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【動画付】「次に乗り比べるまで、結論はお預けにしよう」 驚愕の新技術、ポルシェ・アクティブライド・サスペンションとは? 新型ポルシェ・パナメーラに試乗!

【動画付】「次に乗り比べるまで、結論はお預けにしよう」 驚愕の新技術、ポルシェ・アクティブライド・サスペンションとは? 新型ポルシェ・パナメーラに試乗!

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2009年に初代がデビュー。その7年後の2016年に2代目が登場したパナメーラが、同じく7年後の昨年11月、3代目に生まれ変わった。このほど開かれた国際試乗会から、エンジン編集長のムラカミがリポートする。

明らかに快適性を高める方向で開発された3代目

ポルシェ史上初の4ドア・スポーツ・セダンとして、2009年に鳴り物入りで登場したパナメーラが、早くも第3世代になるというのだから、時が経つのは速いものである。ここまでの変遷を振り返ると、その味つけの方向性は、微妙に揺れ動いてきたように思う。

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たとえば、初代が目指していたのは、紛れもない4ドア4シーターのスポーツカーだった。初代カイエンが登場した時に、徹底的にオフロード性能を鍛えてきたように、初代パナメーラでもポルシェはそのバッヂをつけたサルーンに相応しいダイナミック性能を徹底追求してきたのだ。ミュンヘンを起点に開かれた国際試乗会はなんと後席試乗から始まったが、後ろに乗っていても身体へのGのかかり方が驚くほどダイレクトで、ドライバーと同じように身構えていなければならないのだと知り、呆気にとられたことを思い出す。

しかし、2016年に登場した2代目では、一気に見た目を911に近づけ、中味も新開発の4リッターV8ツインターボを投入してダイナミック性能を高めながら、より高性能なエアサスペンションやアクティブ・スタビライザー、さらには後輪ステアリングなどを導入して、走りと同時にラグジュアリー・サルーンとしての洗練度も大幅に高める方向に大きく振ってきた。その象徴とも言えるのが、その後に追加されたターボS Eハイブリッドで、走りと快適性をともに極限まで高めたモデルだった。その一方でシューティング・ブレイクのスポーツツーリスモを加えたりしてきたわけだが(残念ながら今回は廃止)、結局のところ、スポーツとラグジュアリーのさじ加減をどのあたりに置くかということが、パナメーラのクルマづくりのキモになっているということなのだろう。

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さて、それでは3代目はどんなさじ加減でやってきたのか。ハッキリ言えるのは、この3代目は明らかに快適性を高める方向で開発されたということだ。とりわけ新しい足回りの開発に大きな力が注がれているのだが、快適性を高める目的で開発した結果、スポーツ性能の向上にも繋がった、というのが3代目パナメーラの要点だと思う。では、その中味を詳しく見ていくことにしよう。

992型のデザインを踏襲

まず、言っておかなければならないのは、今回のパナメーラの基本プラットフォームは先代からのキャリーオーバーだということだ。だから骨格はほとんど変わっていない。しかし、外観にはかなり手が入れられており、よりワイド感を強調した押し出しの強いフロントマスクを得ている。ひと目見てすぐにわかる違いは、フロントのナンバープレートの上の部分に横長のエア・インテークが設けられたことだ。これが下側のグリルとも視覚的に繋がって、大きなラジエター・グリルを得たようにも見える。車幅いっぱいに拡がる左右のエア・インテークも含めた横長の巨大な長方形のグリルのデザインは、992型911とも共通するものだ。先代パナメーラが991型911のデザインと共通性をもっていたように、このパナメーラは992型911のデザインを踏襲している。

