George Russell, Mercedes W13
メルセデスは、苦しかった2022年を忘れるのではなく、ファクトリーに2022年のマシン『W13』を展示することで失敗を恐れずに決断を下すための象徴として有効活用しているようだ。
メルセデスは2022年に導入された新レギュレーションにうまく対応できず、レッドブルとフェラーリに対抗できなかった。ルイス・ハミルトンは、W13について二度と乗りたくないと公言。ウルフ代表は、昨年の段階でW13はシュツットガルトにあるメルセデス博物館の裏で眠ることになるだろうと話すほど、W13というマシンは”愛されなかった”。
ウルフは当初この展示について、2014年以降圧倒的なパフォーマンスを発揮してきたチームが自己満足に陥らないようにする”戒め”にすることを考えていたようだ。しかし今では、その目的がスタッフに失敗を恐れず、勇気ある選択をするよう促すことに変わっているという。
「それはロビーに飾られることになったんだ」とウルフは話した。
「そうすることで現状に甘んじてはいけないという戒めの意味を込めたかったからだが、私は少しアプローチを変えたんだ」
「私はそれを大胆さや勇気の象徴としてロビーに置きたかったんだ。昨年我々は思い切ってデザインの方向性を劇的に変え、そして失敗した」
ウルフは、誰かを非難することを避ける文化も含めて、チームが厳しかった2022年シーズンから学んだことはたくさんあると語る。
「我々は、成功したすべての年について話し合った」
「最終的に成功を収めるのが難しくなってくる。参加した全ての大会で優勝したスポーツチームは、世界に存在しないのだからね」
「そし、その瞬間が(メルセデスにも)昨年来た。ひとつのレースがうまくいかなかっただけではなく、シーズン全体、少なくとも前半戦がそうだったんだ」
「それ(W13)はチームの強さ、価値観、考え方を示すモノだ。我々が成長するための継続的な基盤になることを願っている」
またウルフは、W13を競争力のあるマシンにするために奮闘したことで「個人的にも多くのことを学んだ」という。
「自分自身のこともそうだが、チーム内での関わり方についても、このような状況に対する心構えを学ぶことができた」
「昨年は1レースや2レースではなく、シーズンの大部分で期待通りのパフォーマンスを発揮できなかったから、大変だった」
「良いレースができたかと思えば、次はもっと悪くなるというジェットコースターのような感情を経験し、自分自身の期待を管理するのは難しいことだった」
「個人的にも、マネージャーとしても、より良い自分になれたと思うし、組織としても、お互いについて多くを学ぶことができた。そして、それをストレートに受け止めている」
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