ランボルギーニ好調で話題のスーパーSUV アウトモービリ・ランボルギーニは、2023年1月13日、2022年の全世界販売台数が9233台を記録し、同メーカー史上最高の記録になったと発表しました。この販売車種のうち、スーパーSUVの「ウルス」は全体売上の6割を占め、前年比7%増の5367台を売り上げ、同メーカーの好調を支えました。 【え…「SUVじゃありません」?スーパーSUVの数々(画像で見る) 疾走するランボルギーニ・ウルス(画像:ランボルギーニ) 同メーカーの販売台数は3000台前後だったものが、2018年に「ウルス」が加わると、同年に5750台、2019年には8205台へと急伸しています。こうしたスーパーカーブランドのSUVは、“スーパーSUV”などと呼ばれることもあり、世界的に需要が伸びているようです。もちろん、背景には2010年代以降のSUVブームがあります。 アメリカと中国では、SUVがセダンを抜いて最も売れている車種となっているほか、イギリスでは2008年から2017年までの10年間でSUVのシェアは3倍に。2019年に欧州で売れたクルマのうち37%をSUVが占め、2021年になると41%まで増加しています。 この間、日米の自動車メーカーのみならず、BMW、ボルボ、アウディ、ポルシェなどの欧州のメーカーもSUVを作り始めました。なかでもポルシェ「カイエン」は、スーパーSUVの元祖ともいわれるモデルで、十分なオフロード走破性を持ちながらスーパーカー級の動力性能を持つ車両として、発売当初の不評を覆し、2020年代にはポルシェの売り上げの6割をSUVにするほどの人気となりました。 お値段もスーパーSUV、なぜ売れる? この流れは高級スポーツカーや高級車専門に製造しているメーカーにも波及。まずは2015年9月にベントレーがSUVタイプの「ベンテイガ」を発表します。その後、2018年にはランボルギーニが「ウルス」、ロールス・ロイスが「カリナン」を市場に送り出し、2019年11月にアストンマーティンが「DBX」を発表するなど、スーパーSUVのジャンルが確立していくこととなります。 もちろん値段も“スーパー”で、「カリナン」などは4000万円を超えます。それでもスーパーSUVは世界で売れ続ける背景には、「気軽に乗りやすい」ということがあります。 一般的に車高の低いスーパーカーの場合は、乗降性や積載性、最低地上高の低さなど、様々な問題に気を配る必要があり、普段使いには向きません。こうした心配が少ないSUVは、気軽に乗れるスーパーカーという認識が高まっているようです。メーカー側でもそう意識しているようで、ランボルギーニの会長兼CEOのステファン・ヴィンケルマン氏は「ウルスは、最もスポーティなSUVと毎日乗るランボルギーニの決定的な組み合わせを求める人々にとって、その魅力が証明されています」と普段使いできる点をアピールしています。 2022年9月にはついにフェラーリも「プロサングエ」というスーパーSUVに相当するクルマを発表しました。見た目はSUVのそれですが、フェラーリではこだわりとしてSUVとは呼称せずに「4ドアスポーツカー」としています。
半世紀前に誕生した快速戦闘車両 フランスは2023年1月4日、ウクライナに対してAMX-10RC装輪戦車駆逐車を供与すると発表しました。供与される台数については、いまだ不明ですが、肝心のウクライナ軍は、本車をどのように使おうと考えているのでしょうか。 そもそも本車は、その構造から時に「装輪戦車」と呼ばれることもあります。フランス語で戦車はchar(シャール)といいますが、本車の末尾に付与されたRCの略号はRoues-Canon(ルーカノン)の頭文字で、直訳すると「車輪付き砲」であり、これを意訳すると装輪戦車駆逐車となります。つまり、実体はどうあれ、「言葉遊び」が好きな政治的には、本車は名称のうえでは「戦車ではない」と強弁することも可能です。 【砲弾積載から夜間射撃まで】ウクライナへ供与予定AMX-10RCの様々な姿をイッキ見 フランス陸軍のAMX-10RC装輪戦車駆逐車(画像:フランス軍事省)。 