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クルマ好きの秘密の桃源郷 建物の中に街灯に照らされた名車が並んだ街並みが浮かび上がる! アバルト、ジャガー、ブガッティ、ポルシェ、etc 始まりはたった1台の小さなミニカーだった!

クルマ好きの秘密の桃源郷 建物の中に街灯に照らされた名車が並んだ街並みが浮かび上がる! アバルト、ジャガー、ブガッティ、ポルシェ、etc 始まりはたった1台の小さなミニカーだった!

クルマ好きの秘密の桃源郷 建物の中に街灯に照らされた名車が並んだ街並みが浮かび上がる! アバルト、ジャガー、ブガッティ、ポルシェ、etc 始まりはたった1台の小さなミニカーだった!

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雑誌『エンジン』の人気企画、「2台持つとクルマはもっと楽しい」。日本有数のワインディング・ロードが目の前という風光明媚な土地にイギリス、イタリア、フランス、そしてドイツの、全部で17台ものやや小さめのクルマたちが見事に収まる、とびきり素敵なガレージを構えるKさん。その原動力になったのは、もはや傷だらけの、小さな色あせたミニカーだった。

建物の中に小さな街がある

街道を離れ、遠くに美しい山肌を眺めながら峠道を走ると、目的地の別荘が見えてきた。その隣の、片屋根で周囲より細長い建物の前に、日本ではあまり見かけないVWカリフォルニアが駐まっている。

「いい時期にいらっしゃいました。もうすぐ雪が積もって、鋼鉄製の雪囲いがないと重みでシャッターが壊れるほど。4月まではクルマも出せなくなり、みんな冬眠するんです」

そういって出迎えてくれたのがこの建物の主、Kさんだ。中に入り、暗がりの中を先へ進むと、小さなドアの向こうに、愛らしい丸いお尻が見えた。フィアット500ベースのアバルト595と、アバルト・レコルト・モンツァ。そして、その先の景色に、僕は息を飲んだ。

クルマ好きの秘密の桃源郷 建物の中に街灯に照らされた名車が並んだ街並みが浮かび上がる! アバルト、ジャガー、ブガッティ、ポルシェ、etc 始まりはたった1台の小さなミニカーだった!

アバルト595エッセ・エッセ(1964)、アバルト・レコルト・モンツァ(1958)、アシュレイGT(1965)

建物の中なのに、小さな街灯で照らされた路地があった。手前の突き当たりにいたのが、最初に見えた2台のアバルトと緑色のクーペ。その反対側の路地の突きあたりの引き戸の奥に3台。左手には欧州の旧い街並みにあるようなアーチが3つ並び、それぞれに2台。さらに、左手の戸の奥にもまだ1台が見える。

ブルーのブガッティ。漆黒のジャガーEタイプ。そんなクルマ好きならば誰もが知る名車たちと、洋書の中でしか見たことのない希少なクルマたちが、整然と並んでいた。

アーチの反対側のシャッターを開けるとクルマが周回できるアスファルトのコースがあり、そこにもまだ2台。そして隣の土地に建つ、別荘のビルトイン・ガレージにもさらにまた2台。すべてKさんの、すべてが愛らしい丸い目のクルマたちだ。その数、合計17台! 

そして何より驚いたのは、サーキット仕様にする予定の1台だけを除き、すべてナンバープレートが付いている。ガレージ内のこのクルマの配置は、ほかのクルマを動かさず、好きな時に好きなクルマですぐに走り出せるよう、動線を確保するためだったのだ。

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ゴッチアと並んで思い入れの深いジャガーEタイプ(1962)と、現在エンジン修理中のフィアット508Sバリラ(1935・写真右)。

「飾っておくだけでは物足りなくて。僕は走らせるのが好きなんです。年に2度、友人たちと“ドライビング・パーティ”という催しをしています。みんなにこのクルマたちに乗ってもらって、BBQをして。最後には酔って、あのサムルソンの中で寝ちゃった人もいる」

