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北欧のEV「ボルボEX30」雪上で見せた真の実力 乗りやすく・楽しく・疲れない、ボルボらしさ

北欧のev「ボルボex30」雪上で見せた真の実力 乗りやすく・楽しく・疲れない、ボルボらしさ

日本では2023年11月に発売し、先ごろ納車がはじまったばかり(写真:Volvo Cars)

ようやく日本の路上を走り出した、電気で走るボルボのコンパクトSUV「EX30」。

【写真】スッキリ感が新しい!新しいボルボEX30の内外装を見る

雪とか氷の上でボルボのBEVがどんなぐあいに走るのか。それも重要な性能の一部で、興味のある人も少なくないだろうから、この時期に知っておくといいのでは……と、ボルボは2024年3月にスウェーデン北部で、テストドライブの機会を設けたのだった。

「マーケットが速いペースでBEVへと向かい、同時にコンパクトサイズの車両へのニーズが高まる傾向にあります。そこでボルボとしては、なるべく早く、このセグメントに打って出る必要があると判断しました」

2023年6月に、イタリア・ミラノのポルタヌオーバ駅近くの会場で、EX30のお披露目を行った際、ボルボは上記のように述べていた。

つまり、従来のガソリン車と同じように、さまざまなシチュエーションを設け、そこでのパフォーマンスをマーケットに知らしめることが大事。これが、今回の試乗の背景にある考え方だろう。

オーロラも出るスウェーデン北部の氷上コース

試乗会が行われたのは、「アイストラック」とボルボが呼ぶ氷上コース。場所は、ボーデンなるスウェーデン北部の街で、ストックホルムでは“南すぎて”見られない、かなり寒い地方にしか現れないオーロラも出る土地である。

北欧のev「ボルボex30」雪上で見せた真の実力 乗りやすく・楽しく・疲れない、ボルボらしさ

前日までは雨模様だったそうだが試乗の日は好天に恵まれた(写真:Volvo Cars)

試乗の車両は、ボルボEX30「シングルモーター・エクテンデッドレンジ」と、同「ツインモーター・パフォーマンス」が用意された。

モーター1基をリアに搭載して後輪を駆動する「シングルモーター」は、2023年に日本でも発売済み(納車が始まったのはつい最近)。前後にモーターを搭載する全輪駆動の「ツインモーター」も、2024年中に販売開始するとのこと。

「スウェーデンで生まれたボルボは、雪道でも安全で安心、かつ安定した走りを提供してきました。ピュアEVになっても、それらの性能は変わらないことを知っていただきたいと思います」

プリンパルエンジニアの肩書でビークルダイナミクス(動力性能)を担当するケネス・エクストロム氏は、そう語った。

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試乗車は薄いブルーとグレーであったが、EX30にはこんなイエローもある(写真:Volvo Cars)

「そういえば……」と、言葉を続けて言う。

「全長4.2m×全幅1.8mほどのEX30は、サイズ的にもコンパクトで、日本の路上にも向いていると聞いています。4WDが必要な地域もあるようだし、電気自動車がいかなるパフォーマンスを発揮するかを確認してほしいです」

加速はスーパーカー並み!

最初に公道で乗ったのは、シングルモーター・エクステンデッドレンジのほう。69kWhの駆動用バッテリーを持ち、200kWのリアモーターで後輪を駆動する仕様。日本にまず導入されたのも、この仕様だ。

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薄いブルー(クラウドブルー)のシングルモーター(写真:Volvo Cars)

そのあと、ツインモーター・パフォーマンスに乗り換えた。バッテリー容量は同じだけれど、前後にモーターを搭載した全輪駆動車で、トータル出力は315kW。静止から時速100kmまでの加速(0-100km/h加速)は、3.6秒というスーパーカー並の速さを持つ(シングルモーターの5.3秒も十分速いが)。

このツインモーター仕様は日本未導入で、私にとっても初めてのドライビング体験だ。そもそも雪道でのEX30試乗自体が未体験だったので、試乗前からかなり気分は盛り上がっていた。

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グレー(ヴェイパーグレー)がツインモーター仕様(写真:Volvo Cars)

冬のスウェーデン北部というと雪深いイメージがあるが、雪は予想していたほど多くなかった。ハイウェイは除雪されているし、カントリーロードもところどころ、日当たりのいい場所では路面が乾いている。

とはいえ、幹線道路から外れると、道は基本的に雪と氷で覆われている。もっとも滑りやすい氷から、ややグリップのよい硬めの雪、ふかふかした新雪もあれば、水たまりも……というぐあい。さまざまな摩擦係数のパッチワークだ。