AMX-10RCの開発が始まったのは1970年。フランス陸軍は、まだ他国の陸軍が戦車並みの大口径砲を備えた装輪装甲車(あるいは装輪戦車)に着目していなかった時代に、本車の開発を開始しました。東西冷戦が続く当時は、各国ともMBT(主力戦車)の性能向上に躍起となっており、タイヤ駆動の装輪戦闘車両を開発したとしても、その武装は小口径の機関砲や発射時の反動が少ない対戦車ミサイルを搭載するケースがほとんどであり、本車のように当時のMBTとほぼ同レベルの威力を持つ105mmライフル砲を搭載した装輪戦闘車両は皆無でした。 では、なぜフランス陸軍が戦車並みの火力を持つ装輪戦闘車両を求めたのかというと、その理由はアフリカに派遣している部隊や、ヨーロッパ本土の偵察部隊に、高い機動力と強い火力を与えるためでした。 たとえば、攻防どちらの場合でも、単に偵察するのではなく敵の戦力を探ろうと、少しだけ攻撃を加えてその反応をみる偵察方法、いわゆる威力偵察をしたり、防戦時には敵の進攻に際して味方のMBTより先に展開し、MBTの到着までの間、MBT並みの火力を用いて阻止戦闘を行ったり、といった用途が考えられていたようです。 戦車と同じ構造だから高度な教育訓練も必要なし こうしたコンセプトのもとに誕生したAMX-10RCは、1971年に最初の試作車が完成し、1978年から量産がスタート。これまでに輸出された分も含めて約460両が製造されています。ただ、開発開始の時点から半世紀あまりが経過しており、部隊運用もすでに約40年が経っているため、性能的にも陳腐化していることは事実です。 途中で性能向上を目的にした改修なども行われたとはいえ、古い車両です。ゆえに、当のフランスも、後継として「ジャグア」偵察戦闘車の導入を2022年から開始しており、2030年までにAMX-10RCは全車退役する計画でした。 AMX-10RCの後継として導入が進められている「ジャグア」偵察戦闘車(画像:フランス陸軍)。 そういったなか、2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まり、今回ウクライナへ複数台が供与されることになったのです。つまり端的にいえば、数年後には退役する車両をウクライナに供与するという、旧式装備の引き渡しともとれる話といえるでしょう。 ただ、ウクライナにおける戦闘の様相を考慮すると、逆に本車が適しているとも筆者(白石 光:戦史研究家)は考えます。なぜなら、ひとつの理由として、本車がNATO標準弾薬を発射可能な105mmライフル砲を搭載しているからです。 2023年現在の目で見ると、105mmライフル砲は、より強力なNATO標準の120mm滑腔砲と比べて確かに見劣りします。しかし、それでも現用のロシア戦車の撃破は可能です。この点では、35mm機関砲や40mm機関砲より有用です。 また、砲は戦車兵が扱う限りにおいて対戦車ミサイルほど教育訓練に時間を割く必要がなく、戦車と同じように射撃することが可能です。そのうえ、ロシア戦車も含む昨今のMBTは、単純に装甲を分厚くする徹甲弾への対策よりも、対戦車ミサイルの弾頭である成形炸薬への対策に力を入れる傾向があるため、「シンプルな徹甲弾(運動エネルギー弾)」が逆に効果的だといえるでしょう。 世界のトレンド「装輪戦闘車両」の運用に影響も なお、ウクライナでは晩秋と春先に、降雨や雪解けの影響で「ラスプーチツァ」と呼ばれる「泥の海」が出現します。これは戦車など履帯(いわゆるキャタピラ)で走る装軌式車両でも踏破に苦労するほどのものであるため、装輪式のAMX-10RCでは、一層走行に苦労するのではと推察できます。 確かにこればかりは装輪式の弱点であり、だからこそ装軌式が誕生したともいえるのですが、この点はおそらく、AMX-10RC持ち前の良好な不整地踏破能力と、「ラスプーチツァ」の土地で長年培われてきたウクライナ軍なりの泥濘走破のノウハウなどで、いくぶんかはフォローできるのではないかと考えられます。 ...
