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日本のクルマ文化は「金持ち」だけのものではない! 海外から一目置かれる今こそ、地方創生に力を入れてはどうか

若者も魅了、クルマ文化の底力

 日本の“若者のクルマ離れ”が叫ばれて久しいが、1970~1980年代の経済成長期には、クルマの購入は若い男性にとってステータスシンボルであり、憧れであった。

【画像】画面ちっさ! これが42年前の「カーナビ」です(計11枚)

 現在では、

・不安定な経済環境

・ライフスタイルの多様化

・脱炭素志向

などにより、若者にとってクルマの購入は必然的な選択肢ではなくなっている。当時と比べれば、日本の自動車産業やクルマ文化が元気がないのは間違いない。しかし、長い時間をかけて培われてきたものは、独自の文化資源として今なお影響力を持ち、一部ではまだ熱を持っている。

 その状況は1月12~14日の3日間、千葉・幕張メッセで開催されたカスタムカーの祭典「東京オートサロン2024」を見るとよくわかる。幕張メッセの全てのホールのみならず、イベントホールや国際会議場、屋外イベント会場と施設全体を使用した一大イベントであり、2024年の入場者数は3日間合計で23万73人だった。

 新型コロナウイルス感染拡大前には、3日間で30万人以上の来場者数が見られ、1日当たりにすると10万人以上もの集客力がある。会場は人であふれかえる状況だった。

米国で高まるJDM車の人気

日本のクルマ文化は「金持ち」だけのものではない! 海外から一目置かれる今こそ、地方創生に力を入れてはどうか

盛況だった「東京オートサロン2024」の様子(画像:東京オートサロン事務局)

 客層はひとり客から友人グループ、子連れファミリーなど非常に多彩である。

 年齢層もブーム直撃世代の中高年だけでなく、意外と若者も見られる。来場者の興味も多様であり、国内外のカスタムカーやカスタムパーツ類のほか、レーシングカーや新車のデモラン、さらにステージイベント、レースクイーンやキャンペーンガール目当ての来場者も多い。日本人のみならず外国人の姿が多く、それもアジア人だけではなく、欧米、中東など、多様な国籍の人が見られた。

 現在、東京オートサロンは国内だけでなく、シンガポールやバンコク、マレーシアでも開催されており、世界からも注目を集めるイベントとなっている。米国のSEMAショー、ドイツのエッセンモーターショーと並んで世界三大カスタムカーショーのひとつに位置付けられている。

 海外では、

「日本のクルマ文化に対するリスペクト」

が高い。2024年は映画にも登場したスカイラインGT-R(BNR34)が25年ルールの解禁予定であり、東京オートサロンでも億を超える車両が展示され注目を集めていた。

 米国内では製造から25年が経過していれば、米国内におけるクラシックカーとして認められ、右ハンドル車でも輸入できるようになる。

 近年、JDM(日本の国内市場で販売されたクルマ)が米国の若者の間で人気を集めており、日産スカイラインGT-R(BNR32)が製造から25年経過した2014年以降、日本のスポーツカー人気が高騰している。

モータースポーツ施設、ファミリー向けも

日本のクルマ文化は「金持ち」だけのものではない! 海外から一目置かれる今こそ、地方創生に力を入れてはどうか

「THE MAGARIGAWA CLUB」のロードコース(画像:コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド)

 近年、国内ではインバウンドの集客も視野に入れたモータースポーツ系施設が相次いでオープンしている。

 2023年7月29日に千葉・南房総市でオープンした「THE MAGARIGAWA CLUB」は会員制ドライビングクラブである。ロードコースはF1サーキットのデザインを担当しているTilke Engineers and Architects。プロドライバーにドライビングテクニックを学べ、ピットレーンでは専属サービスマンによる走行前点検などのサポートを受けられる。

 施設はクラブハウスやジムやプール、スパを内包し、子どもが楽しめるファミリーラウンジやアウトドアタイプの遊び場、ドッグラン、トレッキングコースなども有している。東京オートサロンにもブース出展しており、入会費や年会費が非常に高額にもかかわらず、興味のある人たちが集まっていた。

 また、富士スピードウェイ周辺エリアでは、クルマを愛する大人の遊び場、社交場として「富士モータースポーツフォレスト」プロジェクトが推進されている。2022年12月にはハイアットのコレクションブランド「アンバウンド コレクション by Hyatt」の日本初上陸となる「富士スピードウェイホテル」がオープンした。

 客室はサーキットビューと富士山ビューにわかれ、サーキットビューでは富士スピードウェイのセクター3を一望できる。それに先んじて10月には「富士モータースポーツミュージアム」がオープン。その他にも国内有数のレーシングチームのガレージ、大人から子どもまで楽しめるコンテンツを用意した「ウェルカムセンター」など随時開発されている。

2024年3月30日には東京・有明でフォーミュラEが国内初開催される予定である。フォーミュラEとは、化石燃料を使用しない電気自動車によるフォーミュラカーレースシリーズ。サーキットは世界各地の市街地で特設されたコースが多い。

今回の東京大会では、レース観戦のほか、レーシングシミュレーター体験やドライバーサイン会、ライブステージ、ドライバーサイン会などいろいろ楽しめる内容になっている。チケットはカテゴリーA+で8万4500円、一般席で一番安価なカテゴリーCで1万2000円だが、すでに完売している。

地域住民も熱狂、地方での展開期待

日本のクルマ文化は「金持ち」だけのものではない! 海外から一目置かれる今こそ、地方創生に力を入れてはどうか

「フォーラムエイト・ラリージャパン2023」の様子(画像:フォーラムエイト)

 こうやって並べていくと、インバウンドを含めた富裕層がターゲットとなってきていることがわかる。確かに海外ではモータースポーツは富裕層のレジャーといった感もある。しかし、日本のクルマ文化は決して

「富裕層だけもの」

ではない。

 大型施設や大都市での動向に目を奪われるが、今、地方の山間部においてモータースポーツで地域住民も一緒に盛り上がるイベントが開催されている。F1が国内で最盛期だったころと比較すればモータースポーツ熱も落ち着いているが、モータースポーツの持つ高揚感は今も変わらない。

 2023年11月16~19日の4日間には、FIA世界ラリー選手権(WRC)2023シーズンの最終戦となる「フォーラムエイト・ラリージャパン2023」が愛知県豊田市を中心に岡崎市、新城市、設楽町、岐阜県中津川市、恵那市で開催された。

 レースは豊田スタジアムをメイン会場に、さまざまな街の一般公道が舞台となる。そのなかでも特に注目を集めたのが三河湖SS内の熊野神社前の交差点だ。地元の人たちが「神社ンクション(神社 + ジャンクションの造語)」と名付けPRしてきた。熊野神社の鳥居の目の前をラリーカーが疾走するさまはここでしか楽しめない光景で、地域住民も盛り上がった。

 2024年11月には岡山県真庭市の木山街道で「MHヒルクライム/真庭速祭」が開催される予定だ。このイベントは元々2014年に雑誌「モーターヘッド」が主催した人気ヒルクライム動画「Motorhead Hill Climb Sponsored by Recaro」の続編にあたるもので、今回は一般観覧者を呼び込むリアルイベントとなっている。

 このようなモータースポーツのイベントが今後、地方でどのように展開されていくのか、注目していきたい。

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