現在の主力レッカー車。1997年に導入を開始したアメリカ製411及び412/F1型。(写真提供/JAF)
ロードサービスで知られるJAF(日本自動車連盟)が、設立から60年を迎えた。現在の会員数は2,000万人以上。その数は年々増加傾向にあり、ドライバーだけでなく、車を持つ家庭にとって身近な存在だ。ところが、約60年、自動車税制改正に関する要望活動を続けていること、近年、家のトラブルに対応する「ライフサポート」などの事業を展開しているという事実はあまり知られていない。JAFの現在地と今後の展望とは。
1963年2月、社団法人「日本自動車連盟」として誕生したJAFは、同年4月からロードサービスを開始。翌年7月に、「乗用自動車の物品税軽減要望」を大蔵・通産・運輸大臣に提出する。設立から60年経つ今も、このロードサービスと自動車税制改正に関する要望活動は、JAFのいまも続く大切な取り組みだ。
JAF会員は2023年現在、2,000万人を超える。若者のクルマ離れや自動車保険の無料ロードサービスが充実する現在にあっても、その数は増加傾向にあり、JAFロードサービスに対するユーザーの信頼の高さがうかがえるが、同じく約60年間取り組む自動車税に関しては「自動車ユーザーが納得できる自動車税制になっているとは言いきれません」と、担当者は課題を口にする。
「JAFは『自動車ユーザー団体』として自動車ユーザーの声を届けていく立場です。自動車ユーザーの過重な税負担軽減の実現を訴える街頭活動の実施や、『自動車税制改正に関する要望書』を用いて全国の国会議員をはじめ政府、関係省庁、自治体へ要望しています。近年では取り組みが実る例もありましたが、依然としてJAFが目指している『自動車ユーザーが納得できる公平・校正・簡素な自動車税制』になっているとは言いきれません」
■生活トラブルに対応するライフサポートにオンライン診療も開始
昨年始まったJAFの家とカラダのサポートサービスを知っているだろうか。「JAFホームライフサポート」では、家まわりの生活トラブル(水、鍵、電気、建具など)をサポートする。「JAF保健室」は、オンライン医療サービスで、ドライブ中の突然の体調不良はもちろん、日常生活において何か気になった時、医師への相談、病院の予約、オンライン診療がweb上で行える。いずれも24時間365日のサービスだ。
事業拡大とその背景について「社会貢献という基本理念を堅持して、これまでの事業を継続しながら、変化していく社会や会員のニーズに将来にわたって迅速にこたえていくため」という。
設立から60年。自動車を取り巻く環境は大きく変わり、求められるサービスも変化し続けるなか、そのニーズに応えるべく新たな節目を迎えているJAF。今後の課題は「EVへの対応と新事業の創出」と明かす。
■「今後はいかに『新たな現実に内在する新たな価値を見出すか』が重要」
ロードサービスでは、EVへの対応のためロードサービスカーの車両スペックを向上し、要請に応える。
「EVの販売台数が増加し、それにあわせて救援要請現場における電欠への対応が必要になると予測しています。そのための装備として電欠時に救援要請現場で給電可能な装置を搭載したバン型サービスカーを数台制作しており、今年度から試験運用を開始予定です」
さらなる事業とサービス創出の必要性についてはこう話す。
「自動車を含む各地域・各世代のライフスタイルとそれに基づくニーズのさらなる多様化も想定されます。今後はいかに『新たな現実に内在する新たな価値を見出すか』が重要であり、日常生活のあらゆるシーンにおける価値を理解する能力を磨きながら、その価値を教授いただける事業・サービスの迅速かつ柔軟な創出がカギと捉えています」
新たなモビリティ社会の到来に向け、現状に満足することなく先の時代を見据えるJAF。『健全なくるま社会の発展に貢献する』という基本理念のもと、より良いモビリティ社会の実現を目指す。