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伝統の“ブルーアイズ”が奏でる艶やかなサウンド。マッキントッシュ75周年モデルを聴く

伝統の“ブルーアイズ”が奏でる艶やかなサウンド。マッキントッシュ75周年モデルを聴く

伝統の“ブルーアイズ”が奏でる艶やかなサウンド。マッキントッシュ75周年モデルを聴く

伝統のブルーアイズ・メーターを搭載。多機能プリメインアンプ2機種を紹介

皆さん、お元気でしょうか。このところのアナログ人気に加えて、新譜のSACDやハイレゾも続々と発売され、さらにオーディオが楽しくなってきていますね。

さて今回は、今年創業75周年を迎えるMcIntosh(マッキントッシュ)をクローズアップします。同ブランドは驚愕級のセパレートアンプからプリメインアンプまで、さらにSACDプレーヤーなどを発売しモデルラインを充実させていますが、本稿では扱いやすく伝統的なデザインの多機能なプリメインアンプを紹介していきます。

伝統の“ブルーアイズ”が奏でる艶やかなサウンド。マッキントッシュ75周年モデルを聴く

マッキントッシュの多機能プリメインアンプ「MA8950」と「MA12000-AN」をテスト!

最初に、マッキントッシュをご存じない読者のために、少し歴史を紹介します。創業は1949年。フランク・H・マッキントッシュにより、ワシントンにて設立されました。共同経営者はエンジニアであったゴードン・ガウです。現在は、ニューヨーク州ビンガムトンに拠点を置いています。

資料によると1950年代、世界はハイパワー競争が過熱していたそうです。一方で高出力発生時には、低域の歪み率が10%を超えていたそうです。現在では信じられないことですね。この特性を向上させることにチャレンジし、全帯域にわたる最大出力の歪み率を、当時としては驚異的な1%以下にすることを実現したそうです。

初の管球アンプは「50W-1」です。これに大きく貢献した要因の一つは、「ユニティ・カップルド出力回路」という特許技術でした。これは真空管出力による歪みの少ない、クリーンかつ高出力な新しい増幅回路でした。特に出力トランスの役割が大きく、独自のトランス巻線方式「ユニティ・カップルド・トランス・ワインディング」により、70kHz以上の高域特性をカバーするワイドレンジ特性を実現しました。

この低歪み化の考え方は、歴史とともに進化を遂げ、現在の半導体や真空管アンプにも採用されています。現在もトランスは自社生産され、高精度な巻線によるトランスはメタルケースに溶解タールとともに含浸され、振動を大幅に低減する強固な構造としています。これは、現在「オートフォーマー・トランス」と呼ばれています。その後のモデルとしては、1962年登場の「MC275」が有名で、現行モデルは第6世代の「MC275Ⅵ」が発売されています。

現在のモデルはというと、漆黒のフロント・ガラスパネルとブルーアイズ・メーターによるデザインが、なんといっても魅力的ですね。漆黒のフロント・ガラスパネルは、1960年代登場のプリアンプ「C34V」から採用されているようで、1970年代になると「MC2105」という半導体パワーアンプが登場。ブルーアイズ・メーターが装着されるようになり、長く愛用できる安定性、信頼性をアピールしていました。

限定デザインを採用した75周年モデル

ここまで、少し同社の歴史を振り返ってみましたが、ここからは、創業75周年モデル「MA12000-AN」を紹介します。ひと目見て感激するのは、デザインですね。トップボードには円形の記念エンブレムが取り付けられ、ハンドルにも75周年が施されています。ヒートシンクにもMCが施されています。左右シンメトリー配置のメーター、ボリューム、スイッチもいい感じです。中央には4本の真空管を配置し、その光も魅力的です。

伝統の“ブルーアイズ”が奏でる艶やかなサウンド。マッキントッシュ75周年モデルを聴く

McIntosh 真空管/半導体ハイブリッド式プリメインアンプ「MA12000-AN」(3,190,000円/税込) 75周年限定モデル

アンプ構成としては、プリアンプ部に真空管を、出力段にバイポーラ・トランジスタを使用するハイブリッド構成です。出力は350W。前述のオートフォーマー・トランス(出力トランス)は2/4/8Ωに対応し、低負荷に強く、出力は同じになります。

