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40代からの複業は「リスクなし」 見切り発車でもOK

40代からの複業は「リスクなし」 見切り発車でもok

写真はイメージ(PIXTA)

NIKKEIリスキリング読者の皆さん、こんにちは。45歳からの実践型キャリアスクール「ライフシフトラボ」の都築辰弥と申します。

本連載「40代からのリスキリング道場」は、40代・50代ビジネスパーソンに向けた、脱・学びっぱなしのためのリスキリング実践マニュアルです。

初回の「40代以降は今のスキルを磨け 学んで終わりからの卒業」では、とかく40代・50代のリスキリングは「学んで終わり」になりがちであること、そうならないためには、新しいスキルを学ぶより、まずは今持っているスキルに注目しアップデートすること、そしてスキルを生かす場として副業などの「他流試合」を行うことの重要性をお伝えしました。

2回目の今回から数回にわけて、自分のスキルを生かせる他流試合の場として、40代・50代が複業を始める方法を順序立てて扱います。今月も「やってみよう!」のコーナーで具体的なトレーニングメニューを用意しています。先月の「やってみよう!」に取り組んでいただけた方は、その内容を使いますのでご準備ください。では、始めましょう!

■副業ならぬ “複業” とは?

2017年、厚生労働省の働き方改革実行計画で「副業・兼業は第2の人生の準備として有効」と言及されて以降、副業を単なるお小遣い稼ぎではなく、人生後半のキャリア形成手段のひとつとして捉える見方が定着した感があります。

「今の会社でこのままキャリアを終えるのは物足りない。とはいえ家族もいるし、転職や起業はリスクが高すぎる……」そんなミドルシニア世代特有の事情から、本業で得られない働きがいや新たな挑戦機会を得る手段として、複業が注目されているのです。

複業を始める環境も整ってきています。新型コロナの感染拡大をきっかけとするリモートワークの定着により、複業の敷居はますます低くなりました。従業員の複業を容認する企業は増え続けており、セカンドキャリア支援施策として中高年社員に複業を積極的に促す企業も現れているほどです。

すでにお気づきかもしれませんが、私は「副業」と「複業」という表現を区別して用いています。一口に副業といっても、フードデリバリーの配達員からポイントをためるポイ活、不動産投資、ブログ運営、ECサイトでのせどり、スタートアップ企業へのプロジェクト参画までさまざまです。本記事では、「本業の収入を補うサブの仕事」ではなく「本業以外にも “複数” の仕事を同時に持つ」というコンセプトのもと「キャリア形成手段としての副業」を指す言葉として「複業」を使っています。

■複業のメリット

さて、ここでもう少し細かく、40代・50代ビジネスパーソンにとっての複業のメリットを整理します。私が経営するライフシフトラボでは、以下3つのメリットを特に強調しています。

定年後のセカンドキャリアに備えられる

豊かな老後を過ごすためには80歳まで働き続ける必要があるとも言われる人生100年時代、自分のペースで年金にプラスして10万円を稼ぎ出すことができれば、真の悠々自適につながります。生涯現役として社会との接点を持ち続けることは、金銭報酬以上の生きがいにもなるでしょう。

今は選択できない思い切った挑戦ができる

複業による副収入があることは経済的メリットはもちろんのこと、新たな挑戦の原動力にもなるのです。たとえば複業で一定の収入があれば、その分年収を落としてでも、現職よりも働きがいのあるベンチャー企業の幹部ポジションに転職することが現実的になるかもしれません。複業というカードが手札に加わることで、今まで切れなかったカードを切れるようになるというわけです。

独立起業・転職の足がかりになる

将来的に独立起業をお考えの方には、会社を辞めるリスク無しで始められる複業はとても良い助走期間になります。さらに最近は、採用候補者を正社員として採用する前にまずは複業メンバーとして受け入れ、互いの相性を確かめる企業が増えており「複業転職」という言葉も生まれています。また、複業活動の過程で積み上げた人脈から「良かったらうちで働かないか」と、求人サイトには出てこない好条件での転職につながるケースも珍しくありません。

■複業は勤め先への裏切り行為?