追随許さず? 「シエンタ」差し置いて売れた「フリード」 2022年の新車販売台数において、ホンダの「フリード」が3列シートのミニバンで、国内ナンバー1となりました。 【内外装どうよ?】6年目のフリードと1年目のシエンタ(写真で比較) フリード モデューロX(画像:ホンダ)。 フリードは、初代モデルが2008(平成20)年に登場し、5ナンバーサイズのコンパクトなボディに3列シートを備え、「ちょうどいい」をキャッチフレーズに人気モデルとなりました。2代目となる現行モデルは2016(平成28)年のフルモデルチェンジ。それから6年目で初めて栄冠をつかむことができたのです。 では、なぜナンバー1を得たのが、モデル末期とも言える6年目だったのでしょうか。 まず言えるのは、フリードの人気の高さは、ポジショニングの良さにあるということです。3列シートのミニバンは、大きさごとに、ざっくりと3つのグループに分けることができます。一番小さいのが、1.5Lクラスのエンジンを搭載するBセグメント・クラスで、ホンダのフリード、トヨタの「シエンタ」が該当します。 その上は、2LエンジンのCセグメント相当。該当するのは、ホンダ「ステップワゴン」、トヨタの「ノア/ヴォクシー」、日産の「セレナ」です。そして最後に、3L相当のエンジンを搭載する一番大きなクラス。トヨタの「アルファード」、日産の「エルグランド」となります。 その中でフリードは、最も小さなクラス。そして小さいということは安いということ。そして安いということは数多くの販売が見込めることを意味します。 さらに、現状でフリードのライバルとなるのは、シエンタただひとつです。ホンダ、トヨタ以外のメーカーの状況はどのようなものなのでしょうか。 まず日産です。日産は2020年投入のキックスが10年ぶりの新車種であったように、日本市場向けの新規モデル投入には消極的でした。フリードクラスのBセグメント3列ミニバンが売れそうなのは、日本とアセアンくらいですから、中国と北米に注力する日産としては、新規開発は難しいと言えます。 フリード「逃げ切り」か マツダは、3列シートのSUVである「CX-8」を投入する代わりに3列シートのミニバンをやめています。スバルは、「エクシーガ」やその改良モデルの「クロスオーバー7」といった3列シート車はあったものの、いわゆる“ミニバン”には消極的で、3列シート車は全廃。そして、ダイハツとスズキは、フリードよりも下のクラスとなる、2列シートの「トール」と「ソリオ」で戦っており、3列シートミニバンには進出していません(OEM除く)。 現状ではフリードのライバルは不在なのです。それだけナンバー1になりやすいというわけです。 次にフリードが良かったのは時流です。端的に言えば、ライバルとなるシエンタのフルモデルチェンジ(FMC)の時期に恵まれました。シエンタは2022年8月23日の新型(3代目)登場に向かって、2022年前半は販売台数を落としていたのです。 また、シエンタは生産の混乱や半導体不足などの打撃で、12月20日時点の納期は「詳しくは販売店にお問い合わせください」(トヨタHPの「生産遅延に基づく工場出荷時期目処の一覧」より)とあります。つまり、納期に半年以上かかりそうなのです。 一方、フリードは2022年6月にマイナーチェンジして商品力を維持しつつ、納期も「半年程度」を堅持しました。その結果、1~8月の販売台数は、フリードが上回っており、その差を活かして、9月以降のシエンタの追撃から逃げ切り、ナンバー1の地位を獲得したというわけです。 新型シエンタ(画像:トヨタ)。 ...
お~い! 今年も始まったぞ~!! 日本最大級のカスタムカーの祭典「東京オートサロン2023」が。2021年はリアル展示を中止しオンライン上のバーチャルでの開催となった。 続く昨年、私(佐藤)は諸事情により入場できず、会場外で自撮りを満喫する事態となってしまった。 そして迎えた2023年は無事に入場できちゃった! イェイ! 撮ったぞ、撮ってきたぞ~!! いろんな写真を撮ってきたので、皆さんにご覧頂こう~!! イェイ! ・D.A.Dのいないオートサロン 今年は2023年1月13~15日(14・15日は一般公開)の日程で開催されている。行動制限のない状況での開催なので、一般公開日は外国人観光客も含めて多くの来場が予想されるだろう。ってことで、会場の様子をお伝えしちゃうぞ! 会場は例年通り千葉・幕張メッセだ。入場口はホール9~11側となっているので、間違って国際会議場に行かないように気を付けよう。 よ~し、じゃあ行ってみよう~ッ!! と、その前に! 恒例の「佐藤のファッションチェック」だ!! 今日はこんな感じのコーディネートで来ちゃったぞ! まずは帽子、私の冬の定番のハンチングだ。実はコレ……。 2013年にトルコで買ったものなんだよねえ。もうあれから10年も経ったなんて、信じられないよ~! 「東京オートサロン2023」のコンパニオン画像集(とても丁寧な来場ガイド付き) 次は手袋。アメ横で買ったライダー用の指抜きグローブ。バイクも2輪免許も持ってないのに、手袋はライダー用なんだよね。いつか免許を取りたいとたくらんでます。60歳までにはね。 そして靴は最近新調した本革のスニーカー。 岡山県児島産のブルーデニムをあしらっている。まだ足に馴染んでないけど、いずれしっかりフィットするでしょう。 そして何より、今日のために着てきた1着がある。みんな、わかるよな? 忘れてねえよな? コレだよ、コレ! D.A.D(デーアーデー)のパーカーだよッ!! オートサロンといえば、D.A.D! これを着て来ないバカいるかよ! 待ってろよ、D.A.D! 今行くからな~!! ……しかし、なんと今年D.A.Dは出展していなかったのだ…… あいうえお順の出展社リスト、「テ」の項目にD.A.Dの名前はなかった。ショックすぎる。たしかめてみたら、2020年の取材時も出展していなかった。どうやら2019年を最後にこの3年出展していないようだ。残念、再びクリスタルベンツを見られると思ったのに……。 ...
