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“11年ぶりに復活のロータリーエンジン“で発電! マツダ「MX-30」のPHEVついに誕生 トータルの航続距離は800kmオーバー!?

「MX-30」はマツダにとって特別なモデル

 ロータリーエンジン搭載車が11年ぶりに復活します。マツダが発表した新型「MX-30 ロータリーEV」がそれ。クロスオーバーSUV「MX-30」のラインナップに新たに追加されたPHEV(プラグインハイブリッド車)です。

“11年ぶりに復活のロータリーエンジン“で発電! マツダ「mx-30」のphevついに誕生 トータルの航続距離は800kmオーバー!?

ロータリーエンジンが発電した電気でモーターを回して前輪を駆動する、新発想のパワートレインが注目を集めるマツダ「MX-30 ロータリーEV」

【画像】ロータリーエンジンが待望の復活! マツダ「MX-30 ロータリーEV」を写真で見る(37枚)

 マツダのラインナップの中で、実験的で特別なモデルにつけられる“MX”という名称からも想像できるように、MX-30はマツダにとって特別な存在です。

 SUVでありながらクーペスタイルのボディをまとい、ドアは一般的な5ドアではなく、後ろヒンジ式のリアドアを採用した観音開きタイプ。そもそもスタイリングも、昨今のマツダのコンセプトとは一線を画しています。

 それはメカニズムも同様です。MX-30のパワーユニットには、マツダの他のモデルに先駆けてマイルドハイブリッドが設定されたほか、マツダ車初となるEV(電気自動車)が展開されたのもMX-30でした。

 まさに、見た目も中身も他のマツダ車とは違うのが、MX-30というモデルなのです。

 そんなMX-30にラインナップに追加された“ロータリーEV”について、マツダはPHEVだと説明します。

 EVモデルの半分の容量(17.8kWh)となるバッテリーを搭載し、それをあらかじめ充電しておくことで日常領域(WLTCモードで107kmまで)ではエンジンを止めたまま走行可能。それよりも長い距離を走る場合は、エンジンで発電した電気でモーターを回すため、ハイブリッド車と同じ感覚で移動できます。

 もちろん、ガソリンを給油すればどこまでも走り続けられるため、純粋なEVとは違って航続距離の不安もありません。

 ちなみにエンジンは発電専用で、タイヤを始めとする駆動系とは機械的につながっていません。エンジンが発電した電気でモーターを回して駆動力を得る、というエネルギーの流れは、日産自動車のシリーズハイブリッドである“e-POWER”と同じと考えていいでしょう。イメージとしては、e-POWERのバッテリーを大型化して充電機能を設け、エンジンを止めて走れる距離を伸ばしたようなものです。

●気になるトータル航続距離は800kmを超える!?

 1回のフル充電に対する航続距離は、MX-30のEVモデルが256km(WLTCモード)なのに対し、ロータリーEVはエンジンを止めた「EVモード」で同107kmとなっています。

 そこから先、エンジンを始動させた状態でのロータリーEVのハイブリッド燃費は、カタログ値で15.4km/L。搭載される燃料タンク容量は50リッターなので、EVモードの107kmと合算したトータルの航続距離は800kmを超えます。

 EVモデルよりも安価なこと(EVモデルは451万円〜、ロータリーEVは423万500円〜/消費税込み、補助金含まず)も含めて、新しいロータリーEVはMX-30の真打ち的存在といえそうです。

最大のトピックは約11年ぶりに復活したロータリーエンジン

 そんなMX-30 ロータリーEVの最大のトピックは、発電機となるエンジンにロータリーエンジンを採用したことでしょう。

“11年ぶりに復活のロータリーエンジン“で発電! マツダ「mx-30」のphevついに誕生 トータルの航続距離は800kmオーバー!?

“レシプロエンジン”と呼ばれる、爆発によってピストンが上下する一般的なエンジンとは異なり、ロータリーエンジンは“ローター”と呼ばれる三角形のおむすび状の部品がエンジン内で回転する独特なもの。

 世界中に多数存在する自動車メーカーのうち、マツダだけが継続的に量産することができた特別なエンジンで、その独特の回転フィールに心躍る人や、エンジン自体に憧れを持っているクルマ好きも少なくないでしょう。

 そんなロータリーエンジンですが、2012年6月に「RX-8」の量産が終了して以来、しばらく新車への搭載は休止されていました。それが今回、約11年ぶりにMX-30 ロータリーEVに採用され、ついに復活を遂げたのです。

 発電用エンジンのため、ロータリーエンジン独特の回転フィールは体感できないものの、復活というだけでロマンを感じます。かつてロータリーエンジンは、燃費の悪さが最大の欠点とされていましたが、MX-30 ロータリーEVはそうしたウィークポイントとは無縁です。

●ライバルと比較してもコスパなどはハイレベル

 最後に、MX-30 ロータリーEVの性能をPHEVを代表する2台と比較してみましょう。

 三菱の「アウトランダーPHEV」はEV走行距離が87kmでハイブリッド燃費は16.6km/L、トヨタ「RAV4 PHEV」はEV走行距離95kmでハイブリッド燃費は22.2km/Lとなっています。

 MX-30 ロータリーEVはこの2台よりも価格が手頃な上、EV走行距離では2台を上回っています。ハイブリッド燃費は若干見劣りしますが、航続距離などはEV走行距離の長さによって十分にカバーできそうです。

* * *

 MX-30 ロータリーEVは、現在も「RX-7」などロータリーエンジン車を所有するユーザーの日常用としておすすめです。しかし、そのスペックを見ると、アウトランダーやRAV4といった定番とは異なる新たな選択肢として、一般の人にも広く進められるPHEVだと断言できます。

●MAZDA MX-30 Rotary-EV Natural Monotone

 マツダ MX-30 ロータリーEV ナチュラルモノトーン

・全長:4395mm

・全幅:1795mm

・全高:1595mm

・ホイールベース:2655mm

・車両重量:1780kg

・エンジン形式:水冷1ローター

・排気量:830cc

・エンジン最高出力:72ps/4500rpm

・エンジン最大トルク:112Nm/4500rpm

・モーター最高出力:170ps/9000rpm

・モーター最大トルク:260Nm/0〜4481rpm

・駆動方式:FWD

・サスペンション:(前)ストラット式、(後)トーションビーム式

・ブレーキ:(前)ベンチレーテッドディスク、(後)ディスク

・タイヤ:(前)215/55R18、(後)215/55R18

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