「スポーツカーに乗りたい」というクルマ好きの夢を比較的手軽に叶えてくれるのが軽スポーツ。そこで、中高年にすすめたい軽スポーツカーをご紹介。さらに軽自動車の実用面での気になるランキングを発表する!!
※本稿は2024年2月のものです
文/清水草一、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2024年3月26日号
■老兵は死なず!! スポーツモデルならどれだ!?
最も手軽で最も楽しい軽スポーツ。なにしろ車体が圧倒的に軽い。それだけでクルマは楽しくなる。中古価格は、そこそこのタマで160万円前後。新車価格とほとんど変わっていない
男はいくつになってもスポーツカーに乗りたいものである。老兵は死なずである。
もちろん軽にもスポーツモデルは存在する。実用性は限定されるが、軽なら維持費が安いのでココロの負担は軽い。モデル数があまりにも少ないため、すでに生産が終了した新しめのモデル(中古)も含めランキングしてみよう。
1位は2021年に絶版となったアルトワークス(中古)だ。思い起こせば、アルトワークスは最高に楽しい「ラストじゃじゃ馬」だった。なかでもFFの5MTモデルが頂点。
ターボエンジンは軽の上限である64馬力でほかのモデルと変わりないが、それが5MTと車両重量わずか670kgの車体に組み合わされると、パワーオンで車体が軽く暴れてくれた。
不安定になるほどではないが、この「暴れる」という感覚は、現代のクルマからはほぼ失われてしまった貴重な資質。それを味わうだけで、クルマ好きは満足できる!
続いて2位は、2022年に生産が終了したS660だ。私も所有していたが、なにしろ見た目はミニカウンタック! あの形だけで趣味車として成立する。
車両重量が830kgあったのと、トラクションがよすぎて64馬力では何も起きなかったので、じゃじゃ馬好きには物足りないが、コーナリング速度は本物のスーパーカーレベル。正真正銘のスポーツカーだ。
■ビートはいま
実用性はほとんどゼロだが趣味性は100点満点! 持ってるだけでも満足
自動車史上最強の趣味車は、1991年から1996年まで生産されたホンダのミドシップ軽スポーツ・ビートだと断言してかまわないだろう。約3万台が生産され、現在も多くの個体がカーマニアに大切にされている。
車体は760kgと意外と重く、エンジンがノンターボなのでブン回さないと走らないが、走らせるだけでクルマ趣味がマンプクになれるほど“濃い”。
価格は平均約100万円。今から買う場合、幌の劣化をはじめ、いろいろな部分でそれなりに覚悟が必要だが、「直す」というヨロコビも味わえる最高の趣味車だ。
■軽自動車なんでもランキング
●軽さランキング(軽総合)
・1位:ダイハツ ミライース(650kg~)
・2位:スズキ アルト(680kg~)
・3位:スズキ ラパン(680kg~)
●売れ筋ハイトワゴンでは
・1位:スズキ スペーシア(850kg~)
・2位:ダイハツ タント(880kg~)
軽さナンバー1はミライース。アルト、ラパンがそれに続く
軽の660ccエンジンは、パワーもトルクも限られている。特にノンターボはそうだ。近年の軽エンジンは各社とも実用トルクが驚くほど厚いが、それでも車体が軽いほうが軽快に走るのは言うまでもない。
軽自動車の軽さに関しては、「乾いた雑巾を絞る」をモットーとするスズキがリーダーだ。軽さが重要になるのは、車体が大きくて重いスーパーハイトワゴン。売れ筋5モデルのなかで最も軽いのは、スズキの新型スペーシアだ。
逆に一番重いのは三菱のデリカミニで、最軽量グレードで970kgとなっている。車両重量が1トンを超えると、ノンターボでは多少加速が苦しくなるので、軽にとって軽さは重要なチェックポイントである。
●カタログ燃費ランキング(軽総合)
・1位:スズキ アルト(27.7km/L~)
・2位:スズキ ラパン(26.2km/L~)
・3位:スズキ ワゴンR(25.2km/L~)
・1位:スズキ スペーシア(25.1km/L~)
・2位:ダイハツ タント(22.7km/L~)
・3位:ホンダ N-BOX(21.6km/L~)
軽の燃費はスズキの独壇場。ベスト3を独占だ。圧倒的な強みを持つ
軽さは軽、特にスーパーハイトワゴンにとっては重要な要素だが、燃費はそれほど重要ではないかもしれない。軽はどれも燃費がよく、近所の利用が中心。それほど距離を走らなかったりする。燃費の差が1~2割あっても、実際の出費額の差はあまり大きくならないからだ。
それにしても驚かされるのは、アルトとスペーシアの燃費の差が1割もないことだ。スズキ恐るべし。ここでも最下位はデリカミニ。スペーシアとは約2割燃費が違う。ただし軽の最下位はジムニーの4AT(14.3km/L)だ。
●高級感ランキング
・1位:日産 サクラ
・2位:ホンダ N-ONE
・3位:ダイハツ ムーヴ キャンバス セオリー
高級を目指した軽は数少ないが、サクラはEVでそれを実現、販売好調
軽自動車の歴史を振り返って、高級志向だったのはダイハツ・ソニカだけ……かもしれない。軽と高級は基本的に相容れない要素。軽を高級感で選ぶユーザーはほとんどいないのだ。
それでも最近は、チラホラと高級感のある軽が登場している。その筆頭はなんといってもサクラだ。外観も内装も高級感があり、他車を寄せ付けない。軽としては高価なEVゆえに、大いに受け入れられている。
それに続くのはN-ONEだ。もはや売れ筋はスーパーハイトワゴンに絞られていて、トールワゴンでは数は追えない。よって高級感&高価格で勝負している。ムーヴキャンバス・セオリーも、落ち着いたオトナの雰囲気だ。
■軽自動車で多台数所有の「クルマハーレム」も夢ではない!
ここまで読めば、中高年のカーライフは、軽ワールド内で充分完結できることがおわかりいただけたことだろう。実用のハイトワゴン、アクティブ感のSUVや車中泊車、そして趣味車としての軽スポーツ。軽を3台所有しても、税負担は登録車1台分程度なのだからウハウハだ。
もちろん駐車場代はかかるけど、地方で自宅の敷地が広ければ、軽でカーマニアのハーレムを維持するのも充分可能。それは男にとって究極の夢!
中高年でついにハーレムの主になれる! ならない手はない! 今すぐなろう! 今すぐは無理でもなるはやで目指そう!
いやーこんなラクで楽しい世界があったなんてビックリだ。人生まだまだこれからだ! 楽しみはいろいろあるぞ! 軽自動車とともに!
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