両ランプに環道型退出路を設置 群馬県甘楽町とNEXCO東日本は2022年12月27日、上信越道で整備している甘楽スマートICが2023年3月25日に開通すると発表しました。 【どう使う?】ラウンドアバウトっぽいスペースの通行方法ほか(画像で見る) 甘楽スマートICのイメージ(画像:NEXCO東日本)。 甘楽PAに併設のスマートICで、全方向の出入りが可能。ICの間隔が8.9kmあった吉井IC~富岡IC間のほぼ中間(吉井から4.2km、富岡から4.7km)にできます。 上下線側とも、一般道に通じるランプの途中にドーナツ形のスペースがあり、この前後にETCゲートが設置されます。これは「環道型退出路」と呼ばれ、入口・出口ランプをつなぐように設けられたUターン路のようなもので、近年、スマートICなどで導入が増えています。ETC非搭載車など誤進入したクルマは、現地の案内に従い、環道を使ってUターンするようになります。 甘楽スマートICの開通により、付近の工業団地へのアクセス性が向上するほか、観光周遊ルートの強化、緊急搬送の時間短縮などが期待されています。
ついにテスラを負かしLUCID(ルシード)が世界一速いEVに認定! 2021年に発売されて以来、基本的にドラッグストリップでの加速バトルの王者になっているテスラ・モデルSの最上級グレード「プラッド」。ランボルギーニ・アヴェンタドールや日産GT-Rといったガソリンエンジンのスーパーカーを凌駕し、モデルSプラッドの0-100km/hの加速は「2.1秒」と、地球上で最も加速の速い市販車として公式に認められている。 「いる」と言うべきか、「いた」と言うべきか。そう、モデルS プラッドが失脚したのだ。イーロン・マスクの悪夢がついに現実となった。ドラッグストリップの新たな王者は、3電気モーターで1200ps超を誇る「ルシード・エア・サファイア」だ。 ルシードは、2007年に設立されたカリフォルニア州にあるスタートアップのEVメーカーだ。最初の2台のEVは、ルシード・エアとドリームで、この後、もうひとつ電気モーターを追加して、より高速なサファイアが来春発売される予定だ。 しかも、ルシード・エア・サファイアは、テスラより上品なインテリアを備え、より高速で充電ができ、航続距離もより長い。これこそは、マスクの座を奪う最も果敢な挑戦だ。さらに静粛性が優れ、快適なシート、より大きくて便利な電動開閉式のフランク(フロントのトランクのこと)を備えた5人乗り。 さて、先々週、Youtubeの人気チャンネル「ハガティ」のプレゼンター、ジェイソン・カミーサが、サーキットでルシード・エア・サファイアのライバルとして、モデルSプラッド、そして非EVの代表として8.0リットルW16気筒+4ターボエンジンの化け物ブガッティ・シロン・ピュール・スポーツ、そして2輪の代表としてドゥカティ・パニガーレV4 SP2を並べ、それらを自由に加速させた。 その結果は、目玉が落っこちてしまいそうなものだった。 最初のバトルでは、サファイアは3モーターを搭載した1,020psのプラッドと1,479psのシロンが対戦した。予想通り、ルシードが圧勝した。サファイアはプレイドより270kg以上重いかもしれないが(シロンより450kg重い)、3つ目のモーター、追加された馬力、そして見事に設計された全輪駆動制御のパワーデリバリーのおかげで、ルシードは文字通りテスラやブガッティに後塵を見舞ったのだ。 正直なところ、エア・サファイアとモデルSプラッドの0-100km/hの加速は、全く同様の2.1秒だった。しかし、いわゆる「ゼロヨン」、つまりゼロから400メートルまでの加速テストでは、モデルSプラッドの9.3秒に対して、ルシードはなんと9.1秒! 計測時の写真 サファイアは0-100km/hまでテスラと同じタイムで疾走し、その後テスラを力強く引き離し、ゼロヨンで9.1秒という市販車世界新記録を樹立! ちなみに、シロンも9.3秒。 半年以上前に、米の大手クルマ専門サイト「ハガティ」がモデルSプラッドと、2モーターで1,111psのルシード・エアを比較テストしたときは、プラッドが楽勝だった。しかし、今回のサファイアは、約100psのパワーアップに加え、リアに配置された3つ目のモーターが大きな違いとなっている。リアのトラクション、つまり瞬時にリアのパワーを路面に伝達することで、サファイアの圧勝となった。 スタート位置に並ぶ3台 ただし、ブガッティが勝てなかったのは、ドラッグストリップが短かったからにほかならない。もう少し長いコースがあれば、シロンはルシードを追い詰め、その1,479馬力のW16エンジンで勝利していたことだろう。 さらにこの比較レースで、カミーサ氏はおまけとしてルシードと2輪のドゥカティを対戦させた。元アメリカ・チャンピオンのジョシュ・ヘリンが乗る世界最速のモーターサイクル、210psのドゥカティ・パニガーレV4 SP2との対戦。ルシードはこれにも勝った。ほぼ完璧な走りを見せたヘリンだが、それでも9.3秒のゼロヨンを記録するにとどまった。 2輪を含めた4台が並ぶ ...
