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オジサンには響く!ミツオカM55コンセプトを見てノスタルジー×最新テクノロジーを夢見る

70年代、80年代のクラシックカーや、90年代の国産スポーツカーなどの憧れのクルマに乗りたいけど、中身は最新がいい……という需要が高まっているようです。

今年1月の東京オートサロン2023では、トヨタがAE86をバッテリーEVと水素エンジン車にコンバートして話題となりましたし、日産もR32スカイラインGT-Rを最新のバッテリーEVへコンバートするという企画を進めています。

オジサンには響く!ミツオカm55コンセプトを見てノスタルジー×最新テクノロジーを夢見る

これらをビジネスとして成り立たせることができれば、旧車の魅力を再び味わえる時代がやってくるかもしれません。ノスタルジー×最新テクノロジーの組み合わせに可能性はあるのでしょうか。

  

■「カッコいい」 「すぐにでも出して」 光岡の「M55コンセプト」

2023年11月16日、光岡自動車は、旧車のデザインをオマージュしたコンセプトカー「M55コンセプト」を発表しました。1970年代や1980年代に実在したスポーツカー達のデザインエッセンスを抜き出し、現代風にアレンジしたスポーツカーとのことで、SNSでは、「カッコいい」 「すぐにでも出して欲しい」とウワサになっています。

オジサンには響く!ミツオカm55コンセプトを見てノスタルジー×最新テクノロジーを夢見る丸4灯ヘッドライトや、グリル周りを囲むメッキトリムパーツ、ホワイトレタータイヤやリアウィンドウのルーバーなど、ノスタルジーな雰囲気が漂う、ミツオカのM55コンセプト

M55コンセプトが狙うのは、創業55周年を迎える光岡自動車と同じ時代を過ごしてきた、同世代のクルマ好き。M55コンセプトには、丸4灯ヘッドライトやグリル周りを囲むメッキトリムパーツなど、彼らに突き刺さるエッセンスがたくさん盛り込まれており、フロントマスクは、まるで70年代のケンメリスカイラインやダッチチャレンジャーのよう。

オジサンには響く!ミツオカm55コンセプトを見てノスタルジー×最新テクノロジーを夢見る

このフロントデザインから、ベースがホンダシビックだということに気づくことができる人は少ないでしょう。

オジサンには響く!ミツオカm55コンセプトを見てノスタルジー×最新テクノロジーを夢見る

ほかにも、ミシュランのホワイトレタータイヤやリアウィンドウのルーバー(ブラインドの役目をする)、内装にもブルーの皮シートには1970年代スポーツカーのようなハトメが施されていたりと、ノスタルジー溢れたデザインを上手く取り入れています。

オジサンには響く!ミツオカm55コンセプトを見てノスタルジー×最新テクノロジーを夢見るハトメ細工が施されたブルーの本革シート。後席も同様の加工が施された本革シートが備わる

光岡自動車は、「M55コンセプトはあくまで創業55周年を記念したコンセプトカーで、市販化する計画は現時点ない」としていますが、売って欲しいというリクエストが殺到しているようなので、限定生産のような方法で販売されることになると思われ、光岡がとっている「新車をノスタルジーにする」方法は、ビジネス的にもうまくいきそうな気はします。

  

■旧車をBEVへコンバートするのは、量産が難しい

では逆に、旧車の中身を最新にする、という方法はどうでしょうか。冒頭で触れた、AE86やR32スカイラインGT-Rの例がまさにそうですが、先日開催されたジャパンモビリティショー2023においても、同様のコンバージョンEVが出展されていました。

オジサンには響く!ミツオカm55コンセプトを見てノスタルジー×最新テクノロジーを夢見る

ベースとなったのは、ボロボロのランドクルーザー60。車体製造・特装車架装メーカーである株式会社トノックスと、クルマのリノベーションを得意とするフレックス株式会社、そして特殊車両の改造やEVの研究開発を行っているエンジニア集団のNSビークルの共同で進められた本企画。出展車両をみたランクルファンからは、なんとかこのコンバートEVを売ってくれないか、という問い合わせが寄せられていたそう。

オジサンには響く!ミツオカm55コンセプトを見てノスタルジー×最新テクノロジーを夢見るコンバートEVのベースとなった60系ランドクルーザー。ボロボロだった車体は、職人の手によってピカピカにされ、BEVとして生まれ変わった

ただ、製作工数とコストは多分にかかっており、また、1台1台の傷み度合いが異なる中古車を、職人が手作業でコンバート制作しているため、今後も大量生産はおそらく難しいといいます。

ビジネスにするには「安定して数多く作る」ことが重要ですので、コンバートEVをビジネスとして成り立たせるのは難しいのかもしれませんが、「思い出のクルマだから、いくらかかってもコンバートして乗りたい」というユーザーもいると思われ、そうしたユーザーに向けてであれば、今後もうすこし効率化が進むことで、ビジネスとして成り立たせることはできるかもしれません。

 

■古きよきものを大切にしていく余裕も大切にしたい

光岡自動車はこれまでも、マツダ ロードスター(ND型)をベースとする200台限定のミツオカロックスター(2018)や、累計受注900台で打ち切られた、トヨタRAV4をベースとするミツオカバディ(2021)など、新車をノスタルジーに改装させ、大いにヒットさせてきました。

昔どこかで見たことのあるような雰囲気のクルマでありながら、新しいデザインのテイストが加えられており、この方策は今後も高い需要が見込めると考えられます。

コンバートEVビジネスも、将来的には成り立つ可能性はあると思います。新しく買ったほうが効率もコスパもいいのかもしれませんが、古きよきものを大切にしていく余裕も、大切にしたいもの。クルマにおける「ノスタルジー×最新テクノロジー」の今後に期待したいです。

Text:Kenichi Yoshikawa

Photo:MITSUOKA,FLEX

Edit:Takashi Ogiyama

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