車中泊DIYで作り上げる、唯一無二の快適空間(撮影:吉田哲大)
空前のキャンプブームにより、キャンピングカーの販売台数は過去最高を記録。キャンプやキャンピングカーのアウトドアアクティビティは、日本の文化として定着した感がある。
キャンプ歴30年の筆者もうれしい限りであるが、キャンプ場の予約が取りづらくなったのも事実。
そこで「思い立ったその時に無料キャンプ場に出向き、焚き火を楽しみたい」「テントは設営せず、そのまますぐに寝られる場所を確保したい」といった願望からスタートさせたのが、車中泊DIYだ。キャンピングカーは筆者にとっては高価で、普段使いには不便といった思いもあり、車中泊仕様にDIYをすることにしたのだ。
今回は、DIYで車中泊仕様にしたステップワゴンの車内を紹介するので、ぜひ参考にしていただきたい。
■車内DIYをするための、ワンボックス車内の条件
通常使用できるように2列目は使えるようにしておくのが車中泊DIYのマイルール
車中泊DIYのベースとなった、普通の外観のステップワゴン
DIYをするうえでの第一の条件は、普段使いができること。そのため、2列目のシートは常に使える状態にしてある。なお、筆者所有のステップワゴンの3列目は、床下に格納される機能が備わっており、3列目は滅多に使用しないため、格納しスペースを有効活用している。
■ベッド土台&座面編
 車内のベッド土台を外してテーブルに。イスを用意すればあっという間にくつろぎ空間の完成гЃ
ベッドの土台は、加工がしやすいイレクターパイプを使用した。また、土台部分を分割できるようにしたことで、キャンプ場で荷物置きとして利用したり、2つ縦に並べればコットにもなり大きなメリットが生まれた。
一般的な車のDIYでは、通常のクッションのように座面にウレタンなどを入れ加工しているが、ポータブル冷蔵庫など重いものを置いた際は、沈み込んで安定性が悪くなる。そのため、今回は底冷えとクッション性の役割を期待し、それぞれの木板の大きさに合わせカットした銀マットを使用。木板・銀マット・カーペット素材のようなクロスの順で重ね、タッカーで留めた。
寝る時は、テントマットを敷き、冬は一面に電気毛布を敷きつめれば快適空間の完成だ。夏は肌ざわりのいいラグマットや、冷感仕様のマットもおすすめ。
■バックドア編
室内から鍵を締めれば、ボタンも連動して開かないようになる優れもの
車中泊DIYをはじめるにあたり、必ず製作したかったのが、内側からバックドアを開けるボタン。靴を履いて外に出て後ろに回るより、はるかに効率的だ。
方法は、まずバックカバーを外し、配線を確認。そこにエレクトロタップでスイッチまでの配線をもう一つ作成する。バックドアの配線を分岐させる仕組みだ。意外と簡単にできるDIYなので、ぜひ試していただきたい。
内側からバックドアを開け、景色を堪能
2列シートの窓にも網戸を設置。3か所の網戸により、空気の循環はすこぶるよい。テントも2か所以上ネットがないと熱がこもってしまうが、その要素を車内にも取り入れた。
■車内に穴を開けない棚づくり編
ベッド下に充分荷物は入るが、カップやちょっとした調理器具といった小物や使用頻度が高いものは、ドアを開けずに取り出したい。すぐ手が届く範囲にあればのんびり過ごせるので大切なポイントだ。
車内にビスなどの穴を開けたくないため、前後に伸びる角材にステーを取付、天井の車側面の隙間を利用し差し込んだ。
前後の角材を左右からテンションをかけ固定する(撮影:吉田哲大)
骨組みとしては、車の両サイドに渡した角材を、左右の2本の角材で支えている。筆者は面倒なので設計図を書かないが、ここだけはテンションをかけグラつかない様、しっかりと計測し作り上げた。この口の字がしっかりできれば、後は個々のアイデア次第でどんどん変化させられる。
■吊り下げ棚編
左右の角材に事前に製作した棚を吊り下げる。拡張や改良など、後で取外すことも考慮し、ビス止めよりもネジ止めをおすすめする。
DIYを始めていくと、アイデアも生まれ更なる改良をしたくなるが、ビス打ちをしてしまうと外すために工具も必要となる。また、同じ箇所へビス打ちを繰り返すことで、穴の強度が下がり、別の箇所を探す必要もある。
その点、ネジ止めにしておけば、手作業で容易に取り外しが可能だ。また、ネジ穴が確保されているため、同じ箇所へ設置でき複数の穴を開ける必要もない。
ただ吊り下げただけだと、グラグラの状態。棚の下に脚を取り付け、突っ張るようにテンションをかけることで、更に強度が増す。この要領で行えば、好みの棚をいろいろ作成できる。個性豊かな内装が楽しめるだろう。
■DIYで車中泊仕様に仕上げて、自分だけのオリジナルくつろぎ空間を作ろう!
真ん中が開くと、荷物の出し入れなど何かと便利
筆者同様、車中泊DIYを行なうにあたって、中古でバンを購入する人が増加傾向のようだ。確かにバンの方が空間を有効活用しやすく、居住空間も広い。最近では軽バンも人気があり、自分好みに仕上げる楽しみはなんとも言えない。
通常のワンボックスでも工夫次第で、充分車中泊を楽しめる。車中泊仕様DIYの基本は「寝る時に水平であること」。あとは自分でやりたいように作ればいいのだ。
前回のDIYの様子。筆者は同じ車で何回も作り直してる
DIYをしたことがなくても、大丈夫。コツは失敗しながら学んでいくもので、やがて上手に仕上がってくるだけでなく、DIYそのものが楽しくなってくるはずだ。筆者も試行錯誤を繰り返し、最終的に今のシンプルなスタイルにたどりついている。
車中泊DIYは、かつて無心で作ったプラモデルのようなワクワクが味わえる。ぜひ童心に戻って、自分だけのこだわりの一台を作ってみてはいかがだろうか。
車種名:ホンダ ステップワゴンRK1(2019年式)
車両購入価格:約300万円(新車)
費用:約4万5000円(カーテン類5000円、イレクターパイプ6000円、金具類2000円、木材7000円、専用網戸1万円、専用サンシェード1万5000円など)
期間:約1か月〜2か月(土日祝の作業のみ)