韓国製戦車をポーランドが大量購入 2022年は、2月に起きたロシアによるウクライナ侵攻で、再び戦車を中心とする陸戦兵器に注目が集まった年でもありました。当初は「ジャベリン」のような歩兵携行式の対戦車兵器や対地攻撃用ドローンなどが脚光を浴び、一時は「戦車不要論」のような論調も見受けられたものの、その後の研究などから、現実には従来と変わらず戦車は「陸戦の主力」であると見直されています。 【写真】見た目フツーでも中身は一新 アメリカの次世代戦車の指針か「エイブラムスX」ほか ドイツのラインメタルが発表したKF51「パンター」(画像:ラインメタル)。 こうしてウクライナ侵攻で、“戦車が復権”した一方、2022年には様々な新戦車が登場し、これらもまた世界中から注目を集めました。そこで、今年を象徴するような戦車を5車種チョイスし、どこがポイントなのか振り返ってみましょう。 K2「ブラックパンサー」:韓国 まずはMBT(主力戦車)ですが、ロシアのウクライナ侵攻で、一躍その名が知られるようになったのは韓国のK2「黒豹(ブラックパンサー)」ではないでしょうか。もっとも、本車の場合は実戦に投入されたわけではなく、手持ちのT-72戦車をウクライナに提供したポーランドが、西側兵器と互換性があるという観点から、大量導入を決めたことで注目を集めたのです。 というのも、ポーランドはK2戦車を採用する前にアメリカ製M1「エイブラムス」戦車の導入も決めているからです。韓国はアメリカとの強い同盟関係を維持しており、とうぜんながらK2はM1を念頭に置いて、高いインターオペラビリティ(相互運用性)を考慮して設計されています。そういったことも加味してポーランドはM1と共にK2を装備・運用することにしたのでしょう。なお、ポーランドは他にもドイツ製の「レオパルト2」戦車を運用していますが、K2とM1は「レオパルト2」と弾薬の互換性を有しているため、そういった点もメリットです。 ヨーロッパとアメリカ双方で新戦車が爆誕! 2022年はまったく新しい戦車がデビューした年でもあります。 KF51「パンター」:ドイツ ドイツのラインメタル社は、6月にパリで開催された国際武器展示会「ユーロサトリ2022」において、KF51「パンター」を発表しました。本車の特徴は主砲に130mm滑腔砲を備え、防御力を強化しているにも関わらず、重量は既存のレオパルト2A6よりも軽い59tに抑えている点です。 KMWネクスター・ディフェンス・システムズが開発中のEMBT(画像:KNDS)。 なお、乗員数は4名。従来の戦車と同じく車長、砲手、操縦手(運転手)のほかに、各種の無人兵器などの指揮・統制を任務とする人員1名を乗せられるとのこと。また、徘徊型自律兵器の運用も可能で、現状では最先端のMBTのひとつといえます。 EMBT:ドイツ+フランス 同じく「ユーロサトリ2022」で披露されたのが、ドイツの防衛企業KMW(クラウス・マッファイ・ヴェクマン)と、フランスの防衛企業ネクスターの合弁企業であるKMWネクスター・ディフェンス・システムズ(以下KMWネクスター)が開発した「EMBT」です。 EMBT自体は2018年に開催された前回のユーロサトリで発表済みですが、そのとき披露されたのは、ドイツ製「レオパルト2」戦車の車体にフランス製「ルクレール」戦車の砲塔を組み合わせた技術実証車であり、あくまで “こういうことも可能”を見せるためのレベルでした。 しかし、今回披露されたEMBTは名称こそ変わらないものの、車体、砲塔ともに新デザインのものとなっており、特に砲塔については両サイドが大きくえぐられ、見た目のインパクトに驚きを覚える形状に改められていました。現状ではあくまでコンセプトモデルだそうですが、今後どのように発展進化するのか、はたまた試作だけで終わるのか、興味は尽きない戦闘車両のひとつです。 ...
