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車中泊の進化系! 「バンライフ」ファンはなぜ増えたのか 寒い冬でも安全に過ごせる対策も紹介する

車中泊・バンライフ人口は85万人以上

 近年、「バンライフ」が話題を呼んでいる。バンライフとは、自動車の「バン」と「ライフ」を掛け合わせた造語で、場所を複数移動しつつ、車を拠点として過ごす、車を住みかとするライフスタイルを指す。単に車中で寝ることを意味する「車中泊」の進化系だ。

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 キャンピングカーなどのレンタル・カーシェアを行うカーステイ(神奈川県横浜市)の調査(2022年10月)によると、日本の車中泊・バンライフ人口は

「推定85万人以上」

に上るという。

 さらにバンライフと同様、自動車などを利用してさまざまな場所を移動しながら生活する「アドレスホッパー」と呼ばれる人たちも増加傾向で、そのなかには生活の様子をSNSやYouTubeなどで発信している人もいる。

 そういった人たちは厳しい冬場を乗り切るため、どのような対策を行っているのだろうか。

バンライフを送る人が増えたワケ

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フォスター・ハンティントン氏の写真集『自宅は駐車場所 幸運のキャンピングカー』(画像:Bruckmann Verlag GmbH)

 本題へ入る前に、バンライフを送る人やアドレスホッパーと呼ばれる人が増えた理由を考えてみよう。

 それは、元ラルフローレンのデザイナーであるフォスター・ハンティントン氏が、SNSでバンライフの様子を投稿し始めたことに関係している。さらに同氏が2014年に自費出版で写真集『Home Is Where You Park It(自宅は駐車場所)』を発売したことにより、

「平日は仕事や家で過ごし、休日は遠出をして泊まりがけで過ごす」

というスタイルがより話題を呼んだ。その後、多くの一般人がツイッターやインスタグラムなどのSNSで発信を始め、瞬く間に人気となった。

 また、キャンピングカーを保有する人の増加も理由として考えられる。日本RV協会の調査によると、2021年のキャンピングカー保有台数は前年より約8600台増加し、累計台数は13万6000台に達している。

 さらに最近では、リモートワークなどの普及で働き方が多様化したことも関連している。寝泊まりだけでなく、時間や場所を問わずに働ける「動くオフィス」として人気になり、さらなる注目を集めた。

 毎年開催される「東京オートサロン」で、キャンピングカーにカスタムされた車が展示され人気を集めている状況から考えれば、バンライフやアドレスホッパーに憧れを持つ人が増えるのは必然と言える。

バンライフには「寒さ対策」が必須

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雪に覆われた車(画像:写真AC)

 近年話題のバンライフを送るために、自家用車をDIYでカスタムしたいという人も少なからずいる。しかし、その上で注意すべきポイントがある。ひとつは「寒さ対策」だ。

 自動車は主にガラスや鉄板から成るため、何もしないと車内の温度が保ちづらく、冬場は寒さに悩まされる。最近では木材を使って保温性を確保する人もいるが、木材だけではどうしても隙間ができてしまう。そのため、壁となる木材と鉄板の間にグラスウールやウレタンフォームなどの断熱材を使った補強が有効だ。

 断熱材のなかでよく使われているのがグラスウールで、一般的な家屋の断熱材としても多く使われている。メリットは安いことであり、石油系のポリエチレン素材より半額ほどで購入できる。ただ、湿気に弱い一面を持つ。

 またグラスウールと同等の価格で、高い断熱効果がある発泡スチロール系も存在するが、燃えやすいうえに、万が一の車両火災時に有毒ガスを発生するため、注意が必要だ。断熱材は、費用面や加工のしやすさなどを考慮しながら選ぶべきだ。

 さらに寒さ対策だけでなく、もうひとつ注意すべきポイントが

「車検証に記載する車両重量との差」

である。車検証に記載のある車両重量から、軽自動車はプラスマイナス50kg、普通車はプラスマイナス100kgまでを許容範囲として、パーツなどを取り外すことなく車検を通せる。しかし、車両重量よりも一定数値を超す場合、構造変更の届け出が必要になり、車検に通らない。

一酸化炭素中毒に要注意

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自動車のマフラー(排気口)(画像:写真AC)

 冬場では、さらに気を付けなければならない点がある。石炭ストーブやカセットコンロ、ガスランタンなどを使用することによる「一酸化炭素中毒」だ。ドアや窓をすべて閉め切った状態だと、車内が密室状態になるため、ガスが車内にたまりやすくなるのだ。

 また、エンジンをかけっぱなしによる一酸化炭素中毒にも注意しなければならない。積雪時、マフラー(排気口)がふさがれてしまうと、排気が車内に漏れ出してしまう可能性があるためだ。ガス欠防止や周囲への騒音対策にもなるため、就寝時には車のエアコンを使用せず、エンジンを切っておこう。

 また一酸化炭素中毒を防ぐために、近年は一酸化炭素中毒チェッカーも登場しており、一酸化炭素の濃度がある程度達したことを検知するとアラームで知らせてくれるので、こちらもチェックしておいてもよい。

車上生活で安全に暖を採る方法

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湯たんぽと毛布(画像:写真AC)

 一酸化炭素中毒にならず、安全に暖を採る方法はあるのだろうか。

 一番のおすすめは「FFヒーター(ベバストヒーター)」だ。これは、ベース車の燃料を使用し、車内へ暖気を送る機械である。稼働時の排気は専用の排気管を通じて外へ排出されるため、車内への一酸化炭素が流入しにくい構造になっている。加えて、燃料消費量は8時間使用で1L程度で済むため、ガス欠を心配する必要もない。

 ほかにも、電気毛布や電気ヒーター、湯たんぽもあると便利。ただし、電源を必要とする機器を使用する場合、使用するポータブル電源の容量や耐用年数に注意した方がよい。

 さらに、冷気が入りやすい窓を内側から断熱シートで覆う方法もある。遮光の役割もあるため、睡眠時や休憩時に重宝しやすい。さらに、ヒートベストを身につけたり、重ね着したりなど、バンライフや車中泊において安全に暖を採る方法は数多くある。

 個人の空間が保たれる車内生活だからこそ、安全かつ確実に、冬場を乗り切れる寒さ対策をぜひ実践してほしい。

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