SUVで増加中? フェンダーモールとは
世界的なSUVブームで、ここ日本でも街中を走るクロスオーバー車やSUVが増えてきました。
そんなクルマの多くは、フェンダーに黒い未塗装樹脂製のフェンダーモールを装着しています。
【画像】将来は白くなっちゃう? 未塗装樹脂パーツが採用される「SUV」を画像で見る(58枚)
このフェンダーモールは、新品の頃こそ黒々として精悍なイメージを演出しているのですが、経年劣化などによってだんだん白化し、進行するとクルマ全体が古くさく見えて来てしまいます。白化を防ぐにはどのようにすればよいのでしょうか。
SUVなどに多数採用される樹脂パーツ
SUVなどに多数採用される樹脂パーツ
樹脂製の黒いフェンダーモールはSUVのタフなテイストを強める外装アイテムとして、1990年代末から2000年代初めにかけて国内外で相次いで登場し始めたワゴン車などをベースとしたクロスオーバーモデルに採用されたことで、から普及しました。
現在ではクロスオーバーモデルやSUVの多くが黒いフェンダーモールを装着しています。
黒いフェンダーモールは樹脂で出来ており、鉄製のボディ表面とは異なって塗装されていません。
樹脂の色合いはつや消しまたは半つやの黒で、ホイールアーチの形状が強調されてクルマのスタイルにアクセントを与えています。
またフェンダー以外にも、前後バンパーやサイドモールなどに同様の黒い樹脂があしらわれ、よりSUVらしさを高めている場合もあります。
しかしフェンダーモールに限らず、未塗装の樹脂製外装部品は年数の経過などによって劣化し、白っぽく変色していきます。
白化が進んでも、割れるなど極端に破損しなければ、クルマの機能自体に不都合ありませんが、ボディの一部が劣化していると愛車が古ぼけて見えてしまいます。
この白化には、どのように対策したら良いのでしょうか。
簡易的なボディコート剤を使う
ここ10年間で、「洗車後濡れたままのボディにそのまま塗れる」簡易的なボディコート剤が普及してきました。
これらの製品の多くは、フェンダーモールを含む未塗装樹脂パーツにも使用可能です。
洗車時に、ボディ表面だけでなく未塗装樹脂パーツにも十分に塗布することで、つや出し効果と保護効果が発揮されます。
とはいえ、簡易的なボディコートは成分の層が薄いためなのか、未塗装樹脂パーツに、黒々としたつやまでは与えないようです。
シリコン系艶出し剤を使う
シリコン系艶出し剤は、樹脂部分のつや出しや保護に、長年の実績がある用品です。
主成分はシリコンオイルで、成分が濃い透明のものや、使いやすくするためにシリコンオイルと水分を乳化したものもあります。
低価格であることも特徴で、カー用品店ではおおむね1000円以下で販売されています。
使用方法は簡単で、フェンダーモールを含む未塗装樹脂パーツ表面を中性洗剤で洗い、水分を乾かした後に布やスポンジに液をしみこませて塗布するだけです。
液の伸びが良く、少量の使用で広い面積に塗布できます。
ワックス成分を少々除去する機能もあり、誤ってワックスが付着してしまった際にも使用すると良いでしょう。
すでに劣化が始まってしまったフェンダーモールでも、塗布することで黒さがやや復活する場合もあります。
一方、欠点としては雨などで成分が洗い流されてしまいやすい点があります。
効果を継続させるためには、雨天走行後や洗車後には再施工し、つねにホイールアーチモール表面に成分がある状態にすることが望ましいです。
ガラス成分系つや出し剤を使う
ここ数年、シリコン系のつや出し剤に代わって主力になりつつある製品が、ガラス成分系のつや出し剤です。
ガラスと同等の成分が主成分のようで、メーカーは一度の塗布で3-6か月程度は耐久すると説明しています。
主成分は、窓ガラスほどではないものの、硬く高い耐久性はあるようで、雨天走行や洗車をしてもつや出し効果はほとんど低下しません。
一方、施工方法は若干難しくなっています。
まず、施工前にフェンダーモール表面を中性洗剤で良く洗い、完全に水滴を乾かす必要があります。
フェンダーモールワックスやシリコン系つや出し剤、簡単ボディコート剤などが付着している場合には、塗装用のシリコン除去剤などを使用して表面を整えなければならない製品もあります。
施工自体は、このつや出し剤をホイールアーチモールに塗布するだけと簡単なのですが、ボディには付着させないようにしましょう。
また、施工後に残ったつや出し剤自体や塗布に用いた布やスポンジの取り扱いは、製品により異なるようです。
なかには、塗布に使用した布やスポンジは固くなって再使用が不可能になったり、容器を開けたら数時間以内に使い切らなければならなかったりするなど、総じてつや出し剤の固まる性能が高い傾向があります。
また、メーカーが説明する耐久期間が過ぎますと、塗布したつや出し剤成分がホイールアーチモールの代わりに白く劣化して剥がれ落ち、見た目がみすぼらしくなる場合があります。
この場合は、洗剤などを使用して古くなった成分を除去する必要があります。
塗装する
最新のSUVであるマツダ「CX-60」など、メーカーが最初からフェンダーモールに塗装をするモデルもあります。
ボディやバンパーを塗装する塗料と基本的に同じ成分の塗料なので、ボディと同じ程度の美観が維持できると考えてよいでしょう。
またフェンダーモールが未塗装の場合でも、自動車板金・塗装業者であとから塗装することも可能です。
フェンダーモールを塗装仕上げとすることで、ユーザーは劣化の心配から解放され、クルマの維持も楽になります。
また、ボディ同色塗装はもちろんのこと、未塗装樹脂に近い風合いの艶消し黒など、その他自由な色に塗り替えることもできます。
何もしない
フェンダーモールに塗装が施されたマツダ「CX-60」
フェンダーモールに塗装が施されたマツダ「CX-60」
ジーンズなどのデニムの色が少し落ちたからと、すぐに買い替える人はあまりいないようです。デニムは、使い込んで色が落ちてくることも含めて楽しむ服であることが普及したからかもしれません。
フェンダーモールもデニムと同様に、劣化して白っぽくなってくることを味わいと考えて、そのままにする方法もあります。
以前ならタブーとされた愛車維持方法かもしれませんが、現在ではあたかもボディが錆びたかのような塗装をしたり、傷やへこみを「こなれ感」としてそのままにするユーザーも見られるようになりました。
劣化が始まったフェンダーモールは、クロスオーバーやSUV本来の使い方をしている勲章とみることもできます。
ただし、あまりに年数が経過してからフェンダーモールを交換しようとすると、部品が製造廃止になってしまっていたり、生産されていたとしても価格が当初の数倍になってしまうこともあるので、注意しましょう。
※ ※ ※
クラウンにもクロスオーバーモデルが設定される時代になりました。クロスオーバーモデルやSUVは年々増加する傾向にあります。
納車から、何の対策もせず7年から10年ほど経過してくると、フェンダーモールの劣化問題は間違いなく起こってくるでしょう。
どうするか悩んだら、ひとまず劣化を遅らせるために簡易的なボディコート剤かシリコン系つや出し剤を塗付することからはじめてみてもいいかもしれません。