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トップパネルには限定の大型エンブレムが配される

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ハンドル部分にも75 yearsの特別ロゴ

10Hz-100kHzまでの広帯域増幅も実現し、出力段の歪み率は、0.005%という優秀な特性値です。微細に音質調整できる8バンド・イコライザーも大きな特徴と魅力で、好みの音質が楽しめます。

また、DA2というDACモジュールと、MM/MCフォノイコライザーを標準装備します。DA2にはESSのDACチップが使われ、同社のSACDトランスポート「MCT500」と接続できるMCTという独自の入力を装備しています。USB入力はDSD512とDXDに対応、Roon Testedの認証も得ています。

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MC/MMのフォノ入力の他、USB等のデジタル入力、HDMIのARCにも対応するデジタルオーディオモジュール「DA2」を搭載。レコードからハイレゾファイル再生、同社SACDプレーヤーとの接続まで、多彩な入力に対応する

内部構成としては、プリアンプ部は下部のステンレス・ケースに収容され、上部にパワーアンプ部、電源部、DACモジュールを搭載しています。できる限り伝送距離を最短にしていることも特徴です。重量は48.9kg。まさにセパレートアンプを一体化した構成です。

肉声のようにリアル。中低域に厚みがある濃厚な音が特徴

試聴は、輸入元であるエレクトリの試聴室で行い、MAGICOの「S3 Mk3」をドライブしてみました。アナログ再生では、私が気に入っているプレーヤー、EMTの「EMT928」(バッテリー駆動、EMTのMCカートリッジ「PureBlack」を取り付けたユニバーサルアーム、「EMT909X」搭載)とフォノイコライザー「EMT128」(管球方式)を使用してみました。

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MAGICOのスピーカーシステム「S3 Mk3」(9,240,000円/税込・Softec仕上げ)と組み合わせ

最初に女性ヴォーカル、パトリシア・バーバーの『Companion』から「So What」を再生してみました。その音は、伝統の中低域に厚みのある濃厚な音が特徴ですが、最新技術の投入により、解像度を高め、ワイドレンジ化していることが印象的です。声質は実にクリーミーで、歪み特性に優れるため、肉声のようにリアルです。シンバルや金属系パーカッションの響きに繊細な微細音が加わり、実に美音です。ギターの響きにも艶があります。これは、倍音を引き立てる真空管の効果でもあり、空間描写性も高く、奥行き感もよく再現されます。

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MA12000-ANを上から見たところ。プリアンプ部は12AX7A真空管を4本、パワーアンプはソリッドステートで、剛性感の高いシャーシに収められている

次にキース・ジャレット・トリオの『STILL LIVE』から、「My Funny Valentine」を再生しました。冒頭のピアノソロでは、高域の伸びが良く、透明感を感じます。中低音の明瞭で厚みがあります。ベースは極太で弦の質感をよく再現します。さらにドラムスの響きが濃厚で、シンバルの鮮度の高い響きに魅了されます。前述のように、シンバルの微細な響きが美しいです。まさに良い意味でゴージャスな音で、互いに丁々発止している様子が見えてきます。

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アナログ再生にはEMTのアナログプレーヤーとカートリッジを組み合わせ

次に記念モデルのSACDプレーヤー「MCD12000-AN」(半導体出力または真空管出力で再生可能)を使用し、マレク・ヤノフスキ指揮、ベルリン放送交響楽団による『ワーグナー:序曲、前奏曲、管弦楽集』から、「ジークフリートの葬送行進曲」を再生しました。

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McIntosh SACDプレーヤー「MCD12000-AN」(価格:2,530,000円/税込)

その音は、中低域に厚みを感じさせるピラミッド・バランスの音で、冒頭から輝きに満ちた重厚な金管楽器の響き、そして弦楽では膨らみのある木質感たっぷりの響きが聴けます。この楽曲ならではの、暗いイメージを鮮明にするところがあります。終盤のダイナミックレンジの広い壮大なフォルテッシモでは、MAGICOのS3 Mk3を存分に駆動し、驚くほどの音圧を感じさせてくれました。実にアナログに迫る濃厚な音です。

次に1973年にキース・ジャレットが録音した『Solo Concerts: Bremen/Lausanne』のCDを再生しました。この音もCDとは思えない、倍音豊かで、透明感のある響きが体験できました。ライブ録音で、演奏上の微細な動作や唸り声もリアルで、解像度の高さも魅力的でした。

