28年越しに見つかった盗難車フェラーリ
1995年、元フェラーリF1ドライバーのゲルハルト・ベルガー選手は、イタリアで開催されたサンマリノグランプリの後に自身の1995年式フェラーリ「F512M」を盗まれてしまいました。
しかし今回、実に28年ぶりに、その盗難された個体が発見されたのです。
【画像】28年ぶりに見つかった盗難車 フェラーリ「F512M」ってどんなクルマ?(26枚)
V12気筒エンジンをリアミッドに搭載したスーパーカー、フェラーリ「F512M」。世界で501台が販売されたという
いずれのフェラーリも盗難後に発見されることはなく、2名のドライバーは泣き寝入りすることとなってしまいました。
しかし、2024年1月に、ロンドンのメトロポリタン警察がベルガーのF512Mを回収し、奇跡的にまだ1台のクルマとして現存していることが明らかになりました。
この個体は、アメリカからの購入者が、イギリスから輸出する際にフェラーリからPPI(事前購入検査)を要求したことが、今回の盗難発覚に至ったようです。
フェラーリはこの個体が1995年に盗まれたベルガーのクルマであることを認識した後、メトロポリタン警察に通知し、輸出を停止させました。
これにより、メトロポリタン警察は、このフェラーリが盗難車であることを知り、無事に業者から回収することができたようです。
また、その間にベルガーのF512Mは、前方駐車センサーや、純正ではないステアリングホイールなど、アフターマーケットの改造を受けています。
盗難されたフェラーリは今でもおよそ35万ポンド(約6589万円)の価値
メトロポリタン警察の担当者は、次のように話します。
「盗難されたフェラーリはおよそ35万ポンド(約6589万円)の価値があり、28年以上も行方不明でしたが、わずか4日間で追跡に成功しました。
また、我々の調査は綿密で、世界中の権限を持つ機関に連絡を取り、迅速に動いたことで回収が実現しました。
めでたく発見されたベルガー選手のフェラーリですが、ベルガー氏自身が再度所有することになるか、フェラーリ本社が所有権を取得するかなど、今後どのような処置がとられるかは不明とのことです。
メトロポリタン警察によると、この時点でクルマが誰に返還されるかについてはコメントをしないと言います。
見つかった盗難フェラーリがどこに行くにせよ、回収されたことで、SNSでは「こんなの奇跡だ!」「有名人じゃなくても、こんなに時間が経っていてもちゃんと見つかるのかな」などとさまざまなコメントが寄せられていました。
なかには「とにかく変なアフターマーケットのパーツを取り外して、純正の状態にして欲しい」などとクルマを労る声も上がっています。
残念ながら、日本ともゆかりのあるアレジ選手のF355はまだ見つかっていませんが、ベルガー選手のフェラーリの回収は、盗難車のオーナーが必ずしも泣き寝入りしなくてはならないわけではないことを伝えてくれるものとなりました。
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ゲルハルト・ベルガー選手は1987年から1989年の3年間フェラーリに在籍し、マクラーレンへと移籍。そのまた3年後にフェラーリに復帰し、今回の盗難事件は1995年のフェラーリチームでのラストイヤーのなかで起きた悲劇でした。
F512Mは440馬力・500Nmを発生する5リッターV型12気筒エンジンを搭載、0−100km/h加速は4.7秒、最高速度は315km/hというパフォーマンスを発揮しました。