自動車

フォルクスワーゲンの現在地として納得の出来栄え 新生「パサート」にニースで試乗

大谷 達也:自動車ライター

フォルクスワーゲンの現在地として納得の出来栄え 新生「パサート」にニースで試乗

フォルクスワーゲンの現在地として納得の出来栄え 新生「パサート」にニースで試乗

ティグアンとともに最新のVWに

 新型パサートの国際試乗会は、先日リポートをお届けした新型ティグアンと同じフランス・ニース周辺で実施された。ふたつの国際試乗会がたまたまニースで行なわれたわけではない。パサートとティグアンの国際試乗会を、同じ場所で、同じ日程で開催したのだ。

フォルクスワーゲンの現在地として納得の出来栄え 新生「パサート」にニースで試乗

画像ギャラリーへ

 これについて、フォルクスワーゲンの関係者は次のように語った。「これは、私たちにとっても極めて珍しい形態です。ただし、ティグアンとパサートには共通の技術が多く用いられているので、ふたつの国際試乗会を同時に開くことにしました」

 なるほど、2台に用いられている基本技術はほとんど同じで、たとえばプラットフォームにはMQBの進化版であるMQB evoを用い、パワートレインはミラーサイクル+48Vマイルドハイブリッドの1.5リッター・ガソリンエンジンを始めとする最新仕様を搭載。

フォルクスワーゲンの現在地として納得の出来栄え 新生「パサート」にニースで試乗

 サスペンションにはダンパーの伸び側と縮み側を個別に設定できるアダプティブシャシーコントロール“DCC pro”を新採用し、ハンドリングと乗り心地の双方を改善するという。さらには、これまで弱点と指摘されてきたインフォテイメント系も最新のMIB4に置き換えられ、最大15インチのタッチディスプレイを用いるなどして操作性が大幅に改善された。

フォルクスワーゲンの現在地として納得の出来栄え 新生「パサート」にニースで試乗

プレミアムカーと見紛うばかりの精悍さ

 デザインの変化も印象的だ。

フォルクスワーゲンの現在地として納得の出来栄え 新生「パサート」にニースで試乗

 全体的なプロポーションはひとめでパサートとわかるものだが、ヘッドライトやフロントグリルは天地方向の厚みを削り取ることで精悍さを表現するいっぽう、その下側に見えるエアインテーク部分は全幅近くまで開口部を広げることでダイナミックな印象を与えている。ボディサイドの微妙な抑揚やシャープなキャラクターラインはプレミアムカーと見紛うばかり。それはテール部分も同様で、高級感を一気に高めたように思える。

フォルクスワーゲンの現在地として納得の出来栄え 新生「パサート」にニースで試乗

 前述した15インチ・ディスプレイが装備されたインテリアは、このディスプレイの存在感が強すぎてやや散漫な印象を与えかねないが、それでもダッシュボードやシートに用いられている素材の品質感は高く、こちらもクルマのセグメントがひとつ上がったように思えるほどだ。

フォルクスワーゲンの現在地として納得の出来栄え 新生「パサート」にニースで試乗

フォルクスワーゲンの現在地として納得の出来栄え 新生「パサート」にニースで試乗

パサートと言えば今はヴァリアント

 話は前後するが、今回の国際試乗会はパサートがテーマでも、パサート・ヴァリアントと呼ばれるワゴンだけが用意されていた。当初、私は「これとは別に、追ってパサート・セダンの発表が行なわれるのだろうか?」と推測していたが、試乗会場で驚くべき話を耳にした。なんと、ドイツを始めとするヨーロッパの主要国では2022年からヴァリアントのみが販売されているというのだ。ちなみにEU圏内でセダンを販売しているのはトルコのみ。そしてグローバルでは中国のセダン需要が旺盛で、ここには専用開発モデルを投入しているとか。いっぽうで、私がパサートというよりもパサート・ヴァリアントの国際試乗会に招かれた事実から推測すれば、日本市場もヴァリアント一本となる公算が大きいとみるべきだろう。

フォルクスワーゲンの現在地として納得の出来栄え 新生「パサート」にニースで試乗

 話を戻せば、試乗した印象もまたティグアンとよく似ていた。というのも、最新のフォルクスワーゲン各車に見られる「軽く弾むような乗り心地」を部分的に採り入れながらも、基本的には同社の伝統的な「どっしりと落ち着いて重厚感のある乗り心地」に仕上がっていたからだ。ただし、ティグアンとの比較でいえば、パサートは後者の「重厚感ある乗り心地」がより強まっているように感じた。この辺は、ティグアンよりもパサートのほうが1クラス上に位置づけられている影響かもしれない。いずれにせよ、フォルクスワーゲンの新しい方向性として納得のいく乗り味だった。