複業に興味はありつつも「勤め先への裏切り行為になるのでは?」とちゅうちょされる方がまれにいらっしゃいます。もちろん価値観は人それぞれですが、気持ちが少しラクになる2つの観点をご紹介しましょう。

政府はむしろ奨励している

副業推進は岸田政権が掲げる「人への投資」の具体策のひとつです。厚生労働省が企業に対して公開している「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、企業は原則、副業・兼業を容認すべきと記述があります。今や複業は、やましいものでも何でもなく、いわば国お墨付きの新しい働き方なのです。

そもそも、就業時間外の時間で何をしようと自由

休日にゴルフをしようと家で映画を見ようと、勤め先が口出しするのはお門違いですよね。それと同じで、複業は当然就業時間外の活動ですから、本来は自由に行って何の問題ないものなのです。

それでも、最近はだいぶ減りましたが「複業したい」という社員に対していい顔をしない経営層が一定数いることは確かです。勤め先が複業禁止の方もまだ多いかと思います。でも、大丈夫です。キャリア形成が目的の複業は、必ずしも金銭報酬がなければできないわけではありません。自分のスキルや専門性を生かしてNPOに貢献するプロボノや知人の会社を手弁当(無報酬)で手伝うプロジェクト活動なら、勤め先の規制には抵触せずに複業で得られるメリットの大部分を享受できます。

■手始めに複業求人サービスに登録を!

複業を今すぐに始めるのに最もてっとり早い方法は、複業求人サービス(「副業/複業マッチングサービス」とも)を利用することです。転職サイトに似た要領で、複業人材を募集している企業が求人を掲載しています。ビジネスプロフィルや職務経歴書を登録しておくと企業からスカウトが届いたり、もちろん自分で求人に応募したりもできます。

今月の「やってみよう!」コーナーはズバリ、複業求人サービスに登録してみることです。すべて無料で登録できます。基本的な会員情報を入力した後、ビジネスプロフィルを登録しましょう。企業の目にとまるように、先月の「やってみよう!」コーナーで書き出した社外で生かせるスキルを魅力的に盛り込むことがポイントです。

40代・50代ビジネスパーソンにおすすめの複業求人サービス例

NIKKEIリスキリング読者で多いであろう事務職や営業職に従事する40代・50代ビジネスパーソンを想定し、おすすめの複業求人サービスをいくつか紹介します。

まずは幅広い職種の求人を網羅する「HiPro Direct」「lotsful」「複業クラウド」「クラウドリンクス」は抑えておきましょう。地方企業の求人を多く取り扱い、複業で地方創生に貢献できる「Skill Shift」「JOINS」「サンカク」も見逃せません。

金銭報酬を得る複業が禁止の場合は「サービスグラント」「activo」でNPOでのプロボノやボランティアにトライしてみましょう。

具体的な複業求人サービス名が出てきましたね。ここで「え、もっと準備してからのほうがいいのでは?」と思った方、そのお気持ちはとてもよくわかります。でも、いろいろな準備をすっ飛ばして、あえて私がちょっと見切り発車とも思えるような進め方をしているのには理由があります。

複業活動では、本業で求められがちな「準備万全にしてから次に進む」動きよりも「とりあえず始めてみて、やりながら改善していく」動きがとても重要なのです。

複業は受験のような一発勝負の代物ではありません。新しい求人は次々更新されますし、仮に選考で見送りになったって、失うものは何もないのが複業のいいところ。またやればいいのです。まず複業マーケットにエントリーすること、そして、マーケットにもまれながらPDCAサイクルを回していくほうが、はるかに効果的に複業家としてレベルアップできます。

仮に、一生懸命準備してからスタートする道を選んだとしましょう。はてさて、一体何をどこまで準備したらREADYな状態になるのでしょうか。どんなに準備を重ねても、初めての複業を前にした今の不安な気持ちが完全に晴れるタイミングは、一生訪れません。

だったら今「えいや!」でやっちゃいましょう!  本連載は多くの方に読んでいただいています。読者の方々がみんなで一斉に始めれば、何も恐れることはありません。

次回は、複業求人サービスで案件を獲得するコツをお伝えします。40代・50代ならではの技の数々をお楽しみに!

今月の「やってみよう!」

上に挙げた複業求人サービスに登録してみましょう。Webサイトを見て、興味を引かれるものだけでも構いません。先月の「やってみよう!」コーナーで書き出した社外で生かせるスキルを盛り込み、魅力的なビジネスプロフィル(自己PR)を書きましょう。都築辰弥 株式会社ブルーブレイズ 代表取締役

1993年生まれ。開成高校、東京大学工学部システム創成学科卒。新卒でソニーに入社し、スマートフォンXperiaの商品企画担当として2019年フラグシップモデル「Xperia 1」などをプロデュース。その後、2019年8月に株式会社ブルーブレイズを創業。45歳からの実践型キャリアスクール「ライフシフトラボ」および法人向けキャリア自律促進サービスを展開。

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