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ルパンのクルマがトム・クルーズと共演? 最新「ABARTH 500e」

ルパンのクルマがトム・クルーズと共演? 最新「abarth 500e」 イタリア、バロッコで開催されたアバルトの新型500e(チンクエチェント・イー)の試乗会。この新型アバルトといえば、7月公開のトム・クルーズ主演『ミッション・インポッシブル デッドレコニング』に登場するということでも注目を集めている。

そんな新型アバルトをカーライフ・エッセイストの吉田由美が取材した。

久しぶりのイタリアは、新型「ABARTH 500e」の試乗会だった。

「アバルト500e」(アバルト チンクエチェントイー)とは、フィアットの国民的人気車「FIAT 500」の最新モデルで電気自動車(BEV)の新型「FIAT 500e」のアバルト版。

ちなみにチンクエチェントとは、イタリア語の「500」の意味で、日本でも「チンクエチェント」とか「チンク」と呼ばれて親しまれている。とりわけ日本では、アニメ『ルパン三世 カリオストロの城』に登場する旧型の黄色い「フィアット NUOVA 500」がルパンの愛車として有名だが、その最新モデルが「フィアット500e」だ。「500e」の「e」はエレクトリックを表す。

ルパンのクルマがトム・クルーズと共演? 最新「abarth 500e」

(ABARTH オフィシャル写真より)

ABARTH オフィシャル写真より

アバルトとは、1949年にカルロ・アバルトによって設立され、フィアット車でレースに参戦したりチューニングなどを行っていたが、1971年にフィアット傘下となり、現在はフィアットのアバルト部門としてチューニングモデルを提供する。日本での人気も高く、販売台数はイタリアに次いで世界2位。サソリのマーク「スコーピオン」がアイコンで、アバルトを愛してやまない女性ファンのことを「スコーピオンナ」というそうだ。

試乗場所はミラノから約70km、バロッコにあるステランティスのテストコース「ステランティス・バロッコ・ブルーピング・グラウンド」。

ここはもともとはアルファロメオのテストコースだったが、今はアルファロメオ、フィアットなどステランティスグループ傘下のフェラーリ、ランチア、マセラティ、アバルトなどイタリアブランドの開発をこのテストコースで行っている。

ルパンのクルマがトム・クルーズと共演? 最新「abarth 500e」

「アバルト500e」の魅力は、なによりフロントフェイス。特にヘッドライト部分がユニークで、ガソリンエンジンのアバルト500はフィアット500同様、正統派アイドル的な真ん丸お目目だったのに比べ、「フィアット500e」は、上まぶた部分がボンネット部分に隠れ、まるで「チコちゃん」のようなちょっと何かを企んでいるかのような目。これが「アバルト500e」になると上目の部分がアイラインのように黒くなり、目ヂカラアップ。サソリの毒がすでに注入されたかのような、この表情がたまらない。

「フィアット500e」よりさらに目元が強調されるのだ。フロントグリルも「フィアット500e」は「500」の最後の「0」が「e」にも見える数字のロゴからダークチタングレーの「ABARTH」のアルファベットのロゴへ変更されている。そのすぐ上のボンネット先端にはアバルトのサソリ「スコーピオン」のエンブレム。

それ以外のスコーピオン印は、ドアの横やホイール中央にも配置され、車に乗り込む際には必ず目に入るが、そのサソリマークは「アバルト500e」の専用色である黄緑色アシッドグリーンに黒の斜めストライプ。そこに黒の稲妻が走る。

ルパンのクルマがトム・クルーズと共演? 最新「abarth 500e」

「フィアット500e」と「アバルト500e」ではボディサイズが「アバルト500e」のほうが全長が41mm長く、全高が9mm低く、車両重量が45kg増。外観の違いは、フロントダンパーやリアデフューザー。これによって「アバルト500e」にはスポーティ感がプラスされる。