フォルクスワーゲンの現在地として納得の出来栄え 新生「パサート」にニースで試乗

 いっぽう、「軽く弾むような乗り心地」は軽快なハンドリングを生み出すのにも役立っているようで、ハンドリングは正確でレスポンスも改善されている。もっとも、それは「従来のフォルクスワーゲンに比べれば」という注釈つきで、決して過敏な反応を示すわけではなく、高速道路ではフォルクスワーゲンらしい落ち着きも感じられることも付け加えておきたい。

プラグインハイブリッドも可能性アリ

 エンジンは1.5リッター・マイルドハイブリッド・ガソリン、2.0リッター・ディーゼルともに十分に静かでスムーズ。低速回転域ではむろんディーゼルのほうが力強いが、静粛性や滑らかさではガソリンに軍配が上がる。また、ガソリン・エンジンと組み合わされるマイルドハイブリッド・システムは必要に応じてエンジンをサポートしてくれるものの、普段は控えめで不自然さを感じなかった。

 ところで、パサートとティグアンには1.5リッター・ガソリンエンジンをベースとするプラグインハイブリッドも用意されているのだが、関係者の話を聞いていると、パサートに限ってはプラグインハイブリッド仕様が日本に導入される可能性も残されているようだ。こちらは一充電で最大120km(WLTP)のEV走行が可能なほか、パワフルなモーターを搭載している関係でガソリン・エンジンの滑らかさとディーゼル・エンジンの力強さを併せ持つ点も魅力のひとつといえる。

フォルクスワーゲンの現在地として納得の出来栄え 新生「パサート」にニースで試乗

プラグインハイブリッドモデルのシステгѓ

 走りの面でもデザイン面でも上質さが高まった新型パサートは、フォルクスワーゲンの主力モデルのひとつとして、同社のイメージを引き上げる役割を担っていくことだろう。

アルピナD3ビターボはどんなセダン&クーペだったのか? これぞ最高の3シリーズ! 4気筒ディーゼルは5リッター級ガソリンV8ユニットに匹敵するトルクを発揮する感動エンジン!!

アルピナD3ビターボはどんなセダン&クーペだったのか? これぞ最高の3シリーズ! 4気筒ディーゼルは5リッター級ガソリンV8ユニットに匹敵するトルクを発揮する感動エンジン!!

ランボルギーニ ウルス SEは、なぜBEVではなくPHEVを選択したのか?

ランボルギーニ ウルス SEは、なぜBEVではなくPHEVを選択したのか?

“6速MT”もある新型「トルネオ」!? SUV風デザインが超カッコイイ! 日本でも”最高にちょうどいい“「コンパクトミニバン」とは

“6速MT”もある新型「トルネオ」!? SUV風デザインが超カッコイイ! 日本でも”最高にちょうどいい“「コンパクトミニバン」とは

横浜ゴム「GEOLANDAR X-CV」「GEOLANDAR A/T G31」がトヨタ 新型「ランドクルーザー250」に新車装着

横浜ゴム「GEOLANDAR X-CV」「GEOLANDAR A/T G31」がトヨタ 新型「ランドクルーザー250」に新車装着

ママ友の送迎車が「ヴェルファイア」で羨ましいです。かなりの収入がある証拠でしょうか?

ママ友の送迎車が「ヴェルファイア」で羨ましいです。かなりの収入がある証拠でしょうか?

【コラム】400ccクラスの輸入車がいま面白い! ハーレー、トライアンフが新規参入、KTM、ハスク、ロイヤルエンフィールドもあり

【コラム】400ccクラスの輸入車がいま面白い! ハーレー、トライアンフが新規参入、KTM、ハスク、ロイヤルエンフィールドもあり

6速MT搭載! マツダ「小さな高級コンパクト」あった!? クラス超え“上質内装”×めちゃスポーティデザイン採用! 登場期待された「斬新モデル」とは

6速MT搭載! マツダ「小さな高級コンパクト」あった!? クラス超え“上質内装”×めちゃスポーティデザイン採用! 登場期待された「斬新モデル」とは

ヤフオク7万円で買ったシトロエンのオーナー、エンジン編集部ウエダが、フランスの聖地で出会ったとびきりレアなクルマ、その1【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#36】

ヤフオク7万円で買ったシトロエンのオーナー、エンジン編集部ウエダが、フランスの聖地で出会ったとびきりレアなクルマ、その1【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#36】

マツダ ルーチェ・ロータリークーペ(昭和44/1969年10月発売・RX87型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト055】

マツダ ルーチェ・ロータリークーペ(昭和44/1969年10月発売・RX87型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト055】

韓国の現代・起亜自動車、米「最高価値EV」1~3位を席巻…第1四半期の販売量も56%増加

韓国の現代・起亜自動車、米「最高価値EV」1~3位を席巻…第1四半期の販売量も56%増加

TOP STORIES

発見・体験、日本旅行に関する記事
Top List in the World