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MADOO第三弾イヤホン「Typ821」は“原点にして頂点”!マイクロプラナーシングル構成で磨き抜かれた描写力を聴く

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MADOO第三弾イヤホン「Typ821」は“原点にして頂点”!マイクロプラナーシングル構成で磨き抜かれた描写力を聴く

MADOOからマイクロプラナードライバー1基によるシングルフルレンジ構成を採用したイヤホン「Typ821」が登場した。

madoo第三弾イヤホン「typ821」は“原点にして頂点”!マイクロプラナーシングル構成で磨き抜かれた描写力を聴く

MADOO「Typ821」¥OPEN(市場想定価格:税込24万4800円)

マイクロプラナー=超小型平面駆動ドライバーの採用は、同ブランドではおなじみだが、シングルドライバー構成は初めて。そこで改めて、MADOOというブランドの位置付けから確認しておこう。

MADOOはAcoustuneのサブブランド。Acoustuneがダイナミック型ドライバー1基のシングル構成を貫くのに対して、MADOOは他の方式も含むマルチドライバー構成の可能性を追求する形でスタートした。

マイクロプラナー+BA構成の第1弾モデル「Typ711」、マイクロプラナー+ダイナミック構成の第2弾モデル「Typ512」はまさにそれ。マイクロプラナーが目立つが、実際にはマルチドライバーであることにもブランドの意図、意義があったわけだ。

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Typ711

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Typ512

だが第3弾となるTyp812では、上述の通りシングルドライバー構成を採用。マルチドライバーではないが、そこにもブランドの意義がある。新開発の「“Ortho” マイクロプラナードライバー」の単体でのポテンシャルを限界まで引き出し、今後の製品開発のベンチマークとする。その役割も背負って開発されたのがこのモデルなのだ。

ということはこのTyp821、MADOOのマイクロプラナーシングル構成として当面「原点にして頂点」的なモデルであり続けると期待できるわけだ。では、果たしてその実力は?実際に詳しくチェックしていこう。

鍵となるのは当然「“Ortho” マイクロプラナードライバー」だ。コイルがプリントされた極薄振動板の表裏に5個ずつの磁石を配置、両側からの押し引きで駆動するプッシュプルドライブ方式を採用。煌びやかで繊細な高域や力強い低域を表現できるのがこの方式の特長だ。

しかし、小さく強力な磁石を多数、磁力に抗いながら精密に組み込む難しさから、イヤホンサイズのドライバーは実現困難と考えられる。その困難を乗り越えて完成されたのが、Orthoドライバーとなる。

madoo第三弾イヤホン「typ821」は“原点にして頂点”!マイクロプラナーシングル構成で磨き抜かれた描写力を聴く

新開発の“Ortho”マイクロプラナードライバーを搭載

そのドライバーの固定、そして耳への音導経路の役割は、「MIAA(MADOO In-ear Acoustic Architecture)」に基づくアコースティックボックスが担う。

ビニールチューブによる音導管の弱点は、素材の軟質さや管の潰れによる音の損失。それを回避するためMIAAでは、レジン素材の3Dプリントで理想的な音響回路構造を構築する。

さらにはレジンの厳選、硬化プロセスの管理により、5μm=0.005mmという製造精度も達成。すべてのユーザーに設計通りの音を個体差なく提供する。それもMADOOのこだわりだ。

それらを収めるハウジングは、Typ711のステンレス、Typ512のアルミに対して、今回はチタンからの削り出しを採用した。音響特性などに優れることに加え、本機はブランドで最も高価なモデルであるので、それに相応しいプレミアム感の意味からも納得できる選定だ。

なお、ハウジング形状は引き続き、日本を含むアジア地域で採取した300人の耳型データに基づいて最適化されたもの。耳全体を広く塞ぐようにフィットして、ステム形状の効果と合わせてか、遮音性も高い。

