「大人の名品図鑑」ミッション:インポッシブル編 #0
トム・クルーズが主演を務め、世界的な人気を誇るアクション映画「ミッション:インポッシブル」シリーズ。待望の最新作、シリーズ7作目の『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』が今年7月に公開された。今回の「大人の名品図鑑」は、この人気アクションシリーズに登場した名品について考察する。
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実はこの作品は、1966〜73年にアメリカのCBSで放送されていたテレビドラマ『スパイ大作戦(Mission: Impossible)』が元になっており、トムも少年時代に夢中になって観ていたという。ラロ・シフリンが作曲したテレビドラマ用のテーマ曲が映画でもアレンジを加えて使われているが、いまではこのテーマ曲を聴けば誰もがトムの顔を思い浮かべてしまうほど、彼の代名詞的な作品になっている。
昨年まで公開されたシリーズ作品は6作で、96年公開の1作目のタイトルは『ミッション:インポッシブル』。監督はブライアン・デ・パルマ、共演陣ではジャン・レノが有名だ。2作目の『M:I-2』の公開は2000年で、監督はジョン・ウーが担当。06年に公開された3作目が『M:I:Ⅲ』。監督は後に『スター・トレック』『スター・ウォーズ』シリーズなどの人気作品を手掛けるJ・J・エイブラムスで、イーサンと敵対する悪人デイヴィアンとしてフィリップ・シーモア・ホフマンが登場する。ここまでの3作にはタイトルにナンバリングされているが、それ以降の作品はそれぞれサブタイトルが付けられるようになる。
5作目が15年公開の『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』。監督はクリストファー・マッカリー。トムはクリストファーと『アウトロー』(12年)でもタッグを組み、以降今年公開の最新作までずっと彼が監督を務めている。6作目が18年に公開された『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』。スーパーマン役で知られるヘンリー・カヴィルや、CIA長官役でアンジェラ・バセットなどの有名俳優がキャスティングされている。
そして最新作は今年公開された『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』で、タイトルにPART ONEとある通り、シリーズ初の前後編で制作され、PART TWOの公開は来年以降の予定だ。
トム・クルーズの来歴
この作品でトムはゴールデン・グローブ賞主演男優賞にもノミネートされるが、世界的に認められるようになったのは、86年の『トップガン』。主役のマーベリックを演じ、作品も世界的なヒットとなる。その後もマーティン・スコセッシ、オリバー・ストーン、スタンリー・キューブリック、スティーヴン・スピルバーグといった名監督の元でさまざまな役柄に挑戦。
さらにポール・ニューマン、ダスティン・ホフマン、ジーン・ハックマンといった名優と共演し、俳優としての技を磨き上げていく。『トム・クルーズ キャリア、人生、学ぶ力』(南波克行編著 フィルムアート社)の中で、トムは「よいスタッフと、良い監督とだけ仕事をしなければならない」と、俳優になった当初から語っていたと書かれている。
自ら企画しシリーズ化した「ミッション:インポッシブル」シリーズではプロデューサーも兼ねており、同シリーズは、トム自身によるトムのための作品とも言えるだろう。
前置きはこの辺りにして、アクション映画の傑作「ミッション:インポッシブル」シリーズに登場する名品の話に移ることにしよう。