- スーパーメテオ650 カスタムサイドカー「CHALLENGER by Cherry’s Company」特徴
- スーパーメテオ650 カスタムサイドカー「CHALLENGER by Cherry’s Company」各部装備・ディテール解説
- スーパーメテオ650 カスタムサイドカー「CHALLENGER by Cherry’s Company」カスタム内容詳細
ヨコハマ ホット ロッド カスタム ショー2023で初公開され、その後モーターサイクルショー2024でも話題となったロイヤルエンフィールドのカスタムサイドカー「チャレンジャー」。日本人カスタムビルダー・黒須嘉一郎氏によって手掛けられたこのフルカスタム車は、ベースモデル「スーパーメテオ650」の可能性を大いに感じさせてくれる仕上がりだった。
文:松下尚司/写真:安井宏光
ビルダー
黒須 嘉一郎 氏(Cherry’s Company代表)
画像1: ロイヤルエンフィールド・スーパーメテオ650をサイドカーカスタム!日本人ビルダーが生み出した「CHALLENGER by Cherry’s Company」
世界中にファンを持つトップカスタムビルダーの一人。ドラマ『仮面ライダー・ブラックサン』のバトルホッパーや有名ハリウッド映画、TVCMに登場する車両なども手掛ける。
ロイヤルエンフィールド「スーパーメテオ650」(ベースマシン)
空冷ツインユニット搭載クルーザーシリーズのフラッグシップモデル
総排気量:648cc エンジン形式:空冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒 車両重量:244kg 税込価格:《STD》97万9000円/99万8800円・《Tourer》103万9500円
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スーパーメテオ650 カスタムサイドカー「CHALLENGER by Cherry’s Company」特徴
Royal Enfield SUPER METEOR 650 CHALLENGER by Cherr’ys Company
ロイヤルエンフィールドの新しい世界観をカスタムで
1901年の創業以来、「Pure Motorcycling(ピュア・モーターサイクリング)」と呼ばれるアプローチの下、一貫したブランドイメージでオートバイを作り続けている最も古いモーターサイクルブランドであるロイヤルエンフィールド。
ルーツはイギリスであるが、1955年にインド・マドラスに製造工場が設立されたことをきっかけに、インドの中型二輪車セグメントの成長を先導してきたブランドだ。
現在は、350ccクラスの『HUNTER 350』『CLASSIC 350』『METEOR 350』『BULLET 350』、650ccクラスの『CONTINENTAL GT650』『INT650』『SUPER METEOR 650』、そしてアドベンチャーモデルである『HIMALAYAN』『SCRAM 411』をラインアップする。
それらの豊富なラインアップに対し、地元、地域、国際レベルでの豊富なイベントをすることでファンを育んでいる。なかでも、毎年インドのゴアで開催され、数千人ものロイヤルエンフィールドファンが集まる『ライダーマニア』や、最も過酷な地形と最高峰の峠を越える巡礼の旅、『ヒマラヤンオデッセイ』などは有名なイベント。そして、カスタムに対しても積極的なアプローチをしている。
いまやカスタムシーンはライフスタイルカルチャーを巻き込んだトレンドであり、ロイヤルエンフィールドはNEWモデルの発表に合わせ世界中のビルダーと一緒に、カスタムで新たな世界観を表現している。
そして、2023年12月、世界的にも影響力のあるカスタムイベントである『YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW 2023』にて、世界初公開したのが、ここで紹介している『SUPER METEOR 650』ベースのカスタムバイクである『Challenger』だ。
製作したのは、ハリウッド映画に登場する車両なども手掛けている有名カスタムショップ『Cherry’s Company』の代表、黒須嘉一郎氏。オーセンティッククルーザーである『SUPER METEOR 650』を、まさかのクラシカルなサイドカースタイルへとカスタム。ショーでは来場者はもちろん、他のビルダーも驚きの声を上げる完成度の高さだった。
