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「細く愛して長く愛して」は美徳です!! 影が薄っ!! 地味~だけど……ロングセラーなクルマたち

 クルマのモデルチェンジサイクルは車種によって異なる。そして世の中には、長期間モデルチェンジをせずに販売が続く車種もある。今回はそうした隠れ(?)ロングセラーのクルマを見ていこう。

文/長谷川 敦、写真/トヨタ、日産、三菱

■どうしてモデルチェンジをしないのか?

「細く愛して長く愛して」は美徳です!! 影が薄っ!! 地味~だけど……ロングセラーなクルマたち

「ほそーくながーく」は美徳です!!  影が薄っ!! 地味~だけど…ロングセラーなクルマたち

現行型トヨタハイエース。登場は2004年で、2024年で20周年を迎えるがまだまだ現役。商用車としてはもちろん、レジャー目的など個人で使用している人も多い

 近年ではクルマのモデルチェンジサイクルが長めになる傾向があるが、これにはいくつかの理由が考えられる。

 まずは個々のクルマの耐久性が上がっていること。技術の進歩により、最近ではクルマの長寿命化が著しい。これは材料と設計の両面において耐久性が高まっているから。

 この進歩は歓迎すべきものだが、結果としてオーナーは劣化しない愛車に乗り続けることになり、それが買い換え需要の減少=モデルチェンジサイクルの長期化を招いている。

 そして経済的な事情も見逃せない。バブル景気が華やかなりし頃、国内メーカーは次から次へと新車をデビューさせ、モデルチェンジも頻繁に行われた。

 だが、経済が低迷するとユーザー側に買い換えの余裕がなくなり、メーカーも好景気の時のように開発費を注ぎ込めない。

 これらの理由により、昨今はモデル寿命が延びている。

 とはいえ、多くの車種はある程度の段階でモデルチェンジが断行されるのも事実。それがクルマの進歩と市場の活性化につながる。

 今回紹介するのは、こうした流れに関係なく、かたくなに同じスタイルを維持し続けるクルマたちだ。いったいどんなモデルがあるのだろうか?

■質実剛健なロングセラー2車種

「細く愛して長く愛して」は美徳です!! 影が薄っ!! 地味~だけど……ロングセラーなクルマたちいまだに日本の商用車のトップセラーに君臨する現行型ハイエース

■トヨタ ハイエース

 トヨタのハイエースは日本を代表する商用車両のひとつであり、その便利さに注目して乗用車にしている人も多い。現行型のH200系ハイエースが登場したのが2004年で、海外では2019年に新モデルのH300系が登場したものの、日本国内ではH200系が現役モデルとして頑張っている。

 H300系は、日本国内ではハイエースではなくグランエースの名称で販売されているが、H200系がキャブオーバー型であるのに対してH300系はセミボンネット型と、ボディの形状が異なっている。

 これは、キャブオーバー型のほうが商用車として使い勝手がいいという理由があり、現在でもH200系がコンスタントに売れているためにモデルチェンジしづらいといった事情もあるようだ。

 ハイエースシリーズでは5代目にあたるH200系も先代登場から15年ぶりのモデルチェンジであったが、登場20周年を現役で迎えることになった。近々国内向けハイエースのフルモデルチェンジが行われるというウワサもあるが、メーカーからの正式発表はまだない。

 先代を上回るロングセラーとなったH200系ハイエースは、これからも世界中の道路で人々や物資を乗せて走る姿を見せてくれるだろう。

■三菱 デリカD:5

 三菱自動車のミニバン、デリカD:5もまた、長年にわたって愛され続けているロングセラーだ。

 それまでのデリカスペースギアに代わるD:5が発表されたのが2005年。スペースギアがパジェロベースのモデルだったのに対し、D:5はSUVのアウトランダーのプラットフォームを利用していた。車名である「D:5」の由来は「デリカの5代目」で、2007年1月から正式販売がスタートした。

 当初は4WDモデルのみだったD:5だが、2007年5月には2WD(FF)仕様も登場し、ラインナップの拡大が実施された。そして2019年には外観が大きく変わるビッグマイナーチェンジが行われた。

 このマイナーチェンジではダイナミックグリルと呼ばれる新型フェイスが採用され、同時にエンジンがディーゼルのみに絞られた。

 フルモデルチェンジに近い変更ながら型式は変わらず、デリカD:5は2007年のデビューから三菱のミニバンを代表する車種として活躍している。

■ほかに代わることができるものがない(?)ロングセラーな2モデル

「細く愛して長く愛して」は美徳です!! 影が薄っ!! 地味~だけど……ロングセラーなクルマたち日産 GT-R。300km/hで巡行できる性能を持つ公道最速モデルの1台。すでにデビューから17年経っているが、現在でも日産製スポーツカーの頂点に君臨している

■日産 GT-R(R35型)

 かつて日産の「GT-R」は、スカイラインの最上級グレードの証でもあった。

 だが、2001年登場のV35型11代目スカイラインにはGT-Rが設定されず、2007年にはGT-Rが独立したスポーツカーとしてデビュー。以降はGT-RだけのR35型で展開されることになった。

 R35型GT-Rは、スカイラインという“縛り”がなくなったぶん自由な発想でデザインされ、2ドア専用ボディに独自の4WDシステム、ハイパワーツインターボエンジンを有するハイパフォーマンスカーが誕生した。

 当時の最先端技術をこれでもかと盛り込んだR35型GT-Rの完成度は高く、年度ごとのマイナーチェンジが行われていることもあって、その性能は発売から17年が経過した現在でも世界トップレベルを維持している。

 このGT-Rを隠れたロングセラーというのは少々無理があるが、ロングセラーであることは間違いなく、世界に誇る日本製高性能スポーツカーの地位を保っている。

 しかし、部品供給の問題などから生産が難しくなっているなどの理由により、2025年8月で生産が終了となることが発表されている。

■トヨタ ランドクルーザー70

 トヨタの“ランクル”は世界でも知られるSUVの王者だ。

 ランクルの誕生は1951年で、以降はモデルチェンジも行われているが、なかでも特に人気の高いのが1984年にリリースされた70系だ。ヘビー系ランドクルーザーの70は、1960年登場の40系の後継車種であり、40系自体も24年にわたって販売されるロングセラーだった。

 悪路をモノともせずに走れる頑強なフレームにタフな足回りを組み合わせた70系は世界中のユーザーに愛され、製造販売は2004年まで続いた。後継モデルの登場後も70系の人気は変わらず、デビューから30周年にあたる2014年には約1年間の限定復刻販売が実施されるという異例の事態になった。

 そして2023年、トヨタから70系ランドクルーザーの二度目の復活が発表された。

 新生ランドクルーザー70は、オリジナル70系ランドクルーザーの基本コンセプトを継承しつつもエンジンのダウンサイズや安全走行装置の搭載など、各部が現代風にアップデートされている。

 ロングセラーだった70系ランドクルーザーが、最初の販売終了から20年を経て現役のモデルで復活。この事実こそが、70系ランドクルーザーが真のロングセラーであることを表している。

 クルマがロングセラーになるには個々の理由がある。しかし、共通して言えるのはそれらのクルマには長く愛されるだけの充分な魅力があるということ。

 現在、現役モデルとして世界の道を走るクルマが将来的にロングセラーになるのかは誰もわからない。だが、魅力あるクルマが長く続いてほしいというのは、クルマ好きにとって共通の願いのはずだ。

【画像ギャラリー】長く愛せる&乗れるロングセラーなクルマたち(19枚)

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