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駐車中のテスラ車には近づかない方がいい 全てのクルマに欲しい「セントリーモード」の威力

駐車中のテスラ車には近づかない方がいい 全てのクルマに欲しい「セントリーモード」の威力

専用スマホアプリで各種機能をリモートコントロールする

 「iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現されるTesla。IT・ビジネス分野のライターである山崎潤一郎が、デジタルガジェットとして、そしてときには、ファミリーカーとしての視点で、この未来からやってきたクルマを連載形式でリポートします。

 今回は、小ネタ集と題して、Model 3にまつわるプチ便利な機能についていくつか紹介します。ちなみに、「そんな機能、Teslaだけのもんじゃない。私のクルマにもついとるわい」というツッコミはなしでお願いします。本稿は筆者とModel 3との関係性の中で、筆者が便利だと感じたものを紹介していきます。

●Googleカレンダーと車両のナビが同期

 Model 3のスクリーンでは、各種アプリが利用可能です。その中に、カレンダーアプリがあります。筆者の場合、車内で予定を確認するときは、iPhoneの「カレンダー」アプリを見るので車両のカレンダーアプリを起動することはまずありませんが、このカレンダーアプリとGoogleカレンダーを同期させることで、ナビゲーションの目的地が自動で設定されます。

 次の写真は、横浜市の保土ケ谷公園内にあるコンサートホールに仕事に出かける際の出発前のナビ画面です。車両に乗り込んで着座したタイミングでスクリーンが起動し、既にこのような形でナビの目的地が自動設定されています。

 そのまま走り出せば通常のナビとして機能するので、出発前に手動設定する手間が省けるわけです。通常、Googleカレンダーにはタスク内容の他に、時間や場所を設定するかと思います。Googleカレンダー→Model 3のカレンダーアプリ→ナビという順序で連動していることによる便利機能です。

●駐車中も周囲を監視するセントリーモード

 Teslaのクルマには、セントリーモードと呼ばれる、駐車中の監視機能が標準で搭載されています。各種センサーや前後左右の車載カメラを使って監視し、人やクルマが接近すると潜在的脅威ありと判断してヘッドライトが1回だけ点滅し、イベント発生前後を含めた映像を記録します。

 昨年、このセントリーモードによる映像がきっかけでModel 3にキズを付けた犯人を警察が器物破損で逮捕したという報道がありました。キズの場所がヘッドライト周辺だったので、カメラの死角になり決定的瞬間は映ってはいませんが、犯人の犯行前後の行動や顔がバッチリ映っています。

 筆者の場合、前述のような脅威を受けたことはありませんが、外出先で施設等のパーキングに駐め自車に戻ると、スクリーンに「○○件のイベントが発生」とセントリーモードが発動したことを知らせるメッセージが、ほぼ毎回出ています。

 時間があるときは、映像を確認します。すると、時々、車内をのぞき込む人が映っています。皆さん、「2001年宇宙の旅」の「HAL 9000」を模したセントリーモードのスクリーン表示に興味津々といった面持ちです。

 ただ、セントリーモードを切り忘れたばかりに慌てる場面もあります。セントリーモードは、外出先で自動起動するように設定可能なのですが、機械式のパーキングに入庫した際に切り忘れると、振動を感知して発動する場合があります。

 セントリーモードは、強い振動を検知するなど、危機レベルマックスでの発動になるとヘッドライトやハザードランプを約30秒間点滅させます。加えて、イーロン・マスク氏の「X」での投稿によると、ヨハン・セバスチャン・バッハのオルガン曲「トッカータとフーガ」が大音響で流れるそうです。

 時々、メタルバージョンも流れるとあります。

 筆者は、東京・日本橋のショッピングモールの機械式のパーキングで、これをやらかしました。ただ、ここの案内係の人はTeslaのことをよく知っており、慌てる筆者を尻目に「勝手に止まりますよね」と落ち着いたものでした。以後、気をつけます。

 筆者は、黒塗装の前車で、明らかに人為的に付けたと思われるキズを何度か経験しているのですが、人のクルマに対し何らかのイタズラを加えようとする人がいるのは悲しいことです。そのような人は「駐車中のTeslaは周囲を監視している」ということを忘れないでください。

●Tesla専用アプリの便利機能

便利機能 その1

 寒い冬、暑い夏に重宝するのが、エアコンのリモート操作です。最近のEV、PHEV、FCEVには、ほぼ標準装備されているようで、頼もしい機能です。

 近年は、一部のエンジン車にも標準あるいはオプション装備されているようです。ただ、冬であればエンジン車だと10~20分とアイドリングを行うことになるので、「アイドリングストップ」が条例で制定されている地域では、抵抗があります。とはいえ、冬の暖気目的なら目くじら立てるほどでもないのかな。

