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新型アルファード登場! エルグランドはどうする? ライバルの歴史を振り返る

トヨタ自動車が「アルファード/ヴェルファイア」の新型を発売した。高級ミニバン市場はいまや「アル/ヴェル」の一強状態。気になるのはかつてのライバルである「エルグランド」の動向だ。ここでトヨタと日産の大型ミニバン対決の歴史を振り返っておきたい。

新型アルファード登場! エルグランドはどうする? ライバルの歴史を振り返る

トヨタ自動車の「アルファード/ヴェルファイア」

トヨタが新型「アルファード/ヴェルファイア」を発売!

先行したのはエルグランドだった

トヨタが初代「アルファード」を発売したのは2002年5月のこと。それまであった「グランビア」「グランドハイエース」「レジアス」「ツーリングハイエース」を統合し、3ナンバー大型ミニバンの新型モデルとして開発した。ライバルは1997年に初代が登場した日産自動車「エルグランド」。初代アルファードと2代目エルグランドの発表はほぼ同じタイミングだった。

新型アルファード登場! エルグランドはどうする? ライバルの歴史を振り返る

トヨタの初代「アルファード」

新型アルファード登場! エルグランドはどうする? ライバルの歴史を振り返る

トヨタの初代「アルファード」。左は「アルファード G MZ “G Edition”」(オプション装着車)、右は「アルファード V MS」(オプション装着車)

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日産「エルグランド」

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こちらは日産「エルグランド」。左が初代、右が2代目

アルファードよりひと足先にデビューしていたエルグランドは、アピール度満点の立派な顔つきを持つ大きなFRベースのボディに、同社の名機「VQ35DE」型3.5L V6エンジンを搭載することでミニバンユーザーにしっかりとアピールし、トップシェアを獲得。厳しい経営状況だった当時の日産を支え、「ミニバン版のシーマ」などと呼ばれていたのを覚えている。

2代目エルグランドもこれを踏襲した形で、V型上下2段のヘッドライトを持つ存在感あふれるFRベースのボディに3.5L V6を搭載していた。豪華ながらどこにも破綻した部分が見られず、上品でまとまりのあるデザインは秀逸で、筆者は「この世代の2トーンボディは今見てもいいな」と思ってしまうぐらいだ。「キング・オブ・ミニバン」の称号を与えられたのはこのモデルだったと記憶している。

トヨタの威風堂々戦略が奏功

これに対抗すべく、2008年5月にはアルファードがフルモデルチェンジして2代目に進化。ハイブリッドモデルを再登場させて燃費や走行性能をアップさせただけでなく、オーナーが周りに「すごいだろう!」と自慢できる「威風堂々」のエクステリアデザインを採用していた。

さらに、エルグランドもびっくりという上下2段の個性的なヘッドライトデザインを特徴とする兄弟車の「ヴェルファイア」を投入したことで、若いユーザーのハートまでもガッチリとつかみ、ライバルを圧倒することに成功。2台はそれぞれの名前を短縮して「アル/ヴェル」と呼ばれるようになった。「オラオラ顔」などと評されるようになったのも、この世代からかもしれない。確かに、この頃のヴェルファイアがバックミラーに映ると「ハイ、どうぞ」と道を譲ってしまいそうになるぐらいだ。

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2代目「アルファード」

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初代「ヴェルファイア」

左が2代目「アルファード」、右が初代「ヴェルファイア」

一方のエルグランドは2010年にモデルチェンジして3代目に進化した。ボディは先代まで継承してきたFRベースからFFベースに。デザイン面では2段式ヘッドライトの顔つきは継承しつつも、全体的に幅広で長く低い形状になり、さっぱりかつスマートな印象になった。高級感はアップしたものの、ミニバンの特徴である押し出し感は少しおとなしくなった、というのが筆者の印象だ。

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3代目「エルグランド」

現行エルグランドはマイナーチェンジを経つつ、現在まで13年間も販売が続けられている長寿モデルだ。ただし、台数ではアル/ヴェルに全く追いつけなくなってしまった。

アル/ヴェルは2015年1月に3代目(ヴェルファイアは2代目)がデビューした。そのデザインはというと、アルファードは「豪華・勇壮」をテーマとし、36枠もあるギラギラメッキの巨大なセンターグリルを備えた顔つきに。かたやヴェルファイアは「大胆・不敵」をテーマとし、伝統(?)の2段式ヘッドライトを採用したシャープな顔になった。

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3代目「アルファード」

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2代目「ヴェルファイア」

е·¦гЃЊ3д»Јз›®гЂЊг‚ўгѓ«гѓ•г‚Ўгѓјгѓ‰гЂЌгЂЃеЏігЃЊ2代目「ヴェルファイア」。新型の1дё–д»Је‰ЌгЂЃгЃ¤гЃѕг‚Ље…€д»Јгѓўгѓ‡гѓ«гЃ

どちらも「もう勘弁してください」といいたくなるほど強烈な顔なのだけれど、ある面ではアルファードの方が立派で押し出し感が強くなり、それぞれの立ち位置が逆転した印象だった。2017年のマイチェンではヴェルファイアの顔に手が加えられ、ギラギラ感で両モデルが同等になったのも面白い。「アクが強すぎてこの顔は嫌い」といったような声も聞こえてきたが、ミニバンユーザーに受けるのはやっぱりこの顔だったのだ。

アル/ヴェルの新型はどんな姿?

そして、2023年6月21日にフルモデルチェンジしたのが今回の新型アル/ヴェルだ。

「フォーマル」をテーマにビジネスからファミリー、ショーファーに至る全ての人に「快適な移動の幸せ」を提供するという新型アルファードは、例のフロントグリルをブラックメッキにすることで少しシックな表情に。かわりに闘牛をイメージした抑揚のあるサイドデザインにすることで、ボディ全体の塊感や高級感を向上させた。

一方のヴェルファイアは「ダイナミズム」をテーマに漆黒メッキ加飾やスモークメッキ加飾を多用し、フロントグリルはギラギラ感を抑えたシックでダークな顔つきに変貌。アグレッシブさは従来と変わらず持ち続けているけれども、やりすぎ感の強かった先代から比べてちょっと大人になった感じだ。

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トヨタの新型「アルファード/ヴェルファイア」

新型「アルファード」はフォーマル、新型「ヴェルファイア」はダイナミズムがテーマ

新型の登場で、さらに向かうところ敵なしの1強(2強?)状態となったアル/ヴェルだが、そろそろ日産から新型エルグランドが登場するとのウワサもある。どんなデザインでトヨタの2台に対抗していくのか。登場が待たれる。

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新型「アルファード」

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新型「ヴェルファイア」

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原アキラ

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