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デノン“9.4chアンプの最高峰”「AVR-X4800H」レビュー。そのサウンドは本格ユーザーも唸らせる

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デノン“9.4chアンプの最高峰”「AVR-X4800H」レビュー。そのサウンドは本格ユーザーも唸らせる

国産の総合オーディオ/ビジュアルメーカー、デノンから、ミドルクラスAVアンプの最新モデル「AVR-X4800H」が登場した。 “デノン9.4chアンプの最高峰モデル”という野心的なコンセプトを掲げ、それを実現するために上位モデルと同じ福島県の白河工場、通称「白河オーディオワークス」で生産が行われた意欲作だ。

モデルチェンジに伴ってパワーアンプ回路は一新され、上位クラスモデルと同様のモノリス・コンストラクションを採用したこともポイント。今回は川崎にあるD&M;社の試聴室で、AVR-X4800Hのクオリティチェックを行った。

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「AVR-X4800H」¥313,500(税込)

■8Kなど最新規格にも対応。9.4chのアンプ出力が可能な“ミドルクラス最高峰”AVアンプ

まず改めて、デノンは2chのHi-Fiオーディオ製品に加え、AVアンプにも力を入れているブランドだということは押さえておきたい。現在のラインナップは、先だって発売されたフラグシップモデル「AVC-A1H」から、手に入れやすい価格を実現したシンプルな5.1chモデル「AVR-X580BT」まで合計8機種となる。

ではAVR-X4800Hのコンセプト、基本スペックだが、内蔵アンプ数は9ch、音声信号のプロセッシング数は最大で11.4chに対応する。これにより、オーバーヘッド(トップ/ハイト)スピーカーであれば最大6本を使用可能。11.4ch分のプリアウト端子も備わり、別途外部パワーアンプを導入すれば、「5.4.6」や「7.4.4」のスピーカー構成さえ可能で、ミドルクラスながら現実的には最上級のサラウンド環境が構築できるといっていいだろう。

また見逃せないのが、4系統のサブウーファープリアウトを搭載したこと。コアなAVファンからの要望を受けて実装された機能で、視聴者を取り囲むようにサブウーファーを四方に配置することでシームレスな低音のステージ感を出すことが可能になった。また、音量レベルとリスニングポジションの距離設定についても、マニュアル/Audyssey Sub EQ HTによる自動設定が可能で、サラウンドの音場を厳密にセッティングできる。

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対応レゾリューションやフォーマットについては最新モデルだけあり万全の内容といえる。8K/60Hzおよび4K/120Hzに対応するHDMI入力を7系統と出力を2系統搭載。オブジェクトオーディオ技術「Dolby Atmos」「DTS:X」への対応はいわずもがな、さらにAuro 3D、IMAX Enhanced認証に加え、MPEG-H 3D Audioによる「360 Reality Audio」に対応することも興味深い。

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8K信号の入出力にも対応。最新規格をしっかりフォローするため、これから5年後、10年後でも現役で使うことが可能гЃ

また音楽再生周りについては、ネットワークオーディオのプラットフォーム「HEOS」を搭載し、DSDファイルは5.6MHzまで、PCM系ファイルは192kHz/24bitまで再生可能。今となっては若干対応レゾリューションに不満が残るものの、Amazon Music HDやNAS/USBメモリからのローカル楽曲ファイル再生に対応し、単体ネットワークプレーヤー同様の再生機能が付与されている。

筆者の元には時々SNS経由で「AVアンプの中古はどう思いますか?」と質問が来るのだが、基本的にAVアンプは最新モデルをお勧めしている。理由は上述したDolby Atmosなどの最新サラウンドフォーマットがすでにNetflixやApple TVなどで普通に再生できてしまうこと、4K/8Kへの対応や「HDCP 2.3」などの最新の著作権保護技術への対応などが理由で、この点がステレオオーディオコンポーネントとAVコンポーネントとの大きな違いとなっていると思うからだ。

■ハイエンド機と同じメイドイン白河、モノリスコンストラクション構造を採用

さらにいうならAVR-X4800Hの魅力はそれだけではない。そのポイントは大きく2点ある。まず1点目は上述したとおり、本モデルは白河工場で生産されていること。通常同社のAVアンプ群で安価な製品は海外工場で生産されており、前モデル「AVR-X4700H」もそうだった。

もちろん海外生産の品質が悪いというつもりは毛頭ないが、AVR-X4800Hは日本人スタッフの手により1台1台丁寧に生産されており、さらに開発拠点が白河工場内にあることで、設計段階から試作モデル、量産モデルの生産までエキスパートな開発陣と綿密にコミュニケーションを取って開発できるのだ。

