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新車N-BOXvs中古ヴェルファイアはどっちがお得? 試算は“驚きの結果”に…

◆新車の新型軽自動車vs中古の高級ミニバン

新車n-boxvs中古ヴェルファイアはどっちがお得? 試算は“驚きの結果”に…

N-BOX公式ホームページより

 激安中古車大好き、腕時計投資家の斉藤由貴生です。

 これまで私は、38万円のセルシオに乗ったり、50万円で買ったクラウンを55万円で売るなど、高級車をお得に楽しんできました。そんな私が以前から主張しているのは、「新車の軽自動車を買うなら、中古の高級車を買ったほうが良い」という点であります。

 昨今、軽自動車は「普通車ユーザーが乗り換える」ほどメジャーな乗り物となっているわけですが、商品力が上がった結果軽自動車は以前と比べれば高級になり、価格も上がっています。多くの人が軽自動車を選ぶようになったのは、軽ハイトワゴンのような商品が出たことによって「普通車以上の室内空間」を「安い維持費」で楽しむことができるからだと思います。

 つまり「安い維持費で快適」が良いのでしょう。しかし、それに対して私は思うことがあります。それこそが、高い新車の軽自動車を買うならば、安い中古の高級車を買ったのほうが「より快適で安いのでは?」という点です。

 ということで今回は、今月新型が発表されたばかりのホンダN-BOXと中古ヴェルファイアを比べてみたいと思います。

◆シミュレーションの前提にしたもの

 前提として、どの車両も買ってから5年5万km乗る想定。N-BOXは新車、ヴェルファイアは20系の中古を買うシミュレーションをしてみます。

 なお、ヴェルファイアには2.4Lのモデルと3.5Lのモデルが存在するため、660ccのN-BOXと2.4L、3.5Lのヴェルファイアをそれぞれ比較することとしました。

 そして、想定消費額は「本体代」、「ガソリン代」、「維持費」となっています。

「本体代」は、購入時の価格から、5年後に売却する際の想定買取額を引いたもの。これが実質消費額だといえます。

 想定買取額についてですが、例えばN-BOXの場合は新車を買う条件であるため、想定買取額は、現在から5年前、すなわち2018年式の走行距離5万km程度の車両の業者AA相場を元としています。

「ガソリン代」についてですが、これは現在のガソリン価格(レギュラー:170円、ハイオク:180円)がベース。燃費については、各車、ネットで個人が公開している実質燃費をベースとし、カタログ値と比較して計算。都内下道を使用する前提で厳し目に出しています。

「維持費」については、車検の法定費用、任意保険代、自動車税が含まれています。オイルやワイパーといった消耗品は、誤差ともいえる範囲であるため、あえて含んでいません。

◆現在購入できる100万円以下ミニバン

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3.5VLエディション(カタログより)

 今回、新車N-BOXとの比較対象を20系ヴェルファイアとしたわけですが、総額100万円以下で購入可能なミニバンは以下の通りです。

【アルファード(&ヴェルファイア)】

・初代(2002年デビュー)=約60万円ぐらい

・2代目(2008年デビュー)=約90万円ぐらい(3.5リッター:約110万円)

【エリシオン(2004年デビュー)】

・約40万円ぐらい

【デリカD5(2007年デビュー)☆現行型】

・80万円ぐらい

【エルグランド】

・2代目(2002年デビュー)=約50万円ぐらい

・3代目(2010年デビュー)☆現行型=約70万円ぐらい

※いずれも7万km以下、修復歴なしという条件、金額は総額。

 上記の中で、故障率の低さや快適性といったバランスが最も良いのが20系ヴェルファイアだったため、今回は中古ヴェルファイアを新車N-BOXと比べることにした次第です。

◆エントリー1 中古ヴェルファイア(2.4L)

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ヴェルファイア2.4Z総額93.9万円【2009年式、走行6.7万km】

 2008年デビューのヴェルファイアには、全グレードにカーテンエアバッグやスマートキーが標準装備。また、両側スライドドアもほぼ当たり前についているといえます。そういった意味では、2023年デビューの新車軽自動車と比較して「日常使いで不便」な部分は全くないといえ、快適性も軽自動車を上回ることだと思います。

 この2.4Lの中古ヴェルファイアは、2009年式、走行6万kmといった個体が総額90万円程度で難なく入手可能。

 5年乗った場合の想定買取額は、現時点の「2004年式、走行距離11万km」のアルファードの業者AA相場とすると、27万円ぐらいとなります。

◆エントリー2 中古ヴェルファイア(3.5L)

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ヴェルファイア3.5-Z-Gエディション総額105万円【2009年式、走行7万km】

 2代目アルファード(初代ヴェルファイア、20系)から、2列目シートが「かなり豪華」になったわけですが、そのグレードが選べるのは3.5Lかハイブリッドのみ。こういった豪華シートによって、20系からアルヴェル(注:アルファード、ヴェルファイアの総称)は「経営者や芸能人御用達」となったといえますが、そんな豪華仕様が今、総額110万円ぐらい出せば買うことができてしまうのです。