感心したのは、路面の影響を受けず走れたこと。思い出したのは、40年くらい前に後輪駆動の700シリーズで冬のスウェーデンを走ったときのこと。このときは雪も多く、車両の挙動が不安定になりがちで、かなり緊張したものだった。

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700シリーズは1980年代に生まれた「四角いボルボ」のイメージそのままのクルマ(写真:Volvo Cars)

「クルマは、どんな路面状況でも同じようなハンドリングを持つことが重要であると考えています。ドライバーの入力(ハンドルを動かしたり、加速や減速をしたりすること)に素直に反応することと、(滑り始めるなど)なにかあっても、車両の動きが唐突でなく予測可能であることが、ドライバーに自信と安心感を与えるのです」

前出のエクストロム氏はそう説明してくれたが、実際にその言葉どおりで、ミシュランの「X-ICE NORTH4」というスタッド(鋲うち)のスノータイヤとのコンビネーションは抜群。200km以上にわたり冬のスウェーデンをEX30でドライブして、焦った場面は一度もなかった。

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雪上のドライブに安心感をもたらしてくれたミシュラン「X-ICE NORTH4」(写真:Volvo Cars)

それに、ハンドリングが「スノータイヤの影響を受けている」と感じることも少なく、切ったときにぐにゃりとして反応が遅くなるように思えた場面もなかったのには感心した。

安定感のシングルモーター、よく曲がるツインモーター

ボルボはオマケ(というかこちらが本番か)で、特設コースでのドライブも体験させてくれた。凍結湖を使い、短い間隔のコーンが並べられたコースと、間隔をうんと長くして速度が上げられるようにしたコース、そしてブレーキングとステアリングのコンビネーションを試す、3つで構成されていた。

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アイストラックの名の通りの広大な雪上コース(写真:Volvo Cars)

はたして、シングルモーター・エクステンデッドレンジのEX30は、ひとことで言ってたいへん扱いやすい。スラロームのとき、ハンドルを操作して舵角を決めたあと、強めにアクセルペダルを踏み込むと、リアが流れだす。

「お、いいね。楽しい」と思うが、つぎの瞬間、動きは収束してしまう。なるほど、安定していて、実際の道ではかなり安心な設定だ。

ツインモーター・パフォーマンスは、大きく2つのモードを持つ。ひとつは必要に応じて前輪が駆動される「パートタイム4WD」モードで、もうひとつはつねに前後輪に駆動力がかかっている「パフォーマンス4WD」モード。

北欧のev「ボルボex30」雪上で見せた真の実力 乗りやすく・楽しく・疲れない、ボルボらしさ

大トルクと巧みな駆動制御が見事な走りを見せてくれた(写真:Volvo Cars)

車両の挙動を安定させるのが目的のパートタイム4WDモードでは、予想したとおり、動きが乱れない。それでいて、スラロームでは立ち上がりからの加速が、後輪駆動モデルよりあきらかに速い。

乗りやすく・楽しく・疲れない

一方のパフォーマンスモードは、慣れないとスリルもある。前輪が車両を強めに引っ張っていくので、後輪駆動モードと同じつもりでコーンを通過して曲がろうとすると、自分の考えより車両が先へと行ってしまうのだ。もっとも、慣れればこちらのほうが楽しい。

直進状態での加速は、ツインモーターのパフォーマンスモードが目を見張るほど速い。さすが543Nmものトルクをぱっと出すモーターだけある。「ここ雪の上だよね?」と一瞬、疑問が頭をよぎるほど、矢のように安定した加速を見せるのだ。

北欧のev「ボルボex30」雪上で見せた真の実力 乗りやすく・楽しく・疲れない、ボルボらしさ

ツインモーターならこんな走りもできてしまう(写真:Volvo Cars)

そのあと、思いっきりブレーキングをしてすぐハンドルを切って、目の前に設置された障害物(これをボルボでは路上に飛び出してきたトナカイにたとえていた)を避けるテストでは、車載コンピューターが加速とブレーキをコントロールしているおかげで、まっすぐ進んでしまうことはなく、最終的にハンドルを切ったほうにすっと曲がっていけるのだった。

ひとことで言って、コントロール性が高い。それでいて、楽しさがある。そして、疲労感がない。ボルボのエンジニアによると、同社はスウェーデン陸軍による「雪の状態を表現する200とおりの言葉」をシェアしているとのこと。

こういうところが、自動車好きの心をくすぐり、そして「いいクルマづくり」につながると熟知しているのだ。

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