個人的には、CD再生の場合、真空管出力の音が好きです。SACDの場合は、曲によって変えたいですが、アナログライクという意味では真空管出力が魅力です。

Revival Audioでは俊敏な音の立ち上がりとリアルな音像を再現

もう一つ、私自身、同社モデルで絶賛しているプリメインアンプがあります。それは「MA8950」です。MA8900の後継機種で、伝統のデザインが継承された、オートフォーマー・トランスを搭載する半導体方式のアンプです。出力は200W。前述のDA2モジュールを搭載し、MCTとUSB入力に対応し、MM/MCフォノイコライザーも標準装備です。さらに5バンド・イコライザーも装備します。価格も日本製のハイエンド・プリメインアンプとほぼ同等です。

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McIntosh 半導体式プリメインアンプ「MA8950」(1,518,000円/税込)

内部構成は、MA12000-ANと同様にセパレートアンプの一体化構成で、電源部のフィルターコンデンサーの容量を上げ、ダイナミック・ヘッドルーム(出力段の入力幅)を2.0dBから3.1dB向上させています。今回の試聴では、昨年登場した仏Revival Audioのブックシェルフ・スピーカー「ATALANTE3」をドライブしてみました。

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Revival Audioのブックシェルフスピーカー「ATALANTE3」(484,000円/ペア・税込)を組み合わせ。専用スタンド「STAND3」(83,600円/ペア・税込)

このスピーカーは、28mmソフトドーム・トゥイーターを搭載しますが、ドーム振動板の背後の反射を低減するインナードーム(ARIDという技術)を搭載し、広帯域でピュアな高域を実現します。ウーファーは18cmですが、硬度を高め、軽量化を図るために、世界初の玄武岩繊維サンドイッチ構造の振動板を採用しています。

そのデザインですが、フランスのデザイン・スタジオの協力により、木目が丁重に美しく仕上げられ、フロントグリルをつけた状態でもキャビネットの横の細いラインを揃え、一体感が表されています。ネットワーク回路や内部配線にも高品位な素材を選択していることも特徴です。この仕様でありながら、価格も抑えられていています。

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2つに分かれたグリルも特徴。木目のラインも美しくインテリアとしても魅力的

試聴では、長年リファレンス音源としているヴォーカル曲、ホフ・アンサンブルの「Quiet Winter Night」や「POLARITY」を再生しましたが、左右一点から音が放射されるかのような感覚になり、このサイズにして広く深い空間が再現されました。音像もリアルです。音質的には、半導体アンプでありながらも、音の鮮度やスピード感を高めた濃厚な音質で、倍音も豊かでシンバルの響きに切れ味の良さを感じます。

まさにマッキントッシュ伝統の音が継承されています。音の立ち上がりも俊敏で、オートフォーマー・トランスの効果も発揮され、テンポの速い楽曲や起伏の多い楽曲では、ハイスピードな音やダイナミックレンジの広い音が聴けます。もちろん、弱音の再現性も高いです。

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MA8950の背面端子。上位モデルと同じ「DA2モジュール」を搭載、MC/MM対応のフォノ部など基本機能は上位モデルと共通となる

個人的には、SACDプレーヤー「MCD600」やSACDトランスポート「MCT500」を組み合わせたくなります。お気に入りのスピーカーとコンビを組めば、ゴージャスなシステムとなることでしょう。なお、輸入元のエレクトリは、約45年ほどマッキントッシュのメンテナンスを手掛け、可能な範囲で古いモデルも修理しています。この点も安心でき好印象です。

創業75周年を迎えたマッキントッシュ。そのデザインと操作性、音質を、ぜひ専門店で体験して欲しいと思うところです。

オススメの優秀録音盤を紹介!

最後に、私が最近気に入っているCDを紹介します。それは、アルヴォ・ペルト『ラメンターテ』です。冒頭からバス・ティンパニーの重厚な響きが地を這うように響き、やがて輝きに満ちた壮大な金管楽器が鳴り響きます。まさに幻想的な世界で、弦楽パートも加わります。

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アルヴォ・ペルト『ラメンターテ』(ACCENTUS MUSIC/ACC-30512CD)

さらには、透明度を極めたピアノも加わります。楽曲としては、壮大な旋律と静寂な旋律が組み合わされ、アルヴォ・ペルトの美の世界、アヴァンギャルドともいえる世界が堪能できます。CDのほかにLPも限定発売され、ハイレゾでも配信されています。

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