画像1: スーパーメテオ650 カスタムサイドカー「CHALLENGER by Cherry’s Company」特徴
デザインのコンセプトは機能をデザインすること
「ずっとサイドカーを造ってみたかったけどチャンスがなかったんだよ。でも今回、ロイヤルエンフィールドから『SUPER METEOR 650』をベースにしたカスタムバイク製作の依頼を頂いた。クルーザーというコンセプトをキープしたいという決まり以外はやりたいことを自由にやっていいというオーダーだったので、サイドカーが造れると思ったんだよね。サイドカーも立派なクルーザーだから。車両製作のスタートは、まず車高を決め、各パーツのバランスを考えた。外装を外してフレームとエンジンだけの状態にして、それをジャッキで上げたり下げたりしながら、そのバランスを考えていった。スイングアームが水平になるくらいまでエンジンとフレームを下げていったとき、スタンダードフレームの美しいラインに気がついた。そこでスタンダードフレームのラインを活かしてボディラインを再構築していこうと決めた。それに気がつくまではフレームはゼロから造ろうと思っていたんだよ(黒須氏)」
一部スタンダードフレームを使用しながら『Challenger』のメインフレームは黒須氏によってワンオフで製作された。60本スポークのフロント21インチホイールと、同じく60本スポークのリア18ホイールを採用することで、リアからフロントに掛けて美しいボディラインが伸び上がるクルーザーシルエットを造り上げた。SUPER METEOR 650の美しいループフレームのラインを活かしながら、オリジナルでループフレームを製作している。
デザインのコンセプトは、機能をデザインすること。例えばアールズフォーク。今回のプロジェクト用に黒須氏が新しくゼロから設計してオリジナルで製作。サイドカーはバイクと比べてトレールを短くする必要があるので、そこでフロントアクスルをエキセントリックアジャスターにして、サイドカーの有無にあわせてトレール量を簡単に変更できるようにした。そのエキセントリックアジャスター部分にデザイン性を持たせ、機能をデザインしているのだ。
画像3: スーパーメテオ650 カスタムサイドカー「CHALLENGER by Cherry’s Company」特徴
完成度の高いサイドカーもフルオリジナル。フレームはもちろんサイドカーの車体も、設計および製作も黒須氏自身の手によるものだ。フレームはスチール鋼管を使用。60本スポークの19インチホイールに、リーフスプリングとダンパー付きスプリングサスペンションを組み合わせてセット。サイドカーのディメンション変更が行えるように、各部に様々な工夫が凝らされている。
またサイドカーの車体は黒須氏自身がスタイロフォームを削り込んで型を製作している。その上にガラス繊維を貼り込んで仕上げたFRP製だ。サイドカーを取り外した場合もバイク単体として走行できるよう、アクスルシャフト部分をエキセントリック式にして対応している。
「ロイヤルエンフィールドはカスタムしやすかった。エンジンそのものの造形が良く、また配線などもシンプルで、ハンドルスイッチ類などの細かいパーツのデザインもすごく良かった(黒須氏)」
スーパーメテオ650 カスタムサイドカー「CHALLENGER by Cherry’s Company」各部装備・ディテール解説
ヘッドライトナセルはアルミの一枚板を叩き出したハンドメイド。これも黒須氏の手によるものだ。またヘッドライトの樹脂製レンズも黒須氏自身が設計して製作したワンオフアイテムを装着している。
ヘッドライドはワンオフされたものだが、メーターはスタンダードのパーツを使っている。それ以外にもテールライト、エキゾーストパイプやサイレンサーの一部は車体オリジナルのもの。
滑らかなデザインの燃料タンクはスチール製。金属の一枚板を叩き出し、それを組み合わせて造り上げたハンドメイドだ。美しくシェイプされたラインから黒須氏の技術の高さが分かる。
アルミを叩き出して製作されたシートカウルに、Skunk製ワンオフレザー製シートを装着。縦型のタックロールシートはクラシカルな雰囲気をイメージする車体にマッチする。