◆カーマニア大賞の栄冠はどのクルマに? ロシアによるウクライナ侵攻、資源高、円安、物価上昇……。コロナ禍だけでも大変なのに、2022年もいろんなことがありました。サッカーW杯は覚えているけど北京冬季五輪の結果は忘れてしまった人もいるでしょう。日本は金メダルを3個獲得しました。そんな2022年の新車を総括しつつ、カーマニアに刺さったクルマを選んでみました! 渡辺敏史×清水草一 永福ランプ(清水草一)=文 Text by Shimizu Souichi ◆清水草一×渡辺敏史「2022年、自動車業界ゆく年くる年」 清水:2022年の自動車業界の流行語大賞は、ズバリ「納車待ち」かな。 渡辺:買いたくても買えないクルマがこんなにたくさん出たなんて、史上初でしたね。 日産・フェアレディZ 清水:新型フェアレディZの素晴らしさには涙が出たけど、発売前に売り切れて買えないんじゃどうにもならない。 渡辺:半導体不足もありますけど、スポーツカーは売れないっていう長年のトラウマで、生産台数を絞りすぎたんでしょうかね。 ◆カーマニアの秘孔を突かれた マツダ・ロードスター 990S 清水:その点、ロードスター990Sは素晴らしい! あれだけの大傑作でありながら、納車待ちがたったの5か月! 渡辺:僕も本気で買おうかと思いました。990Sこそ、軽量・軽快というロードスターの美点を徹底的に煮詰めた、究極のグレードでしょう。 清水:決して速くはないんだけど、カーマニアの秘孔を突かれたよ。「運転とはなんぞや?」という原点に立ち返らせてくれた! ...
戦車黎明期 帝政ロシアで生まれた「あるアイデア」 第1次世界大戦では機関銃と鉄条網、砲撃で掘り返された地面、そして塹壕と、戦線の歩兵が動くに動けないような膠着状態が長く続きました。何とかこの状態を打破しようと、各国は様々な手段を試行錯誤します。 一応の成功を収めたのは、履帯(いわゆるキャタピラ)を装備したイギリスの菱形戦車「マークI」で、歴史の教科書にも載っている新兵器でした。一方ロシアでは、全く違った着想から塹壕を乗り越え、敵を文字通り蹂躙すると期待された戦車が作られました。「ツァーリタンク(皇帝の戦車)」と呼ばれています。 【画像】こちらはマトモそうに見えるのに…「ツァーリタンク」の元ネタ「アルバ」 試験中の「ツァーリタンク」。 「ツァーリタンク」は、全長17.8m、全幅12.0m、全高9.0mという、数字を見るだけで新兵器というより珍兵器感が満載です。高さは3階から4階建ての建物に相当し、SF映画に出てくるスーパーメカのようです。 この「ツァーリタンク」を構想するにあたり、ロシア帝国の技術者ニコライ・レベデンコは、荒れた戦場を走るための機構として、おもに中央アジアで使われている「アルバ」という荷車に注目しました。「アルバ」は大きな径の車輪を付けているのが特徴で、それにより窪地や溝を乗り越えることができたのです。これを元に発想を広げたレベデンコは、自動車というよりは「砲車」を巨大化したような、超巨大な車輪を付けた三輪車を設計しました。 レベデンコはモスクワの陸軍軍事技術研究所に勤務しており、そしてこの突飛なアイデアを実現すべく、最高権力者にアピールするおもちゃを作りました。1915(大正4)年1月8日、レベデンコは蓄音機から取り出したゼンマイで動く三輪戦車の木製模型を、ロシア皇帝ニコライ2世に贈呈します。このおもちゃはカーペットの上を勢いよく走り、分厚い『ロシア帝国法律集』が2、3冊、積まれた山を軽々と乗り越えたといわれます。ある廷臣の回想録には、ニコライ2世はこのおもちゃをいたく気に入り、30分や1時間は走らせていたと書かれています。 皇帝のポケットマネーでおもちゃから実物へ ニコライ2世は大の自動車好きで、メルセデス(ベンツ)、ドローネ・ベルヴィル、ルノー、プジョーなど超高級車を20台以上、コレクションしていました。世界最初のハーフトラックを作らせたのもニコライ2世です。 後部から見た「ツァーリタンク」。小さな後輪に荷重がかかりすぎるなど設計上、欠点があった。 ゼンマイ仕掛けのおもちゃは、皇帝の好奇心をくすぐるには充分でした。ニコライ2世は、私財から21万ルーブルをこの戦車開発に充てるよう命じます。ちなみに、当時のロシア帝国大臣の年収は1500ルーブル程度とされます。 