スポーツクルーザーとして2022年に登場したローライダーSTは、高い人気を誇るローライダーSをベースに、フロントフェアリングやサイドバッグを搭載したツーリングモデル。1923ccの強力なエンジンのパワーを活かした、爽快なクルージングが楽しめる。
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ハーレーダビッドソン「ローライダーST」インプレ(宮崎敬一郎)
HARLEY-DAVIDSON LOW RIDER ST 総排気量:1923cc エンジン形式:空冷4ストOHV4バルブV型2気筒 シート高:720mm 車両重量:327kg税込価格:312万1800円~
素直な走りと快適性の高さを両立した一台
現行のハーレーのクルーザーファミリーはソフテイル系のフレームをべースにしている。独特のスイングアーム形状から、リアがリジット風に見えるスタイルが魅力だ。
そんなファミリーの中で、ワイルドな雰囲気と、高級感溢れるフィニッシュで人気になっているのがこの「ローライダー」。今回試乗したのは昨年加わったSTというスポーツツーリングバージョンで、かつてのモデル、FXRTに似たデザインのフロントフェアリングと、スリムなサドルバッグを装備しているのが特徴だ。
ツアラー系の重厚豪華なツーリング装備に比べるとスッキリした印象で、装着による重々しさは全く感じない。ローライダーS同様のスポーティなたたずまいはそのままだ。
実際のところ、ローライダーにカウルとパニアを付けただけではなく、足回りには専用のセッティングが施されているようで、これがクルーザーとは思えないような素直なハンドリングと、ツーリングファミリーと変わらない上質な乗り心地も手に入れている。サス自体のトラベル量もソフテイル系としては多めなようで、どんな衝撃に対してもゆとりのあるしっとりとした動きで対応できる。肉厚のあるシートも心地よい。
画像: ハーレーダビッドソン「ローライダーST」インプレ(宮崎敬一郎)
搭載するエンジンはミルウォーキー・エイトの117。ハーレー空油冷Vツインの最強ユニットだ。どんな回転域からでもレスポンスはダイレクトだが、硬いものでブッ叩かれるような荒々しい反応はしない。適度に角が丸いレスポンスなのに、そこからのパワーの立ち上がり方は猛烈! 300kg以上ある車体をスポーツNKなどより素早くダッシュさせる。Vツインのパルスも迫力いっぱい。3000回転まで、生き物のようにスロットル開度で表情を変える。これも楽しい。
ローライダーSTは、このよくできた強力なエンジンと、新たに施された素晴らしいセッティングの車体回りによって、見た目の重装備を意識させない、スポーティな走りまでこなせるマシンに仕上がっている。その快適さもさることながら、扱いやすさも大きな魅力。バランスの取れた、使い勝手のいいモデルだ。
ハーレーダビッドソン「ローライダーST」ライディングポジション・足つき性
シート高:720mm
ライダーの身長・体重:176cm・68kg
画像: ハーレーダビッドソン「ローライダーST」ライディングポジション・足つき性
カウルの防風力はさすがに優秀で、ちょっと上体を低く構えるだけでヘルメット上半分まで直撃風を防ぐ。速度にして80〜140km/h以上まで巻き込み風も無く、直進安定性も乱さない。大柄なライポジだが足つきは悪くない。
画像1: ハーレーダビッドソン「ローライダーST」インプレ(2023年)最強の空冷エンジンで愉しむ爽快ツーリング
ハーレーダビッドソン「ローライダーST」各部装備・ディテール解説
スタイリングのモチーフは1983年に登場したFXRTスポーツグライド。個性あふれるフォルムと快適なツーリング性能を両立している。
デビューは2022年だが、2023年モデルからはこの新色、ホワイトサンドパールが登場した。こちらの価格は312万1800円~。
ミルウォーキーエイト117エンジンは排気量1923cc。ヘビーブリーザーインテークを備えた、現行の空冷最強ユニットだ。
ストレートな右2本出しのサイレンサーは細身の形状。ヒートガードとエキパイのカバーはマットブラック仕上げとなっている。
シングルレートスプリングを備えるフロントフォークはカートリッジタイプの43mm倒立。装着タイヤはミシュランのスコーチャー。
駆動方式は静粛性とメンテナンス性に優れたベルトドライブ方式。ソフテイルらしく、スイングアームはリジッド風デザイン。
リング状のポジションランプを備えるヘッドライトはLED。フェアリングはかつての個性派モデル、FXRTをオマージュしたもの。
ハンドルバーライザーに内蔵されるデジタルメーターは、ブレイクアウトなどと同じタイプの反転表示液晶を使ったコンパクトなもの。
シートはシングル仕様。ホールド性に優れるバケットシートは肉厚で座り心地も上々。疲れ知らずで長旅を楽しむことができる。
着脱式のサドルバッグはコンパクトに見えるが、容量は左右で約53.8リットル。泊まりのツーリングも余裕でこなせる。
丸型ウインカー、テールランプはLED。テールランプのレンズは、かつてスポーツスターなどに採用されてきたハーレーらしい形状。
ハーレーダビッドソン「ローライダーST」主なスペック・価格
ハーレーダビッドソン 2023年の注目モデル – webオートバイ