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BMWの衝突基準とキュートな外観を両立 元ボルボCEOが手掛けたEVオートリキシャ 本格生産が待ち遠しい

bmwの衝突基準とキュートな外観を両立 元ボルボceoが手掛けたevオートリキシャ 本格生産が待ち遠しい

代々木公園で開催された「ナマステ・インディア」で展示

日本国内では三輪自動車(トライク)を見かけることはそれほど多くはありませんが、海外、特にアジアでは三輪タクシーとして街なかでよく走っています。三輪タクシーはインドやパキスタンではオートリキシャ、タイではトゥクトゥクと呼ばれ、国民から深く愛されている歴史のある乗り物です。

インド国内ではリキシャのEVも続々と登場しているのですが、9月末に代々木公園で開催された「ナマステ・インディア2023」の会場では、スウェーデンの自動車メーカー・ZBEE社のEVリキシャ「ZBEE」が展示されていました。

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センターピラーがなく開放的なサイド

ZBEE社のCEOは同じくスウェーデンを代表する自動車メーカーであるボルボの元CEOです。なぜ、インドのイベントでスウェーデンのメーカーのリキシャが展示していたのかというと、ZBEE社の子会社であるZBEEインディアがインド国内で製造しているから。そんなZBEEを輸入しているのは、レアな輸入車やリキシャを販売・修理している、兵庫県西宮市にあるガレージボスコです。

車両重量は270kg…乗り心地も快適

ガレージボスコの代表である森知信さんにEVリキシャの特徴を聞いてみました。

まず、導入した経緯ですが、三輪自動車が大好きな森さんがネットでZBEEを見つけ、それがスウェーデンのメーカーだとわかり、いろいろ調べていくとインドで生産していると聞いて導入したそうです。しかし、そのあとすぐに新型コロナウイルス感染症の影響で工場がストップしてしまい、本格的にはまだ生産されておらず、今回も販売予定として展示したとのこと。

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インドを思わせるステッカーでデコレーション

EVリキシャの多くが既存のリキシャをEV化したもので、2018年ごろはインド国内に扱うメーカーが100社くらいあったそうです。このEVリキシャはボルボ元CEOがEV用に作ったもので、衝突実験までしてBMW社の基準をクリアしているそうです。

ガレージボスコでは、インドメーカーのEVリキシャも取り扱っていますが、従来からあるリキシャをEV化した車両と、EVリキシャとして一から作り上げられたZBEEとはまったく違うものだといいます。

ZBEEの乗車定員は運転席1名、後席2名の計3名ですが、展示されていたZBEEは4名で登録しています。ただ、実際に後席に大人3人座るのは厳しいです。

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2人乗りの後席はそこそこ狭い

軽量化にもこだわっていて、車両重量は270kgとリッターバイクくらいしかなく、FRP製のボディ外装は7個のパーツから構成され、エンジンのリキシャと比べるときしみ音が少ないとのこと。ドアは付けられませんが、ドアカバーはオプションで考えているそうです。また、インホイールモーター、前後ディスクブレーキを採用し、リキシャ定番のリーフスプリングを使っていないため乗り心地も快適だそうです。

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インホイールモーターとディスクブレーキ

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サスペンションもあり乗り心地は良いとのこと

二輪車とも四輪車とも違うドライブフィール

ZBEEのハンドル操作はスクーターと同じで、右レバーが前輪ブレーキ、左レバーが後輪ブレーキで、スロットルをひねって発進します。ZBEEに限らず、三輪自動車で気をつけたいのはコーナーリングです。二輪車ではハンドルをほとんど切らずに車体を傾けて曲がります。しかし、ZBEEは車体を倒すことはできないため四輪車と同じようにハンドルを切って曲がるのです。

  bmwの衝突基準とキュートな外観を両立 元ボルボceoが手掛けたevオートリキシャ 本格生産が待ち遠しい

ハンドルやブレーキレバーはスクーターと同じ配置

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スロットルをひねってアクセルコントロール

前輪は中央にレイアウトされているため、コーナーを曲がるときに四輪車のように外側のタイヤで踏ん張ることができずアンダーステアの特性を持ちます。そのため、コーナーではブレーキングが大事でしっかりと減速する必要があるとのことです。また、二輪車では前輪7割、後輪3割のブレーキ比率が理想だと言われていますが、前輪が一輪しかないZBEEでは、ブレーキ比率は後輪の方を強めにします。

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ホイールカバーで覆われた後輪

ZBEEはEVのため、運転免許は普通免許、それもAT限定でも運転できます。また、車庫証明も車検もなく、ヘルメットも不要で自動車税は3,600円です。道交法上は高速道路も乗れるのですが、最低速度をぎりぎりクリアできていないため走行できません。

   ◇   ◇

コロナ禍でインドの工場がストップしていたため、どのくらい輸入できるのか、デリバリーも未定とのことです。今後バージョンアップしたZBEEが登場するかもしれませんし、可倒式のシートを採用してリキシャの中で横になれるキャンピングモデルも考えていて、ソロキャンプも面白そうです。

いまのところ予定価格128万円ですが、本格的にインドでの生産が始まったら100万円程度にしたいとのこと。日常使いとして個人用で乗るというよりも、観光地のタクシーやレンタカー、イベントでの活躍が期待できるでしょう。

【EV RICKSHAW ZBEE 主要諸元】

全長/全高/全幅:2,400 mm /1,500 mm /1,250mm

車両重量:270kg

定格出力:2KW

最高出力:4KW

航続距離:約100km(4KW時)

最高速度:45km/h

充電時間(家庭用100V):約3時間

乗車定員:運転席1名、後席2名

車両本体価格(税別):予価128万円

タイヤ:フロント&リア135/70R13

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(まいどなニュース特約・鈴木 博之)

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