皇帝のお墨付きを得たレベデンコは、すぐさま実車を製作します。直径9mの巨大な2個の車輪と、直径1.5mの尾輪という三輪車形式で、T字型の箱型車体の左右最端部に機銃を装備した銃塔が1基ずつ設けられ、大砲を搭載することも考えられていました。さらに底部にも機銃塔を設置する予定だったようです。設計上の最高速度は17km/hでした。 しかし、この巨体を動かすエンジンが問題でした。軽くて強力なエンジンがロシアには無かったのです。そこで優秀なドイツ製エンジンを調達することにし、そして1915年6月21日にインステルブルク(現在のカリーニングラードのチェルニャホフスク)付近へ墜落したドイツのツェッペリン飛行船LZ34号から回収した、210馬力のマイバッハエンジン2基を搭載することになります。肝心のエンジンを敵国の鹵獲エンジンに頼らなければならなかったこと自体、嫌な予感しかありません。 そしてカタチとなってしまった鉄の巨躯 いざ試運転へ 完成した試作車の試運転は、1915年8月27日にモスクワ郊外で行われました。車体重量は60tにもなったものの、第一次世界大戦当時のどの戦車よりも強力なエンジンである210馬力×2基を搭載していましたので、最初は森の木の枝をもへし折りながら前進し、見るものは感嘆しました。イギリスの「マークI」が全長9.91m、幅4.19m(雄型)、高さ2.49m、重さ28tで105馬力エンジン搭載でしたので、敵を恐怖せしめたというそれをもしのぐ巨躯に、倍の出力のエンジンを2基も搭載する「ツァーリ・タンク」の迫力は、圧倒的だったはずです。 しかしその感嘆がため息に変わるまで、さほど時間は掛かりませんでした。地面のぬかるみに車輪が沈み込み、すぐに動けなくなってしまったのです。また尾輪が小さすぎ、重量バランスも悪く、荷重が掛かり過ぎていました。 巨体の迫力はありますが、大きすぎて格好の標的になることは明らかですし、巨大なスポーク車輪も貧弱で敵の砲撃には耐えられそうにありません。ドイツ製エンジンをもってしてもパワー不足で、塹壕を乗り越えるどころか試験場の軟弱地で動けなくなる始末です。陸軍は兵器として不適と評価し、計画は中断されてしまいます。 ...
完全輸入ののちライセンス生産も実施予定 ポーランド国防省は2022年12月6日、韓国から出荷された最初のK2戦車とK9 155mm自走榴弾砲が、北部グディニャ港に到着、荷卸しが完了したと発表しました。 【写真】ズラリ並んだK2戦車&K9自走砲 ポーランド北部のグディニャ港に陸揚げされたK2戦車(向かって左)とK9 155mm自走榴弾砲(画像:ポーランド国防省)。 この兵器引き渡しは、今年7月下旬に両国のあいだで締結された売買契約に基づくものです。契約では、K2戦車は当初180両を輸入し、残りの800両以上は2026年頃からポーランド国内でライセンス生産する契約です。なおライセンス生産車はK2PL(PLとはポーランドの意)と呼ばれアップグレード型となり、最初に導入した完全輸入のK2戦車も随時、K2PL規格に改修していくそうです。 一方、K9 155mm自走榴弾砲は当初48両を輸入し、その後600両強をポーランド国内でライセンス生産するとしており、こちらもK9PLというタイプ名が付与されるとしています。 今回、ポーランドに引き渡されたのは、K2戦車10両、K9自走榴弾砲24両です。 これに関連して、グディニア港では、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領や マリウシュ・ブワシュチャク副首相兼国防大臣らが参列して歓迎式典が執り行われました。 なお、ポーランドは前出の2種類の戦闘車両以外にもFA-50軽戦闘機や多連装ロケットシステム(MLRS)「天舞」を韓国から購入する計画です。
