国内バイク販売台数が増加
昨今のコロナ禍の影響で、日本国内ではバイクの注目が集めている。20代をはじめとする若年層が続々とバイクを購入するほか、かつてバイクを所持していた40~50代が再びバイクに乗り始めるというケースも登場するなど、バイク業界が好調だ。
【画像】えっ…! これがバイク企業の「年収」です(8枚)
なぜこれほどバイク業界がにぎわいをみせているのだろうか。販売台数や好調を続ける要因に焦点を当てつつ、今後のバイク業界の人気はいつまで続くのかも、今回考察する。
近年、国内における二輪販売台数が成長している。全国軽自動車協会連合会が発表した「軽二輪車・小型二輪車の新車販売台数の年別推移」によると、軽二輪(126以上250cc以下)の場合、2010年度では3万7645台であったのに対し、2021年度では7万8911台(2.1倍)にまで伸びている。小型二輪(251cc以上)においても同様で、2010年度では5万8108台であったが、2021年度においては8万3571台(1.4倍)にのぼり、バイクの販売台数が増加傾向にあることがわかる。
しかし、近年の半導体不足の影響により、新車の入荷時期を未定とするメーカーが多く、新車が購入しづらい状況が続いているのも事実。それにもかかわらず、中古二輪業界は活気を見せており、中古価格相場が高騰しているほど人気を集めているのだ。
好調な理由はふたつ
バイク置き場(画像:写真AC)
バイク市場がこれほどにぎわいを見せているのはなぜか。その理由は
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にある。
まず「駐輪場における環境改善および増加」から解説していこう。かつては、二輪車の駐車マナーが著しく悪化していた影響で取り締まりが厳しいうえに、二輪車の駐車場不足がライダーの悩みの種になっていた。
しかし近年、東京都を中心にバイクの駐輪場の環境改善を訴える声が多くなり、その対応の効果が出始めたのが要因している。その結果、二輪車専用駐車場を設ける施設や、チェーンロック付きのコインパーキング駐輪場も登場している。
また「若年層ライダーやリターンライダーの増加」に関していえば、20代を中心とする若年層のほかに、かつてバイクを所持していた40~50代が再度バイクを手に入れるリターンライダーも増加しているのだ。
それは、昨今のコロナ禍の影響により自宅の滞在時間が増加したことで、YouTubeなどの動画視聴時間が増えたのもひとつの要因である。
グーグルが調査したところ、YouTubeは2020年の9月における月間利用者数(18~64歳)が6500万人を超え、視聴時間や視聴者が増加傾向にあると発表した。
そのなかで、動画発信者側としては
・キャンプ
・アウトドア
結果的に、三密を避けられる移動手段であり、ひとりでも十分楽しめる趣味として、バイクが注目を集めるようになったのだ。
小型2種が熱い
ホンダのハンターカブ「CT125」(画像:本田技研工業)
バイク業界全体が注目を集めているなかでも、小型2種はひときわ人気が高まっているカテゴリでもある。前述の三密を回避できる移動手段であるほかに、ラインアップが充実し始めているのが主な要因だ。
とりわけホンダから発売された
・クロスカブ
・ハンターカブ
は、個性的な見た目と、通勤や街乗りとしても使えるうえに、ツーリングやレジャーなどにも幅広く使える点で人気が急上昇している。
その人気ぶりは販売台数においても現れており、2021年度のクロスカブとハンターカブの販売台数は合わせて1万8000台にのぼった。そしてハンターカブにおいては、2022年上半期だけで9200台にまで到達するなど、いまだに人気の衰えを感じさせないほどの盛況をみせている。
世界で注目の「ネオレトロ」とは
カワサキの「Z900RS」メタリックディアブロブラック(画像:カワサキモータース)
小型2種が注目を集めている一方、若年層を中心に人気を博しているものが「ネオレトロバイク」の存在だ。
ネオレトロとは、見た目が昔ながらのクラシカルな雰囲気を持つものの、随所に最新の機能を用いるバイクだ。そしてネオレトロバイクのなかでも特に注目を集めているのが、2022年4月発売の「カワサキ Z900RS」だ。“丸目ヘッドライトのネイキッド型バイク”というスタイルは初代からあまり変えずに、ABSや発光ダイオード(LED)ヘッドライト、トラクションコントロールシステムなどを装備している。
また、その人気の極めつけとしてクラシックモデルにも人気が飛び火している。その代表的な例が、ヤマハの伝統的バイクの最終モデルとして誕生した「SR400ファイナルエディション」だ。
近年のバイクにありがちなアダプティブクルーズコントロール(ACC)などの電子機構をほとんど装備せず、キック始動のエンジンやハロゲンヘッドライトなど、往年のモデルとほぼ変わらないデザインと機能性が好評を呼び、合わせて6000台の限定モデルがたった数日で完売した。
中古市場においても価格相場が上昇し続けているなど、ネオレトロバイクやクラシックバイクの人気はさらに高まりつつある。
どうなる今後のバイク人気
ホンダの電動バイク「EM1 e:」(画像:本田技研工業)
これほど高い人気をみせているバイク業界ではあるが、人気が落ち着いてくる時期はいつ頃になるのか。
まず中古車価格の高騰に関しては、新車販売が以前通りの落ち着きを取り戻したらおさまるとされているが、状態の良いバイクの台数も減少傾向にあることから、依然として価格が上昇する可能性が考えられる。
その一方、近年では環境保全を目的とすることと、技術が進歩したことにより電動バイクが台頭し始めている。
さらに、手頃な価格で販売するアジアンバイクと呼ばれるものも登場。もともと、東南アジア向けに生産し販売しているバイクが、逆輸入という形で日本国内で販売しているのだ。ちなみにアジアンバイクは国産バイクよりも価格を抑えたモデルが多く、150cc前後の小排気量で扱いやすいため、注目を集め始めている。
このように、続々と新しいバイクが登場し市場を席巻していることから、バイク人気はしばらく続くだろう。