2024年4月25日から始まる北京モーターショー。現地での劣勢が伝わる日本メーカーの奮闘に期待が高まるなか、去る4月10日に長安マツダが謎のティーザー画像1点を公表した。情報は極めて少ないながら、中〜大型のセダンであることは明らか。しばらく前からその存在が囁かれていたマツダ6の後継EV車、いわゆる“マツダEZ-6”のティーザー画像であることは間違いなさそうだ。編集部が入手した独自の情報も交えながら、謎の新型セダンの姿に迫る。
中国のラインナップ電動化計画は2023年4月に発表
4月10日、中国・長安汽車とマツダの合弁会社である長安マツダが謎のティーザー画像を公開した。「COMING SOON」の白抜き文字とベールを被った明らかに中〜大型とわかるセダン。それ以外の情報は皆無だが、これが先ごろ日本国内向けの生産も終了した「MAZDA 6」の後継車であると言われ、SNS界隈で盛り上がっている。ちなみにマツダ6は、北米・欧州・中国など主要マーケットでは販売を終了してしばらく経つ。
ついに2024年4月下旬をもって国内向け車両の生産も終了したマツダ6。北米、欧州、中国向けの生産は終了してしばらく経つ。
マツダはデザインと足回りなどの走行性能を、長安汽車が電動化と自動運転関連技術を中心にそれぞれ役割分担していくことを明らかにしている。一方で、2024年初頭に中国で「EZ-6」、欧州では「マツダ6e」がそれぞれ商標登録されており、新型電動車の発表は時間の問題と見られていた。
RX-VISIONに似たフロントエンドのデザイン
中国のSNSをチェックすると、マツダEZ-6とされるスパイ写真が出回っており、その真偽はともかく(昨今はAIによる画像の可能性もゼロではない)、大まかなイメージは把握することができる。
フロントエンドのデザイン処理は2015年の東京モーターショーで公開された「RX-VISION」に似ている。
リアコンビランプにはCX-50(写真)似の異形丸型4灯が採用されるようだ。
ベース車はDeepalのEV/PHEVセダン「SL03」?
もっとも「EZ-6」はゼロから開発されたわけではない。ベースとなっているのは長安汽車のプレミアムブランドである深藍(Deepal:ディーパル)のEVミディアムセダン「SL03」だ。EPA1と呼ばれるEVプラットフォーム/アーキテクチャーを採用する後輪駆動セダンであり、PHEV車もラインナップしている。
つまり、主要メカニズムやボディパネル、そして先進安全運転支援システムなどはSL03と共用しつつ、マツダ独自の内外装デザインを与えられ専用の足回りセッティングが施されたのがマツダEZ-6だと言えるだろう。
DeepalのEV/PHEVセダン「SL03」。マツダEZ-6はSL03の車台やEVアーキテクチャーをベースに開発されたはずだ。
ちなみにマツダEZ-6の開発コードは、EVモデルが「J90A」、PHEVモデルは「J90A-REEV」。後者は“RE”の2文字が気になるが、ロータリーエンジンを意味するのではなくSL03と同じく4気筒エンジンを搭載したレンジエクステンダーPHEVの略であるようだ。
中国市場で電動化を加速するマツダ
ともあれ、マツダEZ-6は長安汽車とのコラボレーションから生まれたミディアムセダンであり、マツダが改めて中国の電動車市場に挑む先兵である。かつてCX-30ベースのEVモデルを中国専売車として投入したものの短期で販売を終了した苦い思い出があるマツダにとって、今回のマツダEZ-6は捲土重来を期した重要な戦略モデルとなる。
また「EZ-60」という車名も商標登録されており、マツダのネーミングの法則からこちらはSUVになる可能性が高い。さらに2025年には新型EV/PHEVがさらに2台(開発コード「J90K」と「J90K-REEV」)も発売される見込みだ。中国市場における電動化を急加速させるマツダ。その動向には今後も注視していきたい。
RX-7がついに復活か!? マツダがロータリー/リトラ/バタフライ搭載スポーツカーのコンセプトを世界初公開 – スマートモビリティJP
「MX-30 ロータリーEV」がマツダの電動化戦略、プレミアムブランド化の要となるか。モーターとロータリーの相性を体感 – スマートモビリティJP
マツダCX-60のPHEVとハイブリッドはどちらがお得? 甲乙つけ難しとはまさにこのこと! – スマートモビリティJP