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左右のテールランプがつながり、そこにポルシェのロゴが立体的に着けられたリアまわりのデザインにも911の香りを感じるが、それ以上に私がハッとしたのは、運転席から見える左右のフェンダーの高い嶺の張り出しだった。今回の試乗会には公道走行用として3リッターV6ツインターボを搭載する素のパナメーラとパナメーラ4、サーキット走行用として、4リッターV8ツインターボに電気モーターを組み合わせたターボEハイブリッドが用意されていたが、最初に試乗することになったパナメーラ4に乗り込んだ時に、そこから見えるフェンダーの嶺の風景が992型911にそっくりだと思ったのだ。

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大幅にデジタル化が進められたコクピットまわり。中央にひとつだけ残されていたリアルな針を持った大型回転計もヴァーチャル表示に置きかえられた。シフトノブがメーター右脇に移動するとともにセンターコンソールからはスイッチ類がほぼ一掃され、多くはタッチ・ディスプレイによる操作に切りかえられている。助手席の正面や後席にもディスプレイを装着できるようになった。

一方、インテリアは911以上に新時代のデジタル化の大波によって一新されていた。私が勝手に最後のポルシェの良心だと感じていたメーターパネルの中央に唯一残されたリアルな針のついた回転計も、ついにヴァーチャルにとって代わられた。これは911とは異なるが、ひょっとすると次世代911もこうなるのだろうかと思うと少し寂しい。ダッシュボードからスイッチ類はほとんどなくなり、エアコンやオーディオのボリュームを除くすべては巨大なタッチスクリーンで操作するようになった。シフト・レバーまでもがステアリングホイールに近いメーターとスクリーンの間に移動している。

エンジンの始動も、もはや捻るものではなく押すものとなった。メーターの左下のボタンで3リッターV6ツインターボに火を入れ、シフト・レバーを下に押し下げると、スムーズな動きでセビリアの街へと繰り出した。

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シートは前後ともバケットタイプでホールド性抜群。

まるでスポーティなSクラス

走り始めて驚いたのは、まるで少しスポーティな味つけのメルセデス・ベンツSクラスにでも乗っているかというくらいに、乗り心地が良かったことである。これは間違いなく快適性に振ってきたな、と思ったのだが、それでは高速道路ではどうかと言えば、ピタッと路面に張り付くような走りはこれまでと同じかそれ以上で、全体的な乗り味では4WDモデルらしく直進安定性が抜群にいい。3リッターV6ツインターボに8段PDKを組み合わせたパワートレインの躾けられ方も素晴しく洗練されていて、これぞ高速ラグジュアリー・サルーンという速さと快適さが高次元で融合した走りを見せてくれた。

さらに、試乗コースにはかなり山岳路が入っていたが、アップダウンと中高速コーナーが続く道をスポーツやスポーツプラスといったモードで走るのは、まるでスポーツカーを操っているような楽しさだった。ただし、常に重さを感じるし、街中や高速道路を走った時ほどの感動はないのだが、後輪操舵も付いているとはいえ、これだけの大型サルーンが気持ち良く曲がるのには脱帽した。

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実は、今回新開発された足回りは2種類で、いずれもエアスプリングを使うのは同じだが、標準装備されるのは2チャンバーのエアスプリングに、2バルブの可変ダンパーを組み合わせたものだ。2バルブで伸び側と縮み側の制御を分けたことで、快適性とダイナミック性能をともに拡げることが叶ったという。パナメーラ4に付いていたのはこれで、これでも十分に画期的だと思ったのだが、驚いたのはもうひとつの方だ。

それがポルシェ・アクティブライド・サスペンションと呼ばれる新システムで、1チャンバーのエアスプリングに、電気モーターで発生させた油圧を使って瞬時に硬さと高さを変えるダンパーを組み合わせており、これには400Vの電源が必要になる。よってハイブリッド・モデルにのみオプション装着できるのだという。公道試乗を終えた後、サーキットで、これが装着されたターボEハイブリッドに乗ることができた。