 なお、2列目が豪華仕様になっているのは、「3.5 Z Gエディション」と「3.5 V Lエディション」でありますが、前者のほうが個体数が圧倒的に多いです。

 ただ、「3.5 V Lエディション」は、当時のヴェルファイアの中で最も豪華な仕様。本革シートが標準装備で、2列目も電動リクライニング&オットマンであります。現行アルファードの「Z Premier」とほぼ同等の装備だといえますが、現行は新車が入手困難のため、現在中古車が1200万円以上といった相場。時価1200万円相当と同じ装備が110万円で手に入るわけですから、なんとも魅力的だといえます。

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ヴェルファイア3.5 V Lエディション総額109.8万円【2008年式、走行8.1万km】

 同じ豪華仕様でもハイブリッドの中古相場は250万円といったところであるのに対し、3.5Lだと110万円ぐらいで購入可能。これはかなりお得度が高いといえます。もちろん、3.5Lは燃費が良くないため、「そうはいっても買いづらい」と思われるかもしれません。ただ、それは後に出す計算結果を見て判断していただければと思います。

 なお、現在売られている「3.5 V Lエディション」は、2008年式、約8.1万kmという内容。5年5万km走る場合、5年後の走行距離は約13万kmとなります。2008年の5年前、すなわち2003年式の13万km程度のアルファードの業者AA相場が35万円ぐらいで、2列目豪華仕様ということで若干プラス。5年後の想定買取額は40万円と予測しました。

◆比較対象とする新車N-BOX

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N-BOX Customの新車見積結果

 今回、比較対象としたN-BOXは、今月登場したばかりのモデル。どうやらこのモデルから、売れ筋が200万円以上といった価格帯になっているようなので、今回はN-BOX Customにオプションをつけたものを選択。といっても、筆者自らオプションを選定したのではなく、ホンダの公式WEBサイトでおすすめされた構成を選んだだけであります。

 ノンターボモデルを選んでみたものの、算出された見積もり額は239万1580円でした。

 そして、5年5万km乗った場合の想定買取額は70万円としました。

◆維持費を比較してみた

 さて、ここまでおさらいしたうえで、車両代の実質消費額(A)は以下のようになります。

ヴェルファイア2.4L A実質消費額:63万円(=購入額90万円―想定買取額27万円)

ヴェルファイア3.5L A実質消費額:70万円(=購入額110万円―想定買取額40万円)

N-BOX Custom    A実質消費額:約169万円(=購入額約239万円―想定買取額70万円)

 そして、維持費は以下の通り。

●ヴェルファイア2.4L(燃費:8km/L) 

Bガソリン代(5年分):106万2500円

C維持費(5年分):58万2375円

合計(B+C):164万4875円

●ヴェルファイア3.5L(燃費:6km/L) 

Bガソリン代(5年分):150万円

C維持費(5年分):64万7375円

合計(B+C):214万7375円

●N-BOX Custom(燃費:15km/L) 

Bガソリン代(5年分):56万6667円

C維持費(5年分):20万7130円

合計(B+C):77万3797円

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ガソリン代の試算

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維持費の試算

◆最終的な試算結果は?

 そして、車両の実質消費額と5年分の維持費を合計した結果がこちら。

●ヴェルファイア2.4L 5年乗った総額(A+B+C):227万4875円(月額37,914円)

●ヴェルファイア3.5L 5年乗った総額(A+B+C):284万7375円(月額47,915円)

●N-BOX Custom    5年乗った総額(A+B+C):246万5377円(月額41,089円)

 

新車n-boxvs中古ヴェルファイアはどっちがお得? 試算は“驚きの結果”に…

5年乗った場合の総額

 このように計算してみると、5年5万km乗る前提では、ヴェルファイアの2.4Lが最も安価という結果になりました。

 軽自動車は圧倒的に維持費が安いものの、新車を買うという前提では本体代が高いため、車両の実質消費額では不利。それが影響し、リッターあたり8km程度しか走らないヴェルファイアよりも結果的に高い支払額となったわけです。

 もちろん、この計算は、故障しない前提であるため、なにか不具合があって修理代がかかれば、順位は逆転するかもしれません。とはいえ、私の経験からトヨタ車は「かなり壊れないほう」であるため、ヴェルファイアの修理代がかさむということは考えづらいと思います。

 また、超豪華仕様のヴェルファイアを買ったとしても、N-BOXにプラス40万円程度という結果。月々6000円程度多く払えば難なく乗れてしまうわけです。

 今回、計算してみた結果、今便利なファミリーカーを買うのであれば、私は中古ヴェルファイアが最も良い選択だと感じました。

 近頃の軽自動車は、豪華になっているとはいえ、20系ヴェルファイアほどの快適性は到底ありません。まして、「3.5 V Lエディション」となれば、その高級感は今でも色褪せないわけで、それが110万円程度で入手可能というのはとても良い選択だと思った次第です。

<文/斉藤由貴生>

【斉藤由貴生】

1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

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