2点目はサラウンドプロセッサー部およびパワーアンプ部の内容だ。まずサラウンドプロセッサー部分では、フラグシップモデルAVC-A1Hでも搭載されたアナログ・デバイセズ社製SHARCチップの最新世代「Griffin Lite XP」を用いて、入力されたコンテンツから受け渡されたビットストリーム信号の解凍(デコード)と信号処理を行う。

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9ch分のアンプを全て単体で搭載する「モノリス・コンストラクション・パワーアンプ・レイアウト」を採用

パワーアンプ部はさらに贅沢な構成になっており、前モデルのAVC-X4700Hは5ch分と4ch分の2枚の基板でパワーアンプが構成されていたのに対し、AVR-X4800Hではパワーアンプの基板をなんと1chごとに分離させ、それを9個組み込む「モノリス・コンストラクション・パワーアンプ・レイアウト」を採用した。ひらたくいえば、ハイエンド機と同等のパワーアンプ構成となっているのだ。

そして開発や音作りは徹底している。白河工場に在籍しているデノン110周年記念モデル「AVC-A110」を開発した中心人物、高橋佑規氏をはじめとして敏腕のベテランエンジニアを招聘し、開発を実施。最終的にはデノン製品の音決めを一手に行っているサウンドマスターの山内慎一氏が徹底的に音質チューニングを行ったという。

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AVR-X4800Hをステレオ、Dolby Atmosで試聴

■AVアンプでも「Vivid & Spacious」を実現。もはやミドル帯とは違う領域の音だ

D&M;ホールディングスの試聴室でAVR-X4800Hと対面した。お馴染みのデノンAVアンプの面構えに気持ちが高まるが、まずはステレオの音から確認したい。同社のCDプレーヤー「DCD-1700NE」のトレイにイギリスのポップグループ、ロンドン・グラマー「イフ・ユー・ウェイト」のCDを乗せスタートボタンを押した。

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試聴はD&M;のデノン試聴室で行った

山内氏がセッティングしたとはいえ、AVアンプである。ステレオのHi-Fiアンプと比べ音質はどうだろうか。しかし、音が出たその瞬間、その不安は払拭された。一聴してかなり音が良いことが認識できる。S/Nが高く透明感のある高〜中音域、空間構成が広くスピーカーの左右を大きく越えるシンセサイザー、ドラムスの立体感もある。そして何より音の質感にチープさがない。

あまり褒めすぎたくないが、同社のHi-Fiステレオアンプに通じる正統的かつ躍動感を両立したサウンドだ。山内慎一氏の提唱するサウンド思想「Vivid & Spacious」に倣った音がしっかりと聴こえてくる。

本モデルの音の良い印象は、映像ソースを観ると確信に変わる。Bowers&Wilkins;のスピーカー群で揃えた5.3.4ch環境で、『トップガン・マーヴェリック』4K UHD BDを視聴した。

チャプター1を再生してみると、冒頭のF/A-18戦闘機の離陸音からして音数が多い。ジェットエンジンの音は後から音を追加したプリプロダクションだと思うが、とてもリアルで低域に力がある。これは確かにアンプの駆動力がかなりのものだと判断する。

その後続く試作戦闘機ダークスターの離陸シーンも含め全方位から音がシームレスに聴こえ、天井方向からのサラウンドの音も明瞭で小レベルの音の表現力やスピーカー駆動力などアンプの地力が高いことがわかった。

最後はジョン・ウィリアムズ『ライヴ・イン・ウィーン』の4K UHD BDでクオリティチェックを行った。本タイトルは筆者のDolby Atmosのリファレンスの1枚で聴きどころが多いのだが、AVR-X4800Hはアコースティック楽器の質感が有機的で、オーケストラを構成する多くの楽器が分解能豊かに聴こえてくる。

情報量が多く、ここでもサラウンド品質の確かな能力が印象的。モノリス・コンストラクション・パワーアンプ・レイアウトはかなり音に効いている印象で、大満足の視聴となった。他機種と同時比較したわけではないが、「ミドルクラス」とひと言でいう次元とはもはや違う領域に本アンプの音は入っていると感じた。

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デノンのサウンドマスター・山内慎一氏(左)と土方氏(右)

昨今は設置性の良い薄型AVアンプや、HDMI端子を搭載して手軽にTVと組み合わせられるHi-Fiステレオアンプも人気がある。しかしデノンのAVアンプユーザーのユーザーは、4chを使用する方が91%、3chが4%、2chが5%と、マルチチャンネルで使用されている方が多いという(デノン調べ)。つまり本格的なAVアンプユーザーに非常に人気があるのだ。そんなコアなユーザーを、ミドルクラスであっても満足させる能力がAVR-X4800Hにはあり、お買い得感の高い1台であると感じた次第だ。

(協力:ディーアンドエムホールディングス)

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