「アバルト500e」には、「アバルト500e」と「アバルト500ツーリズモ」があり、それぞれにハッチバックとカブリオレの設定があるが、今回の試乗車はすべてトップグレードの「アバルト500eツーリズモ」。

私が試乗したのは「アバルト500ツーリズモ」のカブリオレで、専用の18インチのダイヤモンドカットチタングレーの合金ホイール。タイヤはブリヂストンとの共同開発のポテンザ・スポーツ。

ルパンのクルマがトム・クルーズと共演? 最新「abarth 500e」

インテリアはファブリックにエンボス加工されたストライプのスコーピオン。そこに「アバルト500e」のコミュニケーションカラー2色のダブルステッチ。フロントシートはヒーターが付いている。ほかにも嬉しい装備として、今や新型車には当然のように装備されているワイヤレス充電も用意されている。

安全装備もリアビューカメラや死角を防ぐブラインドビューモニターなどを装備。JBLプレミアムオーディオシステムが搭載されている。

音と言えば、スイッチをオン/オフする時にロックギター音やアバルト専用のジングルがお出迎え。これにも、テンションが上がる。

そしてもうひとつ。アバルトのガソリンモデルの「アバルト695」のエンジンサウンドを忠実に再現する「アバルト・サウンド・ジェネレーター」が「アバルト500e」に搭載されている。

42kWhのバッテリーと113kWのモーターを搭載し、満充電での航続距離は約265km。急速充電にも対応する。バッテリーは「フィアット500e」同様、床下に搭載。また、サスペンションはフロントにマクファーソンストラット式、リアにトーションビーム式と専用のショックアブソーバーを搭載する。

試乗は、まずはコースの下見も兼ねてガソリンエンジンの「アバルト695」で2周。コースは高速周回路とコーナーの多いハンドリングコースの組み合わせ。天候は雨。路面はウエット。気温は13度ぐらい。

「アバルト695」はMTで、トルクがあり、シフトチェンジ時に200回転ぐらい自動で上がるらしく、シフトチェンジがしやすい。しかし何より運転が楽しい。そしてこの時に聞いたエキゾースト音……。

ルパンのクルマがトム・クルーズと共演? 最新「abarth 500e」

続いて「アバルト500e」。ドライブモードはツーリズモ、スコーピオンストリート、スコーピオントラックの3つあるが、まずは「スコーピオントラックモード」を選択。そして「アバルト・サウンド・ジェネレーター」を設定。すると、まるでエンジン車のような野太いエグゾースト音が響き渡る。確かに、さっき乗ったアバルト695と同じ音。そしてアクセルを踏むとスタートから出だしが速い。前の組の人がスタート時にホイールスピンをしていたが、なるほど。スピードに合わせて音の調整がなされ、人工音なのに違和感なく受けられる。

「スコーピオントラックモード」から「スコーピオンストリートモード」にするとパフォーマンスを保ちながら回生ブレーキが効き、ワンペダルで感覚のドライブができ、ブレーキを踏まずとも車をコントロールできる。何より楽しいのはコーナーの立ち上がりからのアクセル全開。これは確かにテストコースやサーキットでしか味わえない特権。この時の加速感は、まさにアバルト695以上。このワンペダルドライブは「スコーピオンストリートモード」と「ツーリスモモード」にのみ設定される。

そのあとの公道試乗では、「ツーリスモモード」と「スコーピオンストリートモード」中心にドライブしてみたが、うっかり「アバルト・サウンド・ジェネレータ」をオンにしたまま村に入ったため、低い音が響く。慌てて車を止めてスイッチをオフにしたが、車が動きながらでも操作出来たらもっと嬉しいと思った。

日本では今秋ごろ発表予定だが、今年7月公開のトム・クリーズ主演の最新映画「ミッション・インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」に新型「アバルト500e」が登場する。「アバルト500e」が日本に上陸する前に、映画で話題になるかもしれない。ルパン三世のチンクエチェントのように。

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