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日産GT-R、まだまだ進化する2024年モデルの全貌 気持ちよく、速く、トータルバランスを高次元へ

日産gt-r、まだまだ進化する2024年モデルの全貌 気持ちよく、速く、トータルバランスを高次元へ

日産GT-R NISMO 2024年モデルのリアビュー(写真:日産自動車)

1月13日から15日まで千葉・幕張メッセで開かれていた世界最大級のカスタムカーショー『東京オートサロン2023』は、熱い話題が満載だった。その1つが、日産自動車が発表した「NISSAN GT-R」2024年モデルだ。

【写真】これが日産GT-R2024年モデルだ!

スカイラインの名が外れたニッサンGT-Rとして現行モデルが世に出たのは2007年。先進安全技術が備わっていないのは、やや気になるが、誕生から16年近い年月が過ぎた今も現役モデルであり、世界最高峰の実力を維持したスーパースポーツカーである。

2022年に当時最新のGT-R NISMO2022年モデルを運転した、ある自動車メディアの編集者は「『どこでアクセルを全開にできるんだろう?』というパワー(600馬力、66.5kgm・m)と、大柄な割に驚くほど機敏に動くハンドリングの両立がすさまじかった。普段はトルク40kgf・mぐらいのエンジンパワーを持っているクルマに乗っていて街中でも高速道でも『流れをリードできるほど速い』と感じるぐらいだが、GT-Rの加速は全然次元が違った」と語る。

“極み”、史上最高のGT-R

日産自動車によると、2022年モデルをさらに進化させた「2024年モデルは、空力性能を向上させ、洗練された乗り味を実現」するとともに、「最高出力を維持しながらも走行時の不要なノイズと振動は低減」しているのが特徴という。

外観上も、フロントのバンパーとエアダム、リアのスポイラーとディフューザーの形状など、一目であたらしいGT-Rとわかる。

「本日みなさんに紹介するGT-Rは”極み”、史上最高のGT-Rともいうべき集大成です」

取材記者を前に、アシュワニ・グプタCOOは、流暢な日本語を操り、壇上から誇らしげにそう語った。

そのあと、日産自動車でGT-R開発の陣頭指揮をした川口隆志チーフビークルエンジニアが登場。

「2007年の発売以来、現在のR35 GT-Rは、グランドツーリング(GT)ゾーンとレーシング(R)ゾーン、両方のゾーンを昇華させるべく、つねに進化を行っています」と川口氏。

GT-Rがユニークなのは、GTと、スーパースポーツ、2つの顔を持っているところといえる。

とくに、その傾向を明確にしたのは、2014年のマイナーチェンジにさかのぼる。日産の言うところ、Rゾーンの進化をめざしたニスモ仕様と、GTゾーンの進化をめざしたスタンダードと、2系統をラインナップした。

「2024年モデルはひとの感性に気持ちよく、それでいて速い。またトータルバランスをもっと高い次元へということをキーワードに」したと、川口氏。

ショーで公開された1台が、「NISSAN GT-R Premium edition T-spec」。特別仕様車として、専用のサスペンションセッティングと専用カーボンセラミックブレーキなどを採用した。

もう1台が、NISMOモデル。「R35史上最高のトラクションマスターを目指した」とし、より接地性を高め、より高いトラクションを地面に伝えられるような改良が施された。

NISMOをみると、具体的な内容は広範囲にわたる。ハンドリング性能向上のため、前後バンパー、スポイラー、リアウイング、さらに「ダックテール」トランクリッドを採用。

これらの目的は、高速で車体の浮き上がりを防ぐダウンフォースを高めるところにある。

加えて、サスペンションにおいては、減衰力チューニングと、電子制御のプログラム変更が施されている。

GT-Rのデザインにはすべて意味がある

コーナリング性能を上げるために、フロントのメカニカルLSDの採用。コーナーからの立ち上がりにおける内輪の空転を抑えることを狙う。

併せてコーナリング性能を強化しようと、4輪操舵システムであるATTESA ETSにおいて適切なチューニングも特筆点という。

川口氏によると、上記の改良でヘアピンカーブの立ち上がりにおいて、「クルマ0.6台ぶんぐらい速くなりました」とのこと。

「GT-Rのデザインにはすべて意味がある(機能と結びついている)」とする川口氏。たとえばフロントグリルの開口部は小さくし、風の抵抗を下げることを狙ったと説明する。

フロントには大きなカナードが設けられている。高速でタイヤハウス外に渦を作ることで、タイヤハウス内の圧力を下げ、ダウンフォースを強める効果を持つ。

リアはエッジを強く立てることで、空気を整流し、乱流がクルマを後ろに引っ張るドラッグの低減をはかっている。

トランクリッドにマウントされた大きなリアウイングは、レースでおなじみスワンネック型。ウイングの下側により大きな負圧を作る形状で、こちらもダウンフォースを増すためのデザインだ。

「全体で約13パーセント、クルマのダウンフォースを強めることができました」。川口氏はそう結論づけていた。

RECAROシートも新しいタイプに。カーボンファイバーのフレームがむき出しになった、いかにもレーシングカーのようなデザインが特徴だ。

横剛性が50パーセント上がっているという。ドライバーはそれによってからだがしっかり支えられ、ハンドリング操作がよりやりやすくなるとされる。

NISMOでは(ちょっとゴルフGTIを思わせる)菱形のデイタイムランニングライトが、フロントバンパーに埋め込まれた。遠くから走ってきても、すぐ判別できそうだ。

スタンダードモデルは「R35史上最高の洗練された乗り心地」がうたわれる。しなやかに路面をとらえることを目的にサスペンション設定が見直された。

一方、GT-Rの名に恥じないように、ということだろう、このモデルでも、空力性能向上が目指された。

NISMOとは形状が少々異なるが、前後バンパー、スポイラー、(小ぶりの)リアウイングの意匠を変更。おもな目的はダウンフォースの増加と、空気抵抗値の低減にある。

リアウイングは、いままでより大型化、さらに搭載位置を少し後ろに下げている。ダウンフォースの増加と、従来のモデルで(軽微ではあるものの)認められたリフト効果を抑えたそうだ。

スタンダード仕様のダウンフォース増加は、10パーセントにおよぶと、説明された。

同時に、厳しくなった新車外騒音規制に対応しつつ、迫力ある新たなGT-Rサウンドを生む新構造マフラーが、NISMOとスタンダード両モデルに搭載されている。

「これが成功しなかったら2024年モデルは発売できなかったと言ってもいい」と川口氏が会場で行われたトークショーで語っていたのも印象的だ。

ブースにはトヨタ・豊田社長の姿も

2台のGT-Rが並べられた東京オートサロン2023における日産ブースを、トヨタ自動車の豊田章男社長が訪問する場面もあった。グプタCOO、前出の川口チーフビークルエンジニア、それにこれまでGT-Rの開発にたずさわった田村宏志ブランドアンバサダーに案内されて、うれしそうに車内に乗りこむ姿を見せてくれた。

会場を訪れたひとたちのあいだでの、GT-R人気の高さはすさまじいものがある。

自分たちなりの考えでチューニングを施すことを生業とするチューナーも数多く出展。たとえば、日産ブース前に大きな展示を行っていた千葉の「TOP SECRET」も、訪問者の流れが途切れない。

GT-Rは1つの文化を作ったんだなあ、というのがウィズコロナの中で、ようやく熱気が戻ってきた東京オートサロン2023の会場で見た象徴的な光景の感想だった。

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