どのメーカーも解体したくなる? EV界を覆すポルシェ・タイカン たまに、自動車業界を覆すようなクルマが登場する。それによって、他のすべてのクルマを評価する新しい基準が打ち立てられることがある。ポルシェ初の完全な電気自動車(EV)であるタイカンは、まさにそのようなクルマだ。 タイカンは、ブランド専用の革新的な「J1」プラットフォームを使ってゼロから新たに作られ、なんと911よりも低い重心を誇っている。現在市販されているEVの中で最も車高が低いという特徴だけでも、自動車業界を注目させるに十分だ。その意義については、後ほど詳しくご紹介しよう。 後ろから見たタイカン 新車種タイカンは、93.4kWhのリチウムイオン電池を搭載し、それぞれに電気モーターを装着する4WDだ。そして、パナメーラからヒントを受けた4輪操舵とサスペンション、そしてリアマウントの2速ギアボックスを採用しているので、発進時に最速の加速が得られる。 しかし、タイカンが画期的なのは、標準的なEVパワートレインの2倍に相当する800Vという電圧設定にある。電圧が高いほど電流は少なくなり、電流が少ないということは、バッテリーやモーターの発熱が少ないことを意味する。この組み合わせは、性能の劣化を最小限に抑えながら、素早い加速を可能にし、400km以上の航続距離を実現。しかもタイカンは、急速充電器を使って、わずか22分でバッテリーの80%まで充電することができる。 ロゴの写真 今回は、フル装備の2507万円のターボSに試乗した。ターボに搭載されるデュアルモーター全輪駆動システムは、通常走行で761psと1050Nmのトルクを発生する。そして、0ー100km/hまでの加速は、2.8秒(ポルシェ調べ)で、テスラ・モデルSと同等になる。また最高速度は260km/hで、これはニュルブルクリンクで電気自動車の4ドアセダンとして7分42秒という記録的なラップタイムを記録した際に達成されたものだ。 「ターボもエンジンもないのに、なぜターボバッジ?」と思うだろうね。ポルシェは1974年に911に初めてターボという名称を使い始め、長い年月をかけて、ターボはすべての車種で最速のモデルを意味するサブブランドとなったのだ。それで、タイカンにもターボとターボSがあるわけだ。 デザイン面は、その中に隠された技術に比べれば、ゲームチェンジャー的な要素はない。シルエットはシャープでロー&ワイド、パナメーラの派生車というより911をストレッチしたようなもの。だが、タイカンのハイライトのひとつが、あの巨大な10ピストン付きブレーキキャリパーと巨大なブレーキローターだ。 この巨大なストッパーのおかげで、この重量2380kgのセダンは、急停止することができる。他の多くのEVで起きる回生ペダルのスポンジーさが無いのがうれしい。 ブレーキ部分の写真 さて、ここで最低車高と低重心の話に戻ろう。ある大手自動車メーカーの元デザイン・トップの方が、匿名希望で次のように話してくれた。「ベンツやアウディ、BMW、ジャガー、日産、ルノーのEVにしろ、その大半は重心の高いSUV」であり、「タイカンと比較すると、テスラ・モデルSでさえも重心が高い」と指摘。そして、「これこそが、私が考える決定的な特徴です」と言うのだ。 「タイカンは、911よりも低い、まったく新しいプラットフォームを採用しています。これまで、誰もここまで低い位置にEVのプラットフォームを作ることはできなかった。バッテリー、インバーター、モーターをすべて低い位置に搭載することは画期的であり、すべての自動車メーカーが望むところでしょう。私は、すべてのメーカーがタイカンを購入して、どうすればこんなに低く作れるのか、実際に解体して解明していくと予測しています」と語った。 運転はどんな感じか? 一言でいえば、「最高」。 運転席に座ると、やはり911並みの車高の低さに驚かされる。タイカン・ターボSは、ユーザーがポルシェに求めるすべてのものを見せてくれる。そして、さらにその上も。スリル満点の加速、驚異的なブレーキ、そして本物のポルシェのコーナリング力。ステアリングホイールの後ろにあるギア選択トグルスイッチを「D」に入れると、優しくハミングする。 ドライブモードは、レンジ、ノーマル、スポーツ、スポーツ+がステアリングのダイヤルで選択できる。タイカンは、ユーザーが望むだけの瞬間的な加速で報いてくれるだろう。高速道路に突入して一気に加速したいときも、タイカンは余裕をもって、揺るぎない安定性と落ち着きで応えてくれる。 テスト走行の写真 テスト走行の写真3 120km/hを超えて、スロットルをまだ半分だけしか踏み込んでないことに気がつく。静止状態からタイカンを加速させると、異次元の速さに巻き込まれ、クルマはさらにパワーを欲するようになる。フルスロットルでは、パワーの伝達は過激で、瞬時に、永遠まで加速する気がする ...