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驚くべきスピードで何時間でも走り続けるビジネス&レジャー・エクスプレス! 5リッターV10のRS6アバントは、どんなアウディだったのか?【『エンジン』蔵出しシリーズ/アウディ篇】

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驚くべきスピードで何時間でも走り続けるビジネス&レジャー・エクスプレス! 5リッターV10のRS6アバントは、どんなアウディだったのか?【『エンジン』蔵出しシリーズ/アウディ篇】

中古車バイヤーズガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回のアウディ篇では、2007年秋のフランクフルト・モーターショウでデビューした2代目アウディRS6を取り上げる。お送りするのはポール・リカール・サーキットを舞台に開かれた国際試乗会の2008年4月号のリポートだ。580馬力の5リッターV10ツインターボを搭載したモンスター・マシンの乗り味はどんなものだったのか?

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「ビジネス&レジャー超特急! 新型アウディRSアバントに南仏、ポール・リカール・サーキットで乗る」ENGINE 2008年4月号

アウディ史上最強となる580馬力の5リッターV10ツインターボ・ユニットに火を入れた瞬間、地鳴りのような低い唸り音と振動が、室内を包み込んだ。6段ATのシフト・レバーをDに入れ、アクセレレーターに乗せた右足に力を込めていく。と、2025kgの車重を持つ怪物ステーションワゴンは、一瞬ためらうような間を置いた後、クワトロ・システムによってトルクを伝えられた4つのタイヤが地面を蹴り、闘牛のような重々しい力強さを持って走り始めた。驚くべきスピードで何時間でも走り続けるビジネス&レジャー・エクスプレス! 5リッターv10のrs6アバントは、どんなアウディだったのか?【『エンジン』蔵出しシリーズ/アウディ篇】

手の入る隙間もなく押し込まれた5リッターV10ツインターボ・ユニット。ほかのアウディV型同様、シリンダー角は90度、シリンダーの中心間距離は90mm、ボア×ストロークは84.5×89mmになっている。クランク・ケースはアルミ合金製だ。

1993年にデビューしたポルシェ・チューンのRS2に端を発するアウディRSシリーズは、昨年登場した初のミドシップ・スーパー・スポーツのR8同様、アウディ本社ではなく、100%子会社のクワトロ社によって開発・生産されるスペシャル・スポーツ・モデルだ。

それゆえに、基本となる素材はほかのアウディ車と共通でありながら、その味付けは、時としてまるで正反対と思えるほどに違っている場合がある、ということを、今回、改めて思い知らされた。それ程までに新型RS6は、A6はもちろん、スポーツ・モデルのS6とさえ、ひと味違った乗り味のクルマだったのである。

驚くべきスピードで何時間でも走り続けるビジネス&レジャー・エクスプレス! 5リッターv10のrs6アバントは、どんなアウディだったのか?【『エンジン』蔵出しシリーズ/アウディ篇】

コクピットの基本デザインはA6と同じだが、フラット・ボトムのステアリングやカーボン、アルミ、レザー、アルカンタラといった素材をうまく使い、差別化を図っている。

軽快と重厚。ひとことでその方向性の違いを言ってしまえば、そういうことになる。パワー・ウェイト・レシオ3.5kg/psを誇るRS6が軽快、なのではない。逆に走り出した瞬間から誰にでも明らかなほど、重厚な乗り味を志向していることに、少なからぬ驚きを覚えたのだ。

たとえば、速度感応式のパワー・ステアリングの味付けときたらどうだろう。そもそもが手応えのある操舵フィールを持っているのだが、時速30kmを超えた途端に、さらに驚くほど重くなる。まるで曲がらないでまっすぐ突き進めと言わんばかりに。現行A6のステアリングが、拍子抜けするほど軽々と回せるのとはちょうど対照的である。A6シリーズも含めて、最近のアウディが意図的に軽快感を強調する味付けを志向しているのに対して、明らかにその逆を行こうとしているのだ。

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サーキットでの試乗車にはオプションのRSバケット・シートが奢られていた。標準装備のレザーとアルカンタラを使ったスポーツ・シートもホールド感は上々だ。

むろん、新型RS6は呆れるほど速い。ひとたび右足を床まで踏みつければ、回転計の針は跳ね上がり、5リッターV10ツインターボはドラム・ロールのようなビート音を立てながら、物凄い力で巨大なボディを前へ前へと押し出して行く。0-100km/h加速は4.6秒。ライバルであるBMW M5ツーリングの4.8秒を上回り、メルセデス・ベンツE63AMGステーションワゴンと並ぶ。最高速はリミッターで250km/hに制限されるが、オプションで280km/hまで引き上げる設定も用意されている。

2トン以上もあるクルマがこれだけの速さを持っているのだから、あまり軽快な乗り味にし過ぎては危険だ、という考え方が生まれたとしても、不思議ではないだろう。

サーキットよりオートルート

今回の国際試乗会では、ポール・リカール・サーキットを3周だけ走る機会が与えられたが、正直に言って、新型RS6はサーキットを攻めて楽しめるクルマではなかった。

サーキットで乗れば、どうしたって2トン以上もある重さがネックになり、アンダーステアが目立ってしまう。それを強引に曲げるためには、積極的にスロットルをオフにし、タックインさせてノーズを内に入れるような技も必要になってくる。飛び抜けて速い分だけ、クルマを手なづける操作は飛躍的に難しくなる。

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左右に配された大型の楕円形テール・パイプが印象的なリア・スタイル。

その意味では、サーキットの外に出て、ワインディングを走っている時の方が、よほどリラックスして、このクルマのモンスターぶりを楽しむことができた。一般道をフツウに走る分には、こんなに運転しやすいクルマはないと断言できるくらいだ。

先代RS6の登場時に導入され、現行RS4にも装備されている、対角線上にオイル・ラインを繋いだ可変ダンパーのダイナミック・ライド・コントロールは、さらに洗練された上、オプションで3段階の硬さ調整機能が付けられるようになり、有用性が増した。乗り心地重視の「コンフォート」を選ぶとピッチングやロールが気になるので、走り重視の「ダイナミック」か、ワインディングを走るなら、さらに硬めの「スポーツ」を選びたい。それでも、余程路面が荒れていない限りは、乗り心地が損なわれることはない。

だが、このクルマがもっとも水を得た魚のごとく輝いていたのは、オートルートを走った時だったことを明かしておこう。なんのストレスを感じさせることもなく、驚くべきスピードで何時間でも走り続けるビジネス&レジャー・エクスプレス。それこそが、このクルマの本質と見た。

文=村上政(ENGINE編集長) 写真=アウディ・ジャパン

■アウディRS6アバント

駆動方式 フルタイム4WD

全長×全幅×全高 4928×1889×1460mm

ホイールベース 2846mm

車両重量 2025kg

エンジン形式 アルミ製90度V10DOHCツインターボ

排気量 4991cc

ボア×ストローク 84.5 ×89mm

最高出力 580ps/6250-6700rpm

最大トルク 66.3kgm/1500-6250rpm

トランスミッション 6段AT

サスペンション(前) フォーリンク/コイル

サスペンション(後) トラペゾイダル/コイル

ブレーキ 前後ベンチレーテッド・ディスク

タイヤ 前後255/40R19

車両本体価格 10万6900ユーロ(ドイツ価格、税込み)

(ENGINE2008年4月号)

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