トライアンフのモダンクラシックファミリー、スクランブラーシリーズのベーシックモデル・XCが新たにXとして生まれ変わった。各部の装備をアップデートしながら大幅コストダウンを達成。扱いやすさも増して、魅力を大きく高めての登場だ。
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、柴田直行
トライアンフ「スクランブラー 1200 X」インプレ(宮崎敬一郎)
TRIUMPH Scrambler 1200 X 2024年モデル総排気量:1200cc エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒 シート高:820mm 車両重量:228kg税込価格:186万2000円~190万1600円※撮影車両は一部オプションパーツを装着
しなやかなサスと強力なエンジンでオフも楽しい
このスクランブラー1200X最大の魅力はオンロード、オフロードを走れる走破性を持っていること以前に「ファッショナブルなネオクラシックモデル」であることだ。
このバイクのベースはモダンクラシックファミリーのボンネビルT120と言っていいだろう。それをかつて1960年代に造られた多くのスクランブラーと同じように、フレームに少し手を加えて頑丈にし、走破性を上げるため足まわりのトラベル量を増やし、マフラーを悪路で打たないようにアップタイプにする…といった手法で造り出されている。
それだけに、そのシルエットはタイガーなどとは違う趣のあるもの。磨き上げてピカピカにするのもいいが、カッコ良く泥汚れを付けても美しく見えるバイクだと思う。
画像1: トライアンフ「スクランブラー 1200 X」インプレ(宮崎敬一郎)
車格は大きめで、フロントの21インチホイールの存在感は強烈。悪路走破性をさらに強めたXEにいたっては、ほとんど櫓(やぐら)のように見える。だが、ハンドル幅が広めなのと、車重が230kg前後と大型モデルとしては平均的なため取り回しは特別に苦労はしない。このXはスリムな上に820mmと低めのシートのお陰で、足つき性は良好な方だ。
画像2: トライアンフ「スクランブラー 1200 X」インプレ(宮崎敬一郎)
ライディングモードを「オフロード」にして、トラコンをオフにするとトルクフルなエンジンのピックアップが際立ち、かなりアグレッシブな走りまで持ち込める。ちなみに、ライティングモードは5種類で、それぞれのモードから簡単にエンジンのレスポンスマップやトラコン、ABSの設定を任意に調整できるのも魅力だ。
現在唯一と言っていい、クラシカルなルックスの大型スクランブラーであるこのバイク。その凝ったシルエットもさることながら、非常に幅広いライディングエリアを手に入れているのが特徴。しかも快適な乗り心地や、扱いやすいパワーまで備えている上に、優れた取り回しやすさまである。トライアンフのスクランブラーは、個性的であると同時に魅力の多いバイクだと思う。
トライアンフ「スクランブラー 1200 XE」
TRIUMPH Scrambler 1200 XE 2024年モデル総排気量:1200cc エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒 シート高:870mm 車両重量:230kg税込価格:208万8000円~212万7600円
オフロードを攻める“本気”の1台
XEのホイールベースは1600mm近くある。当然、これだけ長いとスライドが掛かった時や、不意にリアが弾かれた時の挙動がゆるやかになり、感覚的にはゆっくり穏やかに流れるわけで、スゴく気楽にオフを走れる。この長さと巨大なバイクのマスの威力で、まるで大鉈を振るうように、路面のワダチやウネリをものともせずに悪路を突き進んでしまう。これと従順なパワーのおかげで、その見た目以上にオフに適応できる。
トライアンフ「スクランブラー 1200 X」カラーバリエーション
トライアンフ「スクランブラー 1200 X」ライディングポジション・足つき性
シート高:820mm
ライダーの身長・体重:176cm・68kg
画像: トライアンフ「スクランブラー 1200 X」ライディングポジション・足つき性
車格は大きめだが、そのスリムさから、跨がるとミドルクラスのような感覚になる。上体は極自然な弱前傾となり、どこでも疲れにくく、立ち姿勢でのホールドもしやすい。足つき性はビッグバイクの割にいい方だ。
画像7: トライアンフ「スクランブラー1200X」インプレ|リーズナブルな価格設定で身近になった本格スクランブラー
トライアンフ「スクランブラー 1200 X」各部装備・ディテール解説
フロントに21インチを採用するため、外観はロードモデルとは違った迫力あるものにまとめられている。
スタイリング自体はモダンクラシックファミリーらしいクラシカルなもので、このモデルでしか味わえない、古き佳き時代のテイストを堪能できる。
50mm径のスロットルボディを採用し、エキゾーストのヘッダーを改善。前モデルのXCより高回転域でのパワーフィールが向上した。
45mmの倒立フォークはマルゾッキ製。ブレーキキャリパーもニッシン製に変更された。装着されるタイヤはメッツラーのカルーストリート。
リアのホイールトラベル量は余裕の250mmを確保。リアショックはフロント同様マルゾッキ製で、プリロード調整が可能となっている。
丸形のヘッドライトと細身のウインカーはLED。撮影車はオプションで用意されるヘッドライトグリル(1万7600円)を装着。
丸型のケースに上下2段のカラーTFTを組み合わせるユニークなレイアウト。ライディングモードは5種類が用意されている。
撮影車のシートはオプションのローシート(5万3812円)で、シート高は795mmとなる。表皮はブラックとブラウンの2種類。
シート下のトレイにはスマホの充電スペースが設けられ、USB端子も用意される。撮影車にはETC車載器も装着されていた。
スタイリッシュな容量25リットルのサイドバッグは5万6463円のアクセサリー。取付には専用のステー(7万6780円)が必要。
トライアンフ「スクランブラー 1200 X」動画・写真
トライアンフ「スクランブラー 1200 X」主なスペック・価格
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