現代的な描写が際立つ、クール&メロウなサウンドが魅力

同社イヤホンのアイコニックなデザインである、「窓」をイメージしたというサファイアクリスタル製フェイスプレートにも注目。

その形状は、これまでの「四角形の窓と4本のネジ」から「八角形の窓と8本のネジ」に変更されている。ブランドの第2世代としての新しさのアピールもありつつ、当初から意識していた「潜水艦の窓」により近付けたとのことだ。

madoo第三弾イヤホン「typ821」は“原点にして頂点”!マイクロプラナーシングル構成で磨き抜かれた描写力を聴く

「潜水艦の窓」のイメージをより追求した、美しいフェイスプレート

このほか、リケーブル端子はPentaconn Ear、3.5mmシングルエンド駆動用「MRC011」と4.4mmバランス駆動用「MRC023」の2本を標準付属するのはこれまでと同様である。

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ケーブルは2種類を同梱

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イヤーピースもサイズ別に付属

付属の4.4mmケーブルを使い、ハイエンドDAPと組み合わせてのバランス駆動でその実力を確認する。DAPはAstell&Kern;「KANN MAX」を使用した。

印象をまとめると、現代的な描写、その魅力が際立つサウンドだ。S/N感や透明感に優れ、シャープでハイコントラスト。しかもそのシャープさが中途半端ではなく磨き抜かれているおかげか、音のほぐれや湿度感も見事に表現してくれる。クールでいてメロウ。

そのサウンドの雰囲気は、ホセ・ジェイムズ「Bag Lady」とRobert Glasper Experiment「Human」の聴こえ方を例に出すと伝わりやすいかもしれない。どちらも現代的なサウンドで、硬質でハードなヒップホップのニュアンスと、優しくソフトなR&B;のニュアンスをどちらも含む。その上で前者はヒップホップ成分強め、後者はR&B;成分強めというバランスだ。

Typ821はその成分のうち、R&B;成分の魅力を特に際立たせてくれる。高域の細やかな描写によって、ハイハットシンバルの粒子感がほぐれ、より優しい印象に。スネアドラムのバシッという抜けも、その濁点成分がほぐれてよりナチュラルなアタックになる。加えて優れたS/N感によって背景の黒が沈み込むことから、全体としてより落ち着いた大人の雰囲気を醸し出す。

結果、ヒップホップとR&B;の比率が「Bag Lady」は6:4から5:5、「Human」では4:6から3:7に変化。そんな様子をイメージしてみてほしい。サウンドを激変させてしまうわけではなく、絶妙にほどよく、クール&メロウに寄せる。これにはハマる方もいそうだ。

現代最先端なポップスとの相性も当然抜群。音像の明瞭度、背景とのコントラストのおかげで、どんなに音数の多いアレンジでも全ての音が映える。

madoo第三弾イヤホン「typ821」は“原点にして頂点”!マイクロプラナーシングル構成で磨き抜かれた描写力を聴く

YOASOBI「アイドル」ではまず、OPで印象的な、オーケストラヒット的な音色によるフレーズのスケール感に注目。その音の後に響く余韻の成分の見え方がとてもクリア。それによって曲全体の空間が広がり、その広さがあるからこそ、音の細かな動きや配置もより生きてくる。

細かな動きといえば、サビに入る手前でのベースの高速スラップも注目ポイント。実に滑らかなアタック感で粒立ちよく届いてくる。あらゆる音域、あらゆる楽器の細かなフレーズも埋もれさせずに届けてくれることは、このイヤホンの大きな強みのひとつ。それがわかりやすく発揮される場面だ。

なお前述の3曲とも超低域までを活用したサウンドだが、Typ821はそれを損ねることもなかった。重みや厚みは必要十分程度。しかし低音楽器においても粒立ちやスピード感の表現に優れるおかげで、低音再生の総合力としては優秀だ。

特に中高域側の表現は、Typ711やTyp512からさらに磨き上げられた印象。それはシングルドライバーという最もピュアな構成もあってこそだろう。ならば今後マルチドライバーの第2世代モデルが登場してきても、Typ821は独自の価値を維持し続けられるはず。

原点にして頂点。本当にそうなってくれそうなモデルだ。

(提供:ピクセル)

・良質な低音に大満足! MADOOгЂЊTyp512」はマルチドライバーの魅力が堪能できるイヤホンгЃ

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