」と最高の賛辞が山内に贈られたのだ。通算13回目のポールポジションはベテラン高木真一に並ぶ記録となった。

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ポールポジションを獲得し、抱き合う小澤総監督と山内英輝

決勝の戦略は逃げる展開を想定。前を走るマシンが一台もいないから、逃げるだけ逃げていく作戦だ。ドライバーローテーションは山内>山内>井口。タイヤ交換は都度、状況をみながらの交換を想定し、最初のピットインはユーズドタイヤであることからも早めのタイミングになると想定した。

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ポールポジション記者会見・やっぱりスバルは・・・

決勝レースのスタートは綺麗にホールショットを決め、想定どおり山内は逃げた。唯一2分を切るタイムで走行し2位以下を突き放す。

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ポールスタートで序盤から後続を引き離す

ところが1周目に早くもピットインをするチームがあった。7号車のBMW、52号車の埼玉トヨペットだ。ミシュランとブリヂストンを履くマシンで、この作戦は450kmを2スティントと考えての作戦。2回のピットイン義務、給油義務があるが、最初のピットインで給油をチョンと行ない、すぐにピットアウト。レースの折り返しまでそのまま走り切る作戦だ。同様に2周目に2号車もピットインをし、すぐにピットアウトしている。

つまり、ピットでのタイムロスが1回分で済むわけで、BRZ GT300は2回とも給油、タイヤ交換に時間を費やすことになる。となると、逃げに逃げまくって逃げ切れるかという展開になる。

山内は、6周を終えた時点8.024のリードを築き、毎ラップ1秒以上突き放す走りを披露している。だが、他のマシンがトラブルを出しFCYとなった。その影響で2位との差は26.244秒に広がった。最悪なのは、このあとFCYがSCへと変更されたことだ。

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SCでリードを失うが再開後も快調な走りを見せた山内

大量のリードも束の間。あっという間に築いたリードは吐き出されてしまったのだ。13周目にリスタートとなり、レースは再開。山内はへこたれることなく、再びリードを築くことに専念する。ポジションは1位をキープしたまま差を広げていく。

21周を終えて最初のピットイン。給油とリヤタイヤのみの交換でピットアウトする。ポジションは13位だ。ここから山内のタスクは順位を挽回することに変わる。順位を見るとやはり早期にピットインした2号車、7号車、52号車が1位から3位を占めている。当然と言えば当然だ。ピットでのサービスは給油のチョン差しだけであり、SCが入った時に、SCの最後尾に追いつくことができ、ピットロードのアウトインタイムも大幅に短縮することができていたことが大きい。

35周を終えて山内は7位まで順位を上げているがトップとは1分6秒の差がある。2回目のピットではライバルもフルサービスになるため、このタイム差はコース上で取り返すことになる。厳しい。。。

それでも山内はコース上で2台を交わし、ピットインするマシンもあるため順位は6位、5位へと上がり、41周を終え2回目のピットイン。この時の順位は3番手だ。

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井口もトップより速いタイムで走っていたが…

井口に交代しコースに戻ると11位。上位にはピットを済ませていないチームを除くと6番手で復帰している。44周目は5位に浮上している。が、50周目、同じダンロップを履く11号車のGT-RもBRZ GT300と同じ戦略で、コースに戻る時、井口の前で戻ったのだ。おそらく給油時間の差だろう。ほんの数秒の差で井口は6位に後退しトップを追いかけることになる。

53周目、6位と順位は変わらないがトップとの差は25.081になっている。やはり2スティント戦略はタイヤの負担が大きくラップタイムが落ちているのだ。井口は11号車、60号車の3台で5位争いをしているが、いずれもダンロップユーザーだ。レースはのこり20周以上残っている。

そしてこの3台はトップとは毎ラップ1秒以上速いペースで走っている。あと15周もすればトップに追いつくことになるのだ。54周を終えた時、GT500とGT300のマシンが絡み、23号車が大クラッシュを喫した。そのため、赤旗となり、そのままレースは終了となった。

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声援は力だ。鈴鹿でも多くのファンがエールを送った

SUBARU BRZ GT300は6位フィニッシュし、5ポイントを獲得。ポールポジションの1点を加えシリーズポイントは6点を獲得した。

レース後山内は「マシンに速さがあることはわかったし、展開によっては勝てるレースだった」と話すように、明るい材料は手に入った。次戦は富士スピードウェイで8月4日(土)、5日(日)に450kmで開催される。果たして各チームの戦略はどうなるか?BRZ GT300は逃げ切る展開以外の戦略は難しいと想像するが、ライバルもBRZ GT300の速さは認めているだろう。2スティント作戦が次回も通用するか、熟考することになるはず。次戦もまた楽しみになった。

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