エンジンはSUPER METEOR 650の648cc空冷4ストローク並列2気筒エンジンを搭載。リアサスを支えるループフレームはスタンダードのラインを活かしつつ、新たに製作されたもの。
リアホイールはフロント同様に60本スポークホイールを採用。サイズを18インチにすることで、リアからフロントにかけて美しいボディラインのクルーザーシルエットに。
60本スポークのフロント21インチホイールを搭載。フロントサスペンションシステムはゼロから設計し、スチール鋼管を使って製作したアールズフォーク。装着しているのは古いKONI製。
本来、SUPER METEOR 650はメーター部にキーシリンダーが設置されているが、車体左側にあるサイドカバー部に移設した。On&Offがピンストライプで描かれているのも抜かりが無い。
黒須氏の手によって全てオリジナルで製作されたサイドカーは、オランダの木靴のクロンプ(Klomp)やビンテージのサイドカーをイメージ。それらを頭の中でデザインし生み出された。
スーパーメテオ650 カスタムサイドカー「CHALLENGER by Cherry’s Company」カスタム内容詳細
■ベース車両:ROYAL ENFIELD SUPER METEOR 650(2023)
■排気系
エキゾーストパイプ: スタンダード/スーパーメテオ 650
サイレンサー:ワンオフ
■エアクリーナーボックス:ワンオフ/アルミ製
■エアフィルター
ムーンアイズ(HI FLOW AIR CLEANER)
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■シートレール: ワンオフ
■スイングアーム: スタンダード/一部加工
■フロントフォーク
ワンオフ(アールズフォーク)/スチールパイプ、KONI製サスペンション(ワンオフ製作したスプリング/カバー製作)
■トップブリッジ: ワンオフ
■アンダーブラケット: ワンオフ
■リアサスペンション: ハーレーダビッドソン スポーツスター用(ノンブランド/カバー製作)
■リアブレーキ/車体右側
・マスターシリンダー(右側ハンドレバー):スタンダード/スーパーメテオ 650
・キャリパー: GMA
・ブレーキディスクローター:10インチ(ノンブランド)
■リアブレーキ/車体左側
・マスターシリンダー(右側フットペダル):スタンダード/スーパーメテオ 650
・キャリパー: パフォーマンスマシン・ブレーキディスクローター:ブレンボ
■ホイール
Fホイールサイズ: 21インチ60本スポーク
Rホイールサイズ: 18インチ60本スポーク
・前後ホイールハブ:ワンオフ
■タイヤ:エイボン コブラ
■外装類
・ヘッドライトナセル:(アルミ製/叩き出し)
・燃料タンク: ワンオフ(スチール製/叩き出し)
・シートカウル:ワンオフ(アルミ製/叩き出し)
・ヘッドライトレンズ:ワンオフ(樹脂キャスティング)
・ハンドル:ワンオフ(一部スタンダードハンドル流用)
・ペダル&ステップ:スタンダード/スーパーメテオ 650
・ステッププレート:ワンオフ
・テールライト:スタンダード/スーパーメテオ 650
・ハンドルスイッチ:スタンダード/スーパーメテオ 650
・メーター:スタンダード/スーパーメテオ 650
・シート:ワンオフ(レザー製) by Skunk
■サイドカー
・フレーム:ワンオフ
・サイドカーボディ:ワンオフ/FRP
・フェンダー:Guts Chrome(リブフェンダー)
・ホイール:19インチ60本スポーク
・タイヤ:エイボン コブラ110/90-19
・ブレーキキャリパー:パフォーマンスマシン
・ブレーキディスク:W&W 8 3/4インチ ミニディスクローター
・サスペンション:軽自動車用リーフスプリング、ダンパー付きスプリングサスペンション(ノンブランド/カバー製作)
・シート:ワンオフ(レザー製)by Skunk
・シートベース:ワンオフ/アルミ製叩き出し
・インテリア:ワンオフ(レザー製)by Skunk
・シールド&シールドホルダー:ワンオフ
・ライトレンズ:ワンオフ(樹脂キャスティング)
■ペイント
Tetsu(Hopping Shower)& Heiji(Redneck Kustoms)& Nigou(Cherry’s Company, Inc.)
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