「ハイエース」を拒否し続けた妻が、最終的に購入を決断した津留さん夫妻
トヨタ『ハイエース』が売れている。もともとタフで使い勝手が良く、荷物もたくさん積めることから男性に人気がある一方で、女性からは「商用車のイメージが強い」「かわいくない」「カスタムがヤンキーっぽい」などの理由から敬遠される存在だった。福岡県在住の津留さん夫妻も、夫が長年ハイエースに憧れていた一方、妻は「ハイエースは絶対に嫌っ」と、強烈な拒否反応を見せてきたが、ある出来事をきっかけに、最終的には妻が先導し、購入に至ったという。妻を購入に促した夫の交渉術とは?
■「ハイエースは憧れ」夫の長年の希望も、妻が拒絶「かわいくない」
もともと「ハイエース」への憧れがあったのは、ご主人の方。その理由は、自身の仕事に関係があった。
そんな夫の想いを「知っていました」という妻だったが、頑として首を縦に振ることはなかった。
「昔から夫が『ハイエースに乗りたい』と言っていましたが『絶対に嫌』でした。Jeepやビートルなどかわいい車が好きなんです。絵の仕事をしているんですが、ハイエースは商用車っぽくてかわいくないし、絵にならない。それにヤンキーがカスタムしたのに乗っているイメージがあって、『ないなー』って言っていました(笑)」(妻)
車選びにおける夫婦間の埋められない溝。夫は何とか、妻にハイエースを気に入ってもらおうとあの手、この手をつかった。
「一緒に出掛けて、カスタムハイエースを取り扱っているお店の前を通って、わざとらしく『ちょっと見ていこうよ』って言って、試乗したりして。ただ試乗しているときの様子でわかるんです。気に入ってないって。なんとかなびかせようと、あの手この手を使っても結局ダメでした」(夫)
■1本の動画をきっかけに妻が翻意「このハイエースは違う」
「もともと少し年をとったら、寝られる車でいろんなところに各地を回りたいねという話を妻にしていたんです。で、それをイメージできる映像はないかなと探していたら、その動画に出会って。ハイエースだけど、丸目でオシャレだし、『これならいいと言ってくれるかもしれない』と思いました」(夫)
「これまでの印象と全然違いました。顔もかわいいし、車に内装に本物の木を使っているところとかも、すごくよく見えました。YouTubeで実際に使っている光景とか見て、かわいいってなって。『こんなカスタムならいいね』ってだんだん洗脳されていきました」(妻)
2人が見たハイエースは、クラシックな丸目フェイスや、内装に天然ウッドを施工し、唯一無二の世界観でアウトドア好きを中心に注目を集めているガレージライフスタイルブランド「GORDON MILLER」(ゴードンミラー/車両レーベル「GORDON MILLER MOTORS」)が展開する同車をベースにしたカスタムカー『GMLVAN V-01』。妻の反応がいいとみると、夫は“鉄は熱いうちに打て”とばかりに即行動に移す。その動画内で使用されていたハイエースを調べ、早速カタログを請求。さらに福岡で試乗会があると知ると、朝イチで妻と出かけた。
「映像で見た通り、いい感じだな~と思いました。実物を見てみるとYouTubeでみていた世界から想像が広がりました。ロゴもかわいいし、雰囲気が良くて」(妻)
「実際に後ろに座らせてもらって、シートアレンジとかいろいろやってもらって。『こういう風に使えるね、ああいう風に使えるね』と夫婦でも盛り上がって。それにスタッフの方々の熱量が高くて、キャンプド素人な私たちに、いろいろなアドバイスをくださって。これまで購入してきた車の担当者とは全然違うほど親身になってくれて、全くキャンプとかやったことなかったんですけど、車ありきでキャンプをやりたくなりました」(夫)
第一印象での好印象に加え、そこで出会ったスタッフの熱意、さらにこの車を発端としたコミュニティの存在が妻をハイエース購入へと大きく傾けた。
「この車についていろいろ調べていくうちに、(GORDON MILLER MOTORSオーナーたちによる)オーナーズキャンプというイベントがあることを知って。YouTubeでその時の様子をみたら、すごく楽しそうで、『これに行きたい』というのはありました。同じ嗜好の仲間を持ったコミュニティがあるのも、購入の決め手にもなりました」(妻)
「昔、ビートルに乗っていたときに仲間同士で全国からオーナーを集めて、千数百人規模のイベント(オフ会)をやっていたんです。共通の趣味を持った人たちの集まりだったんですけど、オーナーズキャンプの映像を見た時に、それがよみがえって。車を共通項にしたなにかそういうコミュニティが広がって行くんじゃないかという想像も働き、家内と『楽しそうだね。この車を買えば、ああいう楽しいつながりがまたできるのかな』という話をしていました」(夫)
広がる想像と、楽しい未来。もちろん現実も見た。最低価格550万円という決して安くはない買い物だが、最後はあれだけ「ハイエースは嫌っ」と拒絶していた妻が決断した。
「(金額も含め)いろいろと考えました。ただ代えがたいのは、この車にしかないエクステリア。高い安いではなく、『他にはないハイエース』ってところ。その先に見据えた楽しいことも考えて、最終的に家内が決断しました(笑)」(夫)
納車され、この車とともに過ごす“バンライフ”は想像以上に楽しいという。
「観光地やガソリンスタンドなどで、『これカッコいいですね。なんて車ですか?』と聞かれることもたびたびあり、そのたびに丁寧に教えています。この車でやりたいことが膨らんでいるんですけど、それをやり切れていない状況ですね」(夫)
「憧れだったオーナーズキャンプにも2回参加しました。子どものようにはしゃいでいました(笑)。コミュニティもこの年になって、新たな出会いが生まれて、すごく楽しいです。
まさかハイエースを選ぶとは、自分でも驚きでしたけど、選んでよかったです。夫が転勤族だったので、実は全国に友達がいるんです。思い出巡りじゃないですけど、その友達たちを訪ねて全国を巡るという楽しみをこの車で出来たらと思っています」(妻)