今年で創立60周年を迎えるアウトモビリ・ランボルギーニ。同社の歴代フラグシップモデルは、すべてV型12気筒エンジンを搭載し、その不文律は最新のハイブリッドモデル「Revuelto」でも守られている。ここでは、Revueltoのジャパンプレミアで展示されていた歴代のフラグシップモデルをご紹介する。
【400GT】わずか23台しか作られなかった初期の名作
400GTは、1966年にわずか23台しか作られなかった2ドアクーペ。フロント2座、リア1座であったランボルギーニ最初の量販車350GTをベースに、フロント部に最高出力320馬力を発する4リットルV型12気筒エンジンをマウント。5速のMTを介して動力を後輪に伝える。流麗なボディーはイタリアのコーチビルダーであるカロッツェリア・トゥーリングが手掛けたもの。
派生モデルとしてボディーをストレッチして4座とした400GT2+2があり、66年から68年までの2年間に224台が生産された。
【Miura】V型12気筒エンジンをミッドシップマウントした
400GTとほぼ時を同じくした1966年に発表した2ドアクーペ。ジャンパオロ・ダラーラによるシャシーに、400GTにも搭載されていたエンジンをベースに、最高出力を350馬力へとアップさせた4リットルV型12気筒ユニットを運転席の後方に横置きでマウント。当時大排気量のミッドシップがなかった時代で、その開発には難航したと言われている。美しいボディーはベルトーネのマルチェロ・ガンディーニによるもの。
社長のフェルッチオ・ランボルギーニは、「ショーカーの要素が強く、販売は30台前後」と考えていたようで、メカニカルなトラブルが多いなど完成度は高くはないと言われている。セールスも73年までの8年間でわずか759台のみ。その間、初期のP400のほか、高出力モデルのP400SやP400SVなど、様々なグレードが存在した。
【Countach】最高速度300㎞/h!
スーパーカーブームの火付け役
特徴的なボディーデザインは、マルチェロ・ガンディーニが担当。シザードアなど独創的な機構、当時のスペックシートに書かれた最高速度300km/hという数字と相まって、当時のスーパーカーブームをけん引した。1989年までの16年という長きにわたり生産され、LP400から始まり、25周年記念モデルなど様々なバリエーションモデルが登場。計2000台近くのカウンタックがラインオフした。
【Diablo】90年代のランボルギーニを支えた1台
1987年にクライスラー参加に入ったランボルギーニは、90年にカウンタックの後継である「ディアブロ」を発表。当初デザイナーのマルチェロ・ガンディーニは、カウンタック同様に直線的なフォルムを提示するも、クライスラーのデザイナーにより角が丸められるなどの手が加えられた。ボディーサイズは大型化するとともに、エンジンも大排気量化。さらに4WDシステム搭載モデルがラインアップに加わるなど、米国市場を意識したモデルとなった。そしてMTのみを設定している車種は、このディアブロが最後となった。
93年、クライスラーはランボルギーニを売却。その後メガテック、Vパワー、アウディと資本が変わり、厳しい経営状態が続くことになる。その間、ランボルギーニのラインアップはディアブロのみ。“悪魔”はひとりで約10年に渡るランボルギーニの暗黒時代を支えたのだった。
【Murciélago】4WD+ミッドシップ+セミATの時代へ
ディアブロとの最大の違いは4WDモデルのみのラインアップとし、後にセミATを用意したこと。10年近く生産され、ラインオフした数は4099台に上ると言われている。
【Aventador】最後の純ガソリンエンジン車
2010年に生産完了したムルシエラゴの後継として2011年に誕生。それまでの鋼管スペースフレーム構造から、カーボンファイバー製セミモノコック構造へとチェンジしたほか、MTは廃止され、セミATのみのラインアップとなった。
V12エンジンは、ムルシエラゴまで最初のモデルである350GTに搭載されたものをベースに改良を重ねてきたが、アヴェンタドールは完全に新設計。ランボルギーニとしては5番目の社内エンジン、V12デザインとして2番目となった排気量6.5リットルのユニットは700馬力を発生する。
2021年7月にはアヴェンタドールの最後飾るモデルとして、LP780-4 ウルティメを発表。600台の限定生産をもって、V型12気筒エンジンの純ガソリン車の歴史に幕を閉じた。
こうして紡がれたランボルギーニの系譜は、最新モデルのRevueltoにも受け継がれている。
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