EUは中国製EVに補助金相殺関税の導入を検討している。中国メディアは「対中自動車貿易戦争の発動、悪の報いを受けるのは自分」とけん制した。写真は自動車貿易。
米ブルームバーグ通信などによると、EUは昨年9月に中国製EVへの反補助金調査の開始を発表。EUの執行機関である欧州委員会は3月、中国から輸入されるバッテリー式EV(BEV)が違法な補助金を受けているという「十分な証拠があると判断した」と明らかにした。
これに対し、中国網は「自動車はドイツ最大の輸出品であり、EUが中国に対して黒字を維持している製品でもある」と指摘。「VW、BMW、メルセデス・ベンツの自動車の約3分の1が中国に販売される。この貿易関係は極めて重要だ。中国は欧州高級車の大きな利益を生むエンドマーケット。低コストのバッテリーサプライヤーであり、完成車のサプライヤーの可能性さえある」とした。
さらに「大西洋のかなたのタカ派と比べると、欧州の企業、政治家、ロビー団体の中国への態度は大きく異なる」と言及。「BMWの会長は3月の年次会議で、自由貿易はわれわれの北極星や指導原則になるべきだ。欧州自動車産業は中国車の輸入により大きな損失を被っておらず、これらの製品にさらに関税をかけてもEUの利益にはならないと述べた」などと紹介した、
メルセデス・ベンツのCEO(最高経営責任者)も「中国製EVへの関税は上げるのではなく下げるべきだ。輸入に対しては、より良い製品、より良い技術、より高い柔軟性で対応するべきだ。これが市場経済であり、競争に力を発揮させる」と表明したという。
その上で「米国の包み隠さぬ保護主義と比べると、ショルツ氏はより効果的な手段を提供できる。(西側の)資本家は競争を見て尻込みするべきではない」と強調。「むしろすべての危機を自分を高めるチャンスとするべきだ。皮肉なことに、自信あふれる前向きな精神を持っていた米国は今や、最も早く尻込みする国になっている。欧州とドイツはより良い道を指し示すことができる」と訴えた。(編集/日向)