 冬の寒い朝、出発10分くらい前にスマホの専用アプリから空調をオンにすると、乗車時には車内はぽかぽか、シートヒーターやハンドルヒータも温かくなり、一度体験すると手放せません。

 筆者宅には、もう1台、12年近く乗っている三菱の「アイ」というガソリンエンジンの軽自動車がありますが、走り出してしばらくしないとエアコンから温かい風が出てきません。家族の送迎などで最寄り駅まで往復すると帰宅時にやっと温かくなる、なんてことは普通です。

便利機能 その2

 スマホからタイヤの空気圧を確認することができます。筆者はガソリン車時代、多くのドライバーがそうであるように給油の際に空気圧をチェックしていました。当然ながらEVはガソリンスタンドに行くことはありません。

 そうなると、空気圧に対し無頓着になりがちです。そこで時々、アプリから空気圧を確認するようにしています。推奨値を下回っているときは、電動の空気入れを利用して充填します。

 空気圧は、タイヤのエアバルブと一体化したBluetooth対応のセンサーからデータを得ています。確認はアプリだけでなく、車内のスクリーンでも可能です。異常値を示すと通常画面に警告が表示されます。

便利機能 その3

 充電の統計情報を確認することができます。月単位と年単位で切り替えることができ、エネルギーコストをチェックする場合に役立ちます。(1)自宅充電、(2)スーパーチャージャー、(3)勤務先、(4)その他と充電種別による割合が表示されます。筆者の場合、この1年で91%を自宅で充電しています。

 「燃料代節約」という項目では、その名が示す通り、ガソリン車に対するエネルギーコストの節約分(差額)が示されています。算出根拠となるガソリン代は、居住地域(筆者の場合は神奈川県)の月次平均コストに基づいています。

 2024年1月は168.4円/Lで、比較対象のガソリン車の燃費はModel 3の場合、12.8 km/Lで計算されています。Model 3ロングレンジと同価格帯のセダン、BMW320iのWLTCモード燃費が13.4km/Lなので、当たらずとも遠からずといったところでしょう。

●過去の運行記録を提供する「TeslaFi」

 本連載でも過去に何度か登場しましたが、Tesla向けの運行記録サービスを紹介しましょう。Teslaユーザーであれば、「TeslaFi」と呼ばれるWebサービスと契約することで、過去の運行記録を確認可能です。走行距離、使用電力量、充電量や金額、経路、立ち寄り場所、標高、天候などかなり詳細なログを記録してくれます。

 Teslaと共に過ごした時間のあらゆる事柄が自動的に記録されているわけですから、写真アルバムを前に、過去を回想するような感覚を味わうことができます。

 ただ、このサービスは、米Tesla本体が提供しているものではなく、Teslaが正式公開しているAPIを利用してサードパーティーが提供しています。月額5ドル、年間契約なら50ドルで利用可能です。

 2要素認証を取り入れるなど一般的なセキュリティー対策は施されているようですが、サードパーティーに自分の行動が記録されることの気持ち悪さを感じる人がいるかもしれません。そのような人は利用しない方が無難です。

 ここでは、TeslaFiならではの少し変わった項目をご紹介します。「Drive Summary」メニューでは、「Most Battery Used In A Drive」、「Longest Time Driving」、「Highest Recorded Speed」といった過去の特徴的で特異な走行情報が項目ごとに要約されています。

 例えば、「Highest Recorded Elevation」(標高の最高記録)では、富士山スバルラインで、三合目の大沢展望台パーキングから、標高2309メートルの富士山五合目まで登坂した際の記録がまとめられています。この時の電費は、上り坂の連続ということもあり、343Wh/km(2.92km/kWh)と過去最悪だったことがわかります。

 また、他のTeslaFiユーザーの様々な記録もランキング形式で確認することができます。「Longest Drives By Distance」(最長ドライブ距離)の項目を見ると、1回のドライブ(走り初めてからパーキングに入れるまで)での最長距離は、Model 3ロングレンジで13時間25分かけて776.27kmを走行した日本人の「yanoshi」さんです。

 詳細は、本連載の「Teslaロングドライブ、横浜から岡山まで1400km 残り5%予測ギリギリ旅の乗り切り方」をご覧ください。彼の尿意との壮絶な死闘を紹介しています。

 「Highest Odometer Readings」(最長走行距離)の項目では、2015年製のModel S 70Dのユーザーである米国人の「AJBessinger」さんの73万1933kmです。Teslaオーナーのコミュニティーサイトでのこの人の投稿を読むと、前オーナーがUberで利用していた中古車を40万kmを越えて購入したようです。おそらく駆動バッテリーを交換しているかと思いますが、何回交換したのかは不明です。

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