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逆ロールさせるのも可能

そもそも、標準のエアスプリングが2チャンバーなのに、なぜこちらが1チャンバーなのかと言うと、スプリングは常にソフト側に固定して、あとはすべてをダンパーに任せておけばいいからだそうだ。それだけ飛び抜けて広い領域での制御が可能だということになる。なにしろ、これを使えばこれまでのアクティブ・スタビライザーも不要。そのかわりに電気モーター・ユニットを取り付け、400Vの電源でそれを回して油圧を発生させ、硬さの変化はもちろん、高さも標準位置から上に9cm、下に10cmまで動かすことができるというのだ。実際には乗り込み時にボディを55mm持ち上げて乗降しやすくするほか、リフト・モードでは30mm上がり、スポーツでは10mm、スポーツプラスでは28mmそれぞれ下がる設定になっている。そして、走行中は常に硬さと高さを変化させて、走行に最適な状況を作り出す。どんな悪路でもボディはまったくフラットな状態で走り抜けられることを、サーキットに特設された凸凹コースで体験した。パイロン・スラロームをやってもノンロール。フルブレーキングやフル加速をしても、ノーズダイブもスクワットもしない。いや、それどころか、場合によってはコーナリング時にクルマを逆ロールさせてオートバイのようにリーンさせることもシステム上は可能で、実際に特殊な状況ではそういうこともするという。

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サーキットではターボEハイブリッドに試乗した。ターボ・モデルは左右のエア・インテークのブレードが1 枚になり、フロント・リッド先端のポルシェ・クレストが白黒になるほか、サイドウインドウのトリムもブラックアウトされる。今回は試せなかったが、バッテリー容量の大幅な増加により、電気走行可能距離は75%増えて最大93㎞になった。

しかし、重要なのは、それがドライバーにとって違和感なく、自然に行なわれるということだろう。本コースを走って、その実力のほどを試した。モードによって制御のレベルは変化し、本コースを走るのに使ったスポーツプラスでは、本当に必要なだけの制御しかしないようになっているという。しかし、それでもブレーキング時やフルスロットル時には、最適な姿勢を保つようにクルマがコントロールしてくれていたようだし、ロール制御も抜群に上手いようだ。「ようだ」というのは、どこまでがこのシステムによるものなのかわからないくらい自然にそうなっているからだ。スポーツ走行を終えた後、ノーマル・モードで時速50kmから70kmで走り、わざとクルマを振り回すような操作をすると、かなり積極的に足が動いているのがわかった。なるほど不思議な動きをする。本当は一般公道で試してみたかった。

サーキットからの帰りは素のパナメーラに乗った。4より鼻先が軽くて、運転していて気持ちいい。足回りもこっちで十分いいじゃないか、と思ったけれど、次に乗り比べるまで、結論はお預けにしておこう。

文=村上政(ENGINE編集部) 写真=ポルシェ

新型ポルシェ・パナメーラ「アクティブ・ライド・デモンストレーション」

タコ踊りするパナメーラ! 

これこそが、新しいポルシエ・アクティブライド・サスペンションのなせる技だ。国際試乗会が開かれたセビリアのモンテブランコ・サーキットには、デモンストレーション用にアイフォンでダンパーの伸び縮みを遠隔操作できるようにした試乗車が用意されていて、目の前でタコ踊りを実演して見せてくれた。これだけ自由自在に足が動けば、どんな悪路にいっても、どんなGのかかるコーナーでも、常にボディをフラットに保つことができるのも頷ける。それにしても、こりゃまるでアメ車のローライダーが飛び跳ねる姿を見ているようだ。

この足の超絶技巧的伸び縮みを見よ!

国際試乗会の会場には、激しい凸凹を人工的に作り出したコースも用意されていて、そこでノーマル・モデルとポルシェ・アクティブライド・サスペンション装着モデルとを乗り比べて、その実力を体感できるようになっていた。外から見ていると、どんな凸凹道を走っても、ボディは微動だにせず、足だけが激しく上下している様子が見て取れる。まるでアヒルの水掻きのように、上半身は悠々としているのに、下半身だけは必死になって仕事をしているというわけだ。

(ENGINE 2024年5月号)

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