例年この季節になると日本損害保険協会から「自動車盗難事故実態調査結果」が発表されている。自分の大切な愛車がランクインしてるか、毎年固唾を飲んで見る人も多いと思う。2023年のランキングにを見ると、例年では見られない意外な車種も入っており、新たな傾向もあったので紹介していこう。
文/ベストカーWeb編集部、写真/Adobe Stock、出典/日本損害保険協会
■まぁ、1位はあの車種よね……
車名別盗難車ランキング1位となったランドクルーザー。ランドクルーザーにはプラドも含まれる(写真はランドクルーザー300)
テレビで、盗む様子を映し出す防犯カメラの映像を何回も見ているせいか、車名別盗難件数1位が3年連続ランドクルーザーが1位という事実には正直あまり驚かなくなってしまっている。
この順位を見てまず気になるのは毎年2位が定位置だったプリウスを抜いてアルファードが2位になったこと。アルファードの盗難件数は、2021年が138台で4位、2022年が184台で3位だったのに比べて、2023年は一気に倍近く増えて364台で2位に跳ね上がっている。
■車名別盗難状況-車両本体盗難
2位/アルファード:364台、14.0%
3位/プリウス:307台、11.8%
4位/レクサスLX:120台、4.6%
5位/ハイエース:60台、2.3%
6位/クラウン:53台、2.0%
7位/ヴェルファイア:43台、1.7%
8位/レクサスRX:42台、1.6%
9位/メルセデスベンツ:37台、1.4%
新型アルファードの登場で盗難件数が増えてきている状況
おそらく、新型の40系が市場に回り始めているのが原因だと思うが、同じヴェルファイアが7位、43台(2021年は8位41台、2022年は10位圏外)と比べると、アルファードの盗難件数はヴェルファイアの8.5倍にも達しているのに驚かされる。
そのほか、ランキングを見ていて目に飛び込んでくるのが9位のメルセデスベンツ。輸入車がランクインすることは稀で、2016年のBMWが12位で入っていた時以来となる。
2023年のデータでは1位のランドクルーザー383台とわずか19台差でアルファードが2位に入った(出典:日本損害保険協会)
■車両盗難多発地域は3年連続で愛知県が1位
全体的な盗難率は例年通りか?(Alexander Potashev@Adobe Stock)
盗難多発都道府県ワースト10位(出典:日本損害保険協会)
2023年の盗難台数ワースト10には、愛知県(448台)、千葉県(287台)、大阪府(283台)、埼玉県(225台)、神奈川県(154台)、茨城県(221台)が順位こそ入れ替わるが、車両盗難多発地域の常連だ。
ここ3年の車両盗難件数の推移をみると、2021年が2425件、2022年が2656件、2023年が2597件と、2022年に比べて59件減少。車両狙いは2021年が931件、2022年が971件、2021年が921件といずれも減少傾向にあることがわかる。
■盗難発生時間帯は意外にも日中が多い
車両本体の盗難発生時間が多いのは22時~翌朝9時。2023年は1517件発生し、全体の58.4%を占める(toa555@Adobe Stock)9時~17時の日中も720件、全体の27.7%と意外に高い(出典:日本損害保険協会)
普通なら人の目に付きやすい日中は避けると思っていたが、その油断を狙っているのか、もしくは何か別の意図が潜んでいるのか、真相は不明だがいずれにせよ怖いことに変わりはない。
また最近、海外で日本の軽トラックが人気になってきており、価格高騰化した影響で軽トラックの盗難も増えてきているようだ。
盗難の手口も年々高度化しており、昨今は電子機器を使った手口が主流となっている。いわゆる「リレーアタック」から「CANインベーダー」「コードグラバー」などの手法が増加している。
普段から「バー式ハンドルロックや警報装置などの盗難防止機器を使用する」「防犯設備が充実した駐車場を利用する」「貴重品は車内に放置しない」など、複数の防犯対策を講じることが有効。
また、自宅の駐車場でも安心せずに、防犯カメラや防犯灯などを利用して窃盗犯が心理的・物理的に侵入しづらく状況にすることも重要だ。今回、リストに挙がったクルマに乗っている人は普段から注意し、盗難対策を徹底してほしい。
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