BMWは「ミニ」ブランドのEVの生産を中国の合弁会社に集約する(写真はBMWグループのウェブサイトより)
自動車のグローバル・メーカーがEV(電気自動車)を中国で生産し、世界各地に輸出する動きが相次いでいる。ドイツ自動車大手のBMWグループは9月8日、傘下の「ミニ(MINI)」ブランドのEVを2024年から中国で生産し、全世界に向けて輸出すると発表した。
ミニのEVモデルの組み立ては、BMWが中国の長城汽車(グレートウォール)と折半出資で設立した合弁会社の光束汽車(スポットライト・オートモーティブ)が担当する。光束汽車は2018年10月に発足し、2019年11月から江蘇省張家港市で(工場建設などの)事業活動を開始した。
「ミニ」のEVシフトを中国が牽引
現時点では、ミニは中国市場でエンジン車しか販売していない。光束汽車で生産するEVは、輸出先の海外市場と同時に中国市場にも投入される見込みで、ミニブランドのEVシフトをグローバルに牽引することになる。
なお、BMWのもう一つの中国合弁会社である華晨BMWは、すでにEVの輸出を手がけている。同社はSUVの「iX3」を遼寧省瀋陽市の工場で2020年から生産しており、同年末から輸出を始めた。
エンジン車が主流だった時代には、外資系自動車メーカーのほとんどは中国で現地生産したクルマを中国市場だけで販売していた。外資系メーカーはエンジン、変速機、車台(プラットフォーム)というエンジン車の基幹ユニットの開発力で中国企業に勝っており、中国を完成車の輸出拠点にするメリットは小さかった。
部品調達で際立つ中国の優位
しかし自動車のEVシフトが本格化すると、クルマ作りの基幹ユニットは車載電池、モーター、電子制御装置などに変化した。それらの調達のしやすさ、コスト、納期などの観点から、完成車の輸出拠点としての中国の優位性が急速に高まったのだ。
BMWのミニに比べて一歩先行しているのが、ドイツ自動車大手のメルセデス・ベンツグループだ。同社は2019年、傘下の「スマート(Smart)」ブランドのグローバル事業を、中国の吉利控股集団(ジーリー)と折半出資で設立した合弁会社に移管。中国で生産したEV「スマート#1」を、2023年3月からヨーロッパ市場で販売している。
本記事は「財新」の提供記事です
同じくドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン・グループ(VW)は、傘下のスペインのセアトが持つサブブランド「クプラ(CUPRA)」の新型EV「タバスカン」を中国で生産し、海外市場に輸出する計画だ。
(財新記者:余聡)
※原文の配信は9月8日