なぜ超エリート学生はセンチュリーに惚れたのか
日本を代表するショーファーカーのトヨタ「センチュリー」。
2023年現在は3代目モデルが販売されていますが、そのなかで1997年に発売された2代目モデルに惚れた人物が存在。いわく「ロールスロイスよりも好き」だといいます。
中国の富裕層学生が惚れたトヨタ「2代目センチュリー」(画像提供:ヨウ・ソウさん)
中国の富裕層学生が惚れたトヨタ「2代目センチュリー」(画像提供:ヨウ・ソウさん)
中国・南京出身の楊曹(ヨウ・ソウ)さんは自動車デザイナーを目指す20代の若者です。
【画像】こりゃ凄い! 惚れる内外装に感激! センチュリーの実車を見る!(36枚)
高校生のときに渡米し、卒業後はトップデザイナーを多数輩出している「ArtCenter College of Design(アートセンターカレッジオブデザイン)」のトランスポーテーションデザイン学部で自動車デザインを学んでいます。
自動車デザインの世界ではとても有名なArtCenter College of Designは、1930年に設立されたカリフォルニア州パサディナにある芸術系の大学です。
工業デザインや自動車デザイン、映像や写真、グラフィックデザインやビジュアルアートの分野でも多くの著名人を送り出している名門学校となります。
そんな精鋭ぞろいの同大学ですが、ヨウさんがArtCenterに入ったきっかけは、BMWの有名デザイナーであるクリス・バングル氏がアートセンターの卒業生であったことに関係しています。
「私が中国で所有しているクルマの中にBMW 7シリーズ(E66)がありますが、このクルマをデザインしたのがクリス・バングル氏です。7シリーズセダンのデザインはとても美しく、大好きです」(ヨウ・ソウさん)
筆者は2022年秋に開催されたアートセンターのクローズドな催しに参加する機会に恵まれました。
アートセンターを卒業したトップデザイナーたちが、自らデザインしたクルマを前に学生たちにプレゼンをおこなう「同窓会」のような催しです。
学生が所有する車両も展示されており、日産「スカイラインGT-R(BNR32)」とともに目立っていたのがヨウさんのトヨタ「センチュリー」でした。
1997年式フルノーマルのセンチュリーを所有するヨウさんにセンチュリーの魅力について聞いてみました。
「中国で友達のレクサス LS430にも乗って、すごく感動しました。
クラウンも好きですね。日本の高級セダンは本当に素晴らしいクルマばかりです。
その頂点にたつクルマがセンチュリーだと思っていて、以前からずっと憧れがありました。
でも、中国では右ハンドル車は走行できませんし、海外からの中古車自体、輸入ができません。
もちろん、新車のセンチュリーも一般販売はされていません。中国で所有するのは無理だと思っていたところ、たまたま25年ルール解禁でアメリカに輸入された個体があって、購入することになったのです。
フルノーマルの状態に戻すために、いろいろとパーツを交換してきれいに仕上げたので購入費用は3万ドル(約430万円)。購入当時の走行距離は9万マイル(14万4000km)でした」
トップデザイナー目指す学生がセンチュリーを気に入る理由とは
――センチュリーのどんなところが好きですか?
全体のシルエットも美しく荘厳な雰囲気が好きですが、もっとも素晴らしいのは内装だと思っています。
内装に使っている素材や装飾が東洋特有の豪華さととてつもない品質の高さを感じることができます。
これはどんな高級車であっても西洋のクルマには存在しない質の高さです。内装が一番のお気に入りです。
中国ではBMW7シリーズやロールスロイス ファントムも所有していましたが、センチュリーのほうが格段に好きです。
最新のセンチュリーも本当は欲しいけどアメリカはもちろん、中国でも入手できません。
中国では左ハンドルのセンチュリーが5台ほど存在するようです(※現地の日本公館向け?)
―― カリフォルニアは排ガス規制が厳しいと聞きましたが、登録はどちらで?
25年ルールで合法的に輸入することはできても、一部の州では排ガス規制などの問題があり、すんなり登録することは難しいですね。
私は別の州で会社を所有しているのでそこで登録しています。
ヨウ・ソウさんが実家で乗っているトヨタ「ハイエース」(画像提供:ヨウ・ソウさん)
ヨウ・ソウさんが実家で乗っているトヨタ「ハイエース」(画像提供:ヨウ・ソウさん)
―― 実家の南京ではどんなクルマを所有されていますか?
南京ではハイエースを持っています。こちらも素晴らしいクルマです。
今は実家に帰省にしているので毎日、ハイエースを乗り回していますよ。
―― 将来、どのようなクルマのデザイナーを志望していますか?
私は高級なセダンが好きなので、中国第一汽車で紅旗のデザインをしてみたいです。
紅旗のセダンですと最高級のL5が欲しいですね。とても高い(日本円で1億円以上)のですが。
※ ※ ※
日本の高級セダンが大好きというヨウさん。
今一番欲しいのは現行型のセンチュリーですが、それ以外にもLS430や12代目クラウン(18系ゼロクラウン)が好きで、いつか所有したいと考えているそうです。