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スズキ・スイフトがフルモデルチェンジ、新型と旧型との「大きな違い」とは?【試乗記】

スズキ・スイフトがフルモデルチェンジ、新型と旧型との「大きな違い」とは?【試乗記】

Photo by Hiroya Yamagami

ひと目でスイフトと分かるルックスも

新たな“デザイン手法”にもトライ

 国内外にライバルひしめくコンパクトクラスにあって、独自の存在感を放つスズキのスイフトがフルチェンジした。新型は2004年に誕生した、軽自動車の拡大版という開発手法から脱却したモデルから数えると4代目となる。今回刷新されたのはベーシックな標準仕様のみ。ハイパフォーマンス版のスイフトスポーツは、いまのところ従来モデルが継続販売されている。

 骨格構造をキャリーオーバーしたこともあり、3850×1695×1500mm(FF)のボディサイズは従来型とほぼ同様。新型も“5ナンバー”の枠内に収まり、2450mmのホイールベースも旧型と同一である。

 ルックスは、ピラーをブラックアウト化した“フローティングルーフ”のモチーフを踏襲したこともあり、ひと目で「スイフトだ」とわかる雰囲気を備える。ボンネットは前端部分のスラント量を抑えてサイド見切りを重視した新形状。フロントグリルも丸みを帯びた造形に変更するなど新たな“デザイン手法”にもトライ。フルモデルチェンジを行ったことは遠目にも明確だ。

スズキ・スイフトがフルモデルチェンジ、新型と旧型との「大きな違い」とは?【試乗記】

マイルドハイブリッド仕様のWLTCモード燃費は24.5~25.4km/L(FF)と優秀。新型のプラットフォームは従来モデルのリファイン版。構造用接着剤の効果的な使用により剛性をアップ。ボディカラーはモノトーン9色/2トーン4種の計13タイプ。写真のクールイエローメタリック×ガンメタは5万5000円高

スズキ・スイフトがフルモデルチェンジ、新型と旧型との「大きな違い」とは?【試乗記】

インパネはセンター部をドライバー側に傾けたスポーティ形状。カラーリングはドアトリム部を含めて2トーン仕上げ。シボの工夫で高い質感を実現。MZの全方位モニター付きメモリーナビは13万3100円

スズキ・スイフトがフルモデルチェンジ、新型と旧型との「大きな違い」とは?【試乗記】

シートの座り心地は良好。前席はサポート性に優れた形状。室内長1905mm

スズキ・スイフトがフルモデルチェンジ、新型と旧型との「大きな違い」とは?【試乗記】 スズキ・スイフトがフルモデルチェンジ、新型と旧型との「大きな違い」とは?【試乗記】

荷室は必要十分サイズ

 インテリアの雰囲気は大きく変化した。造形とカラーリングの工夫でダッシュボードとドアトリムの連続性が強調され、ディスプレイは従来のセンターパネル内からダッシュアッパー部へと位置を変更。最上級グレードは電動パーキングブレーキが標準装備になり、センターコンソールからブレーキレバーが姿を消している。新型スイフトのメカニズム面で最大のトピックは、エンジンが従来と同じ1.2Lという排気量ながら新開発ユニットへと載せ替えられたことだ。エンジンスペックは82ps/5700rpm、108Nm/4500rpm。

 新エンジンは従来の4気筒から3気筒へと変更しただけでなく、バルブ挟み角と吸気ポート形状の最適化によって燃焼室内に強く速いタンブル流を生成させる4バルブDOHC機構を採用。吸気側の可変バルブタイミング機構や電動式ウオーターポンプの導入で高効率を達成している。

 また、中上級グレードは、最高2.3kW(3.1ps)の出力を発するモーターを用いたマイルドハイブリッドシステムと組み合わせることで優れた燃費性能を実現した。

 ベーシック・モデルながらも「それを好むユーザーも少なからず存在する」と判断され、5速MT仕様が設定される新型スイフトだが、今回テストドライブしたのは新エンジンに合わせて大幅にリファインしたCVTと組み合わせたFFモデルだ。

軽量設計が力強さをアシスト。

走りはしっかりとした印象。足回りはやや硬め

 シート位置とチルト/テレスコピック機構付きのステアリングを調整してドライビングポジションを決めると、その段階で気づくのが各操作系の扱いやすさ。とくに、トグルスイッチとプッシュスイッチを組み合わせた空調コントロールは操作しやすい。走る前から好感が持てる。

 基本的なボディ骨格をキャリーオーバーとしている開発背景もあり、居住空間そのものは従来型と変わっていない。後席へと移動すると決して広々としているとはいえず、センタートンネルの張り出しや降車時のサイドシル高さがやや気になる。だが、決して狭くはない。

 フロントシート下への足入れ性に優れることもあって、大人4名が長時間を過ごすのに不足のないスペースを確保している。この点は評価できる。

 後席アレンジは2分割式のシートバックが前倒れするのみ。倒してもラゲッジスペースとの間に段差が生じるが、その分深さが確保される。用品で販売されている“ラゲッジアンダートレー”を用いれば段差も解消される。

近い将来に登場する

次期型スイフトスポーツとの兼ね合いは?

 走り始める。車両重量が1トンを大きく割り込む軽量ぶりが利いて、動き出しの瞬間からなかなかの力感が味わえる。同時に、予想と期待以上に静粛性も高く、走りの第一印象は好感触だ。

 より大きな加速力を欲してアクセルの踏み込み量を増していっても、エンジン回転数のみが先行して速度の高まりが追い付かないいわゆる“ラバーバンド感”はよく抑えられている。このモデルが本来狙った街乗りシーンでの動力性能は十分に満足できる水準にある。

 加速の能力は、高速道路へと乗り入れても大きな不足は感じなかった。高速時でもエンジンを発生源とするノイズはさほど気にならない。その一方でロードノイズはやや耳障りと感じられた。

 今回は、テストルートの関係から大きな横Gを受けて走行する場面には遭遇しなかった。試乗した範囲内では直進やコーナリング時の安定性に不満を抱く場面は皆無。

 一方、注意喚起のためにペイントされたゼブラゾーンのようにわずかな路面凹凸でも律儀にその感覚を伝えてくるなど、足回りは意外にも硬め。日本での日常シーンに照準を合わせた設定としてはやや疑問が残った。

 このあたりの足回りの設定は、燃費重視のエコタイヤをやや高めの内圧で用いるというチューニングとも関係がある部分かもしれない。

 新型の乗り味は、近い将来に登場する次期型スイフトスポーツとの兼ね合いでも気になる部分である。

(CAR and DRIVER編集部 報告/河村康彦 写真/山上博也)

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