(ブルームバーグ): SUBARU(スバル)の電気自動車(EV)戦略の鍵を握る米国でのEV工場建設地の決定時期が近づいている。米国で唯一の工場がある中西部インディアナ州が最有力候補となるが、車載電池の調達や州政府からの優遇措置などを踏まえ検討を進めている。
スバルの大崎篤社長はブルームバーグなどとの13日のインタビューで、2027-28年から予定する米国でのEV生産の場所について「いよいよ決断をする時期が近づいてきている」と語った。具体的な決定時期について問われると、「近い将来」と述べるにとどめた。
スバルが主力とする米国でもカリフォルニア州を中心にEV販売が拡大しており、同社は8月に電動化目標を引き上げた。同時にスバルはEVを米国で現地生産する方針も打ち出しており、生産場所が注目される。
米国でのEV生産では基幹部品である電池の調達が重要になる。資本提携するトヨタ自動車や電池供給で協議をしているパナソニックホールディングスの電池子会社パナソニックエナジーなどが調達先の候補となる。EV生産場所の選定は、電池を「トヨタルートで調達するのか、もしくは我々の独自ルートで調達するのか、その辺をバチッと決めてからになる」と大崎氏は述べた。
巨額投資と雇用創出につながることからEVや電池工場を巡っては米国各州が税控除や補助金などの優遇措置を通じた誘致合戦を繰り広げている。大崎社長はEVの生産場所の選定に際しては州政府などからどういった優遇措置が得られるかも重要な判断材料になるとの考えを示した。
大崎社長はスバルが工場を構えるインディアナ州のエリック・ホルコム知事が今月来日した際に面談し、EV生産を含め「お誘いをいろいろ受けた」と明らかにした。大崎社長は、約35年の付き合いのあるインディアナ州はEV生産拠点の「最有力候補になるのかな、とは当然思っている」とした上で、生産場所については幅広く検討しているとも述べた。
スバルが見込む今期営業利益率は7.1%と高水準 | スバルはEVシフトを加速する一方、「業界高位の収益力」維持を目指す
スバルは21年5月公表の中期経営ビジョンでは「業界高位の営業利益率(8%)」を目指すとしていたが、8月に発表した方針では数値目標は明示されなかった。大崎社長は、EV化が進展すれば各社の収益力には大きな影響が出るとみられるが、引き続き業界内では高水準の収益率を目指す考えを示した。具体的な数字を示すのは難しいと述べた。
大崎社長のその他の発言:
生産工程の効率化のためにはどういう車の設計をすればいいのか、というこれまでとは逆の発想で取り組む部品点数削減の手段として、車体部品を一体成形する技術「ギガキャスト」導入も視野ベルトコンベヤーのライン短縮に向けた無人搬送車(AGV)の活用のほか、工場内の物流短縮の取り組みも検討スバルのインディアナ州工場は全米自動車労働組合(UAW)に加盟しておらず、UAWがストライキに突入しても直接的な影響を受けることはまずないUAWに加盟している部品メーカーの工場操業に影響し、スバルに波及することがないかについては調査している自社のEVラインアップ拡大に伴い、現在は苦戦している中国や欧州市場で攻勢に出たい米市場でのスバル車への需要は非常に強く、生産が追いつかないぐらい好調に推移してきている
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