いやはやここをクルマ好きの桃源郷といわずして、何というのだ。

原点はEタイプ

Kさんがクルマに目覚めたのは、箱スカなどに乗っていた父親の影響だったという。小学校に入る前にもらったジャガーEタイプのミニカーが、すべてのはじまりとなった。

最初の愛車はクラシック・ミニ。国産車やBMWも乗り継ぎ、結婚し、子供を授かったことを機に2代目レンジローバーを手に入れる。Eタイプの入手は11年前で、ここから2台持ちがはじまった。そしてEタイプがもたらしたご縁で、Kさんはさらに旧く深いクルマの世界へ。

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「同じ県内でEタイプに乗るクルマ好きの先輩と知り合いまして、その方にアバルトのことや、旧いクルマのことを教えてもらいました。このゴッチアは、彼からディーノとセットで譲ってもらったんです。もともとゴッチアだけを、と考えていたので置き場所も予算も大変でした」

イタリア語で“水滴”を意味するゴッチアの愛称で知られる、フィアット・アバルト750GTクーペ・ヴィニャーレ。どちらが前か後ろか分からない、不思議な形が魅力という。

「そこにあるアバルト、レコルト・モンツァがたった1年後のクルマなのに、まったく関連性がないように見えますよね。僕はやっぱりその形に惹かれたのかな。カルロ・アバルトは失敗作だったと言っていたそうですが、そこがまた愛らしい」

当時自邸には2台のスペースしかなく、一度にやって来たディーノやゴッチアは納まらず、Kさんは愛車たちにいかに安住の地を与えるか、長らく試行錯誤することになる。

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そして目の前に走り甲斐のあるワインディングがいくらでもあるこの土地と巡り会い、最初に別荘として2台が格納できるガレージハウスを建てる。続いて隣の土地も入手し、この17台が収まるガレージの構想を練りに練った。家は三度建てると納得がいくものになるというが、どうやらそれは大切な愛車を納めるガレージでも同じだったようだ。

ポルシェ356や964、MG-TDもいたが、ガレージができたことでクルマは入れ替わりながら増え続ける。パガーニ・ランチア・スポーツ、フォード・コーティナ、フィアット508Sバリラ……最後にやって来たのがブガッティ・ブレシアだ。

「もうこれ以上、欲しいクルマはないです。新しいクルマにはあまり興味がないし。でもフィアット500やアバルト500のEVは別荘への週2回の往復に丁度いいかも」

気になるのはやはり丸目なのである。ガレージの出し入れを考えても今が一番バランスがいいそうだ。

Kさんはこのクルマたちで年4、5回、クラシックカー・イベントに参加。300kmくらいなら、カリフォルニアで牽くトレーラーに載せて運転して行く。イベント中、決められた区間を設定時間にいかに近く走るかを競うPC(プローベ・クロノメトラーテ、いわゆる線踏み競技)で勝つため、ガレージ前のコースで毎回練習していくのだが……。

「クルマが毎回変わるから全然上手くならない。先輩方にも、それが駄目なんだって言われて。でも、やっぱりいろんなクルマに乗りたくて」

まだ免許のないお子さんも、すでに助手席でイベントに参加。時には押し掛けを経験したりも。今後は奥様との参加も計画しているという。

「家族には我が家で唯一4ドアのコルティナが人気なんですよ(笑)」

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ゴッチアたちの右隣が友人たちとの憩いの場。クルマたちを上から見られる屋根裏には来客用寝室とKさんの書斎が。

ところでKさんの原点のジャガーのミニカーである。これがなかなか見当たらず、最後の最後にようやく戸棚の中から発掘された。「これだけは子供たちに渡せなかったんですよ」とKさんは丸い目を細める。

「ここにあるクルマは我々よりずっと長生きです。だから極力オリジナルの部品を残し、競技の装備なども元に戻せるようにしています。自分がそうしてもらったように、次世代に引き継ぐために。このミニカーも最後は子供にあげるのかな……」

ミニカーへそそぐその優しいまなざしは、ほかの17台へそそぐものとまったく同じように、僕には見えたのだった。

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=阿部昌也

(ENGINE2023年2・3月号)

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