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北海道から近畿まで「新規開通」の高速道路6本 区間は短くても利便性の高まる路線が続々開業

北海道から近畿まで「新規開通」の高速道路6本 区間は短くても利便性の高まる路線が続々開業

利便性が増す東海環状自動車道。詳しくは後述(国土交通省 中部地方整備局 岐阜国道事務所の資料より)

マイカーを所有しているドライバーの中には、クルマの故障などの際に救援をお願いすると来てくれるJAF(日本自動車連盟)の会員になっている人も少なくないだろう。そのJAFの会員向け機関誌である『JAF Mate』の編集部から、2024年4月発刊の号に記事を書いてほしいという依頼があった。

【写真】まだまだ便利になる、全国の高速道路「新規開通」区間

内容は、2023年度に新規開通した高速道路の解説だ。かつて『JAF Mate』は年10回発刊されており、そのときには毎号、新規開通した高速道路の情報が地図付きで掲載されていたが、季刊になった現在、その情報は掲載されなくなっていた。

ところが、読者からそのコーナーを「復活させてほしい」という声があり、今回それに応えて、1ページまとめてその情報を掲載することになったのである。

能登半島地震の被災路線も順調に延伸

すでにお手元でご覧になっている方もいらっしゃると思うので重複は避けたいが、2023年度は、北は日本海沿岸東北道の遊佐比子IC~遊佐鳥海IC間(6.5km)から、南は九州中央道の山都中島西IC~山都通潤橋IC(10.4km)まであわせて5区間が開通した。

一つひとつの区間は短いが、重要な高速道路の延伸が含まれており、地域にとってはより早く、より安全に移動できるようになったことだろう。

個人的には、2023年9月に開通した能越道、のと里山空港IC~のと三井IC間が、距離は4.7kmと短くてもこの年度に起きた大きな災害と関係が深いという意味で、印象的な開通であった。

北海道から近畿まで「新規開通」の高速道路6本 区間は短くても利便性の高まる路線が続々開業

能越自動車道の概要図(国土交通省 北陸地方整備局 金沢河川国道事務所資料より)

それは翌年、つまり2024年の元日に起きた能登半島地震で被災し、交互通行などを行いながら、復興に向けた人々と物資の移動の一助となった区間であるからだ。

中山間地域も多い能登半島で、今回の地震による一般道の被害は大きく、長く孤立した集落も少なくなかった。主要な国道も、がけ崩れや道路の地割れなどで、地域を結ぶ役割を果たせなかった。

高架や盛り土などでそうした被害を受けにくい、あるいは受けたとしても迅速に復旧が期待される災害時の高速道路の役割が、あらためて確認できたように思われた。

2024年度は6本の高速道路で新規開通あり

さて、『JAF Mate』の記事では、本文ではほとんど触れていないが、2024年度の開通予定の区間を表形式で掲載している。こちらのほうも地元の方々を中心に開通を心待ちしていると思われるので、少し解説を加えたいと思う。

2024年度は、現在のところ6本の高速道路で新規開通を迎える区間がある。そのうち、目立つのが名古屋市を大きく取り囲むように建設が進む東海環状自動車道で、三重県側で6.6km、岐阜県側で18.5kmの開通が予定されている。

北海道から近畿まで「新規開通」の高速道路6本 区間は短くても利便性の高まる路線が続々開業

東海環状自動車道の開通状況(国土交通省 中部地方整備局 岐阜国道事務所の資料より)

三重県側は、大安IC~北勢IC(仮称)、岐阜県側は山県IC~大野神戸IC間となっており、この開通により、岐阜県側は名神高速道路と接続する養老JCT(ジャンクション)を越えて、養老ICまでつながる。

そのため、例えば白川郷、郡上方面から米原方面へ向かう場合、常時混雑している一宮JCT(東海北陸道と名神高速道路との交点)を通らずに済むなど、交通体系を変える効果が見込める。東海環状道の未開通区間は、養老IC~北勢IC(仮)だけになり、全線完成まであと一歩のところまで来たと言える。

道東道の阿寒IC~釧路西IC(17.0km)の開通も、効果が大きいと思われる。帯広方面からの高速道路が釧路西ICですでに開通している釧路外環状道路とつながり、釧路市中心部を経ずに厚岸、根室方面へと走行できるようになるからである。

北海道から近畿まで「新規開通」の高速道路6本 区間は短くても利便性の高まる路線が続々開業

山陰道の仁摩・石見銀山IC(大田市)付近(筆者撮影)

2023年度にも島根県大田市内で延伸のあった山陰道は、出雲・湖陵道路と湖陵・多伎道路が連続して開通することで松江方面から大田市の西端の石見福光ICまで延び、細切れ開通の多かった山陰道の島根県東部区間がほぼつながったことになる。

この区間は何度も走行したことがあるが、現道(国道9号線)はカーブやアップダウンが多く、信号のない平坦な道を走れることは時間短縮だけでなくストレスの緩和という点でも効果があると思う。

北海道は道東道のほかに、後志(しりべし)道が余市ICから内陸に入り、仁木IC(仮称)まで開通、外国人観光客でにぎわう倶知安やニセコまで高速道路が近づくことになる。

近畿の重要路線「紀勢道」はさらに便利に

そのほか、北近畿豊岡道が但馬空港ICから豊岡出石ICまでわずか2kmではあるが、但馬地方の中心都市、兵庫県豊岡市に近づく。

さらに、同じ近畿では、紀勢道の新宮紀宝道路(新宮北IC~紀宝IC:ともに仮称、2.4km)が秋ごろをめどに完成予定。『JAF Mate』の表には掲載がないが、同じ紀勢道のすさみ串本道路(すさみ南IC~串本IC:仮称)も2025年春の開通とされている。

北海道から近畿まで「新規開通」の高速道路6本 区間は短くても利便性の高まる路線が続々開業

新宮紀宝道路は新宮道路とつながる予定で建設が進められている(国土交通省 近畿地方整備局 紀南河川国道事務所資料より)

紀勢道もまだまだ細切れ開通なので、全通への歩みは遅いが、並行する一般道(国道42号線)のカーブや高低差は国道9号線以上にきびしいため、その役割は重要である。かつて、国鉄の紀勢本線(現JR紀勢線)も難所が多く、全通したのは1959年と、当時の国鉄の幹線の中でももっとも遅い部類であった。

最後の開通区間は、三重県の尾鷲市と熊野市の間であったが、高速道路も紀伊半島南東部が未開通区間となっている。観光資源が豊富なエリアで、名古屋方面からも大阪方面からも交通需要が多い場所だけに、紀勢道の全通が待たれると言えよう。

北海道から近畿まで「新規開通」の高速道路6本 区間は短くても利便性の高まる路線が続々開業

新名神八幡京田辺JCT付近。この先、高槻JCTまでは工事中(筆者撮影)

なお、残る大幹線の工事区間、新東名の新秦野IC~新御殿場ICと新名神の大津JCT~城陽JCT、八幡京田辺JCT~高槻JCTの開通は、まだ数年先の見込みである。また、新規開通ではないが、暫定2車線区間の4車線化の着手も各地で発表されており、せっかく高速道路がありながら渋滞や事故の多い区間の解